前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第201話:米沢市上杉博物館で国宝の前が大混乱!? もう恥ずかしくて展示室に隠れたいよ!

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 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯は嫌いじゃないけど、最近は控えめにしてるつもりだ。
 友達の手料理も優しい味を頼みたいのに、つい刺激的なもんに手が伸びちまう。
 それでも俺の胃は、たまの妙な食い物でやられちまう。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日は山形県の米沢城で、歴史ある城跡をカオスに変えてしまった。
 その前はサクランボ畑の食べ放題を汚してしまったし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 彩花が「太一くん、歴史感じるメニューだよ!」って持ってきた手作り米沢牛のそぼろ丼を食ったんだ。
「優しい味にしたから!」って言ってたけど、隠し味の山椒が効きすぎてたのか、胃がザワついたみたいだ。
 そぼろ丼自体は牛肉の旨味が効いてて美味かったけど、食べ終わった後にじわじわ来る感じで、「彩花の優しさにもスパイスが潜んでるのか……」って実感したよ。
 それに加えて、最近この転移トイレのストレスで胃が弱ってたから、ついコンビニで「腸活サポート!」ってパッケージの乳酸菌タブレット飲んじまった。
「トイレの呪いに打ち勝つぞ!」なんてバカなこと考えたのが間違いだった。
 そぼろ丼の山椒と乳酸菌タブレットの腸活パワーが胃の中でケンカしてる感じだ。  
 学校から帰って少しゲームしてたけど、我慢の限界が来た。
 胃が「ギュルルル!」って唸ってて、冷や汗が止まらない。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 空調の冷気と、静かな展示室の雰囲気が鼻と耳に飛び込んできた。
 目の前には山形県の米沢市上杉博物館、国宝「上杉本洛中洛外図」の展示前。
 俺の便器は、その展示室のど真ん中、国宝の屏風の真前にポツンと出現。  
「うおっ、米沢市上杉博物館!? 国宝の前かよ!?」  
 展示室には上杉本洛中洛外図が厳かに飾られ、色鮮やかな屏風に京都の街並みが描かれてる。
 観光客が「すごいね……」って静かに見入ってて、ガイドが「これは上杉家伝来の国宝です」って説明してる。
 ガラスケースの反射と空調の「サー」って音が響き、展示室の厳粛な雰囲気が漂ってる。
 この歴史的で貴重な展示のど真ん中に、俺の便器がドーンと浮いてて、まるで俺が国宝の新展示物みたいになってるよ。
 米沢市上杉博物館の静けさと格式が俺の便器でぶち壊しになってて、どうしていいか分かんねえよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 彩花のそぼろ丼と乳酸菌タブレットの組み合わせが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、国宝「上杉本洛中洛外図」の前で、どうやって集中しろって言うんだよ!
 カップルが「歴史って感じるね」って囁き合ってるし、観光客が「これが国宝か!」ってスマホで写真撮ってる。
 空調の「サー」とガイドの静かな声が耳に響いてて、厳かすぎるこの状況が逆に焦りを増してくる。
 おばさんが「何か変な気配するね?」って俺の便器の方チラ見してるけど、見えてないはずだよな……?  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する。
 でもその瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 展示室の静寂が一瞬止まって、カップルが「え、何!?」って振り返る。
「空調の音かな?」ってガイドが誤魔化すけど、子供が「変な音だ!」って指さす。
 観光客のおじいさんが「腹減ったかな?」って笑うけど、俺の腹音がバレかけてて、心臓バクバクだ。
 見えてないはずなのに、こんな厳粛な場所で注目されるなんて、俺、自分の腹に「国宝の前で鳴くなよ!」って心の中で叫んでるよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、静寂を破る音が展示室に響いた!」  
 展示室の静けさに音が反響して、観光客が「何だ!?」って一斉にざわつく。
 子供が「何か鳴った!」って笑い出し、おばさんが「何!?」って目を丸くする。
 見えてないはずなのに、音が静寂を切り裂いてバレちまったじゃん!
 カップルが「え、変な音!」って顔見合わせ、ガイドが「皆様、落ち着いて! 館内の反響です!」って誤魔化そうとするけど、すぐに匂いが漂ってきて混乱が広がる。
 おじいさんが「この臭い、何だ!?」って鼻押さえ、観光客が「展示室の匂いじゃないよね?」って騒ぎ出す。
 空調が「サー!」と冷気を流し、屏風の前が異様な空気に包まれる。
 展示室全体が「謎の音と匂い」でカオスになって、俺、この国宝の雰囲気を台無しにしちまった罪悪感で頭おかしくなりそうだよ!
 ガイドが「上杉本洛中洛外図は国宝です、静かに!」って叫ぶけど、誰も聞いてねえ。  
「待て待て、俺は国宝じゃねえって! ……って、どうにもならねえ!」  
 いつもならシュールで笑える状況も、今回は博物館の厳粛な雰囲気を汚した焦りと羞恥しかない。
 子供が「オナラ博物館だ!」って走り回り、観光客が「これも上杉家の歴史?」って笑ってる。
 カップルが「せっかくのデートが……」って言い争い、ガイドが「次は別の展示へ移動します、落ち着いて!」って必死に誘導するけど、誰も動かねえ。
 上杉本洛中洛外図が静かに歴史を語る中、俺のせいで「オナラ博物館事件」なんて語られたらどうすんだよ!
 この上杉家の至宝が俺のせいで汚れちまった罪悪感で、笑うどころか展示室に隠れ出したくなるよ!  
「いや、米沢市上杉博物館、ごめんって! ……って、早く帰らせてくれ!」  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って恥ずかしくて死にそう!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態で「うわああ……」って呻く。
 笑う余裕なんてなくて、国宝の前を汚した羞恥がまだ体に残ってるよ。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 山形県米沢市上杉博物館で国宝「上杉本洛中洛外図」の前を台無しにするなんて、俺の人生ハードすぎるだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、観光客のざわめきと展示室の静けさが俺を追い詰めた。
 あの屏風の前で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でも彩花のそぼろ丼と乳酸菌タブレットの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯や激辛、トイレにちなんだ食い物は控えめにしたいけど、つい手が伸びちまうんだよな。
 美味いし、友情も嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 考えてみれば、このトイレのせいで歴史や観光地をめちゃくちゃにしてきたけど、今回は国宝の聖域を汚しちまったよ。
 あの洛中洛外図の鮮やかな色彩と静かな展示室が頭から離れねえよ。
 米沢市上杉博物館、ごめんな。
 お前の格式を汚しちまったよ。
 次は頼むから穏やかな場所に飛ばしてくれ……って、期待しても無駄か。  
 少し落ち着いて、深呼吸したいけど、この胃じゃ無理だろうな。
 彩花の隠し味と乳酸菌パワーが俺を離してくれねえ。
 米沢の歴史と屏風の風景が頭に残ってて、ちょっと厳かな気分になるけど、思い出したら羞恥で震えるよ。
 次はどんな場所に飛ばされるか分からないけど、少しでも静かな場所を願いたい……って、無理か。
 このトイレ、絶対また何かやらかす気だよ。  
 そぼろ丼みたいな美味いもん、もうしばらく控えようと思ったけど、彩花がまた持ってきたら断れねえだろうな。
 このトイレのせいで食い物の選択までおかしくなってるんだから、俺の胃とメンタル、どうなってんだよ。
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 博物館でやらかしただけでも褒めてくれよ、自分。
 あの国宝の前でミッションクリアしたんだからさ。
 次はどんな試練が待ってるか分からないけど、もう慣れた……いや、慣れねえよ!  

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