知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第5章 帝国決戦

第1話 あけましてお女神・Ⅱ ~女神の野望・フルパワーエディション~

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「はい、というわけで。始まりました、女神ちゃんによるオールナイト女神~どんどんぱふぱふー。あ、もちろん正月だからって録音じゃないからね、しぇけなべいべー」

「いや、もうそれはいいから」

「えー、そんなつれないこと言わないでよー。ほら、女神だよ? 女神ちゃんですよ? 新年あけましてお女神な、一メガ、二メガ、三女神でありがたみ3割増の女神様ですよー」

「そこは3倍じゃないのかよ」

「GOOD! いいね。その返しを待っていた!」

 うるさいなぁ、もう。
 新年早々こいつとか、もう悪夢でしかないよ。

「何言ってんのー。こんな女神ちゃんと出会えるなんてレアだよー? 新年早々縁起がいいんだよー? 初夢で僕と握手だよー? 正夢になっちゃうよー?」

「もう訳が分からん。しかも数日前も出てきただろ。どこがレアだよ。てかなんだよ、正夢って。何が現実になるんだよ」

「…………そういえばそうだねー、あははー、わたしも分かんないや」

「口から出まかせが過ぎる……」

「口で生きてるアッキーに言われたくないね」

 お前にも言われたくないよ。

「はい、というわけでおふざけはここまで! いつまでもお屠蘇とそ気分でいるんじゃないの、アッキー!」

「まだ元旦だろ」

「ぶっぶー、残念でしたー。元旦は1月1日の午前中を指す言葉ですー。うわー、アッキーの凡ミス格好わるー。学者って設定どこいっちゃった?」

「元旦が午前を指すなら合ってるだろ。今は何時か知らないけど、日付が変わってから寝て起きるまでの時間は午前だ。だから今は元旦。Q.E.D(証明終了)。異論は認めないぞ」

「…………なんでぃなんでぃ! そんな言葉遊びの戯言みたいなことを言っちゃってさ! そうやって人様を丸め込んでいい気になってんじゃないやぃ!」

「前から思ってたんだけど、お前、絶対日本人だよな? 下町出身だよな?」

「ノンノン、ムッシューはこてこてのパリジャンでおま。ジュマペールちゃん・メガミ、ボンジュール、シルブプレ!」

「もうどこから突っ込んだらいいのかわからんが。とりあえずムッシューは男性に対する呼びかけ。パリジャンは男のパリっ子な。女性はパリジェンヌ。てか『ちゃん・メガミ』って“ちゃん”が名前で“女神”が姓ってことでいいのか?」

「…………そ、それで勝ったと思うなよー! わたしが負けても第二第三の女神ちゃんが出てくるからなー!」

「知らねーよ。もういいから帰れよ。つかなんか最近多くないか? こないだは俺が半死半生だった時、それからビンゴ領で色々終わった時。あと年末で、それでこれだろ? この2か月で3度目とか、お前どれだけ暇……なんだよ、その顔」

「べっつにー。覚えてなくてよかったーって思ってるだけ」

「ふん。そんなこと言って、どうせまた『ちょっろー』とか言い出すんだろ。ワンパターンなんだよ、お前」

「そうだねぇ、ワンパターンだねぇ。本当、アッキーはそれでどれだけ忘却してるのやら」

「なんだよ、ぼそぼそ言いやがって」

「んーん、なんでもにゃーで。そぎゃんこつより、おみゃーさんばどぎゃんすっとおもっちょるかにゃーと」

「にゃーにゃーうるさい! 何弁だよ!」

「名古屋だぎゃ」

「お前もう日本人だろ! てか名古屋の人もそこまで言わねぇよ!」

 知らないけど!
 なんか色々ごめんなさいと先に謝っておこう。

「アッキーは保守的だねぇ」

「だ・れ・のせいだと思ってる」

「あん! 駄目、アッキー! こんなところで……今日はパパもママもいないんだから」

「なにもしてないだろうが!」

「アッキー。ダメだよ、自分の足らないところを他人に当てこすりしちゃ。そんなんじゃ立派な大人になれないよ!」

「お前に言われたくない、お前に」

「ふぅ、まったく。アッキーに付き合ってたらいつまでたっても話が進まないんだから。わたしだって忙しくないんだからね! これでも女神・オブ・ザ・イヤーの2連覇がかかってるんだから。今年もどんどんバリバリと働かないといけないの! だからアッキーにばっか構ってられないの!」

「どうでもいい……てか、ちょっと待て。今聞き間違いじゃなければ、忙しくないって聞こえたけど?」

「あ、さすがアッキー。よく聞き間違えなかったね」

「暇なんじゃねぇか! それで俺をいじりに来て暇をつぶそうって魂胆か!?」

「だってー、正月って暇なんだもんー。お店どこもやってないし、テレビは新春お笑いか駅伝くらいしかやってないんだよ? おせち料理ばっかじゃ飽きるー!」

「だからお前日本人だろ!」

 ヤバイ。なんだこれ。
 今日のこいつ、本当にフルスロットルでブレーキを踏む気配がない。

「そりゃもう! 新年のお屠蘇とそ気分でやってますからね!」

 厄介すぎる酔っ払いだった。

「んんー? じゃあ酔っぱらった拍子に、よっと」

「わゃ!?」

「んん? アッキーはここが感じるのかにゃー? それともこっち?」

「ひっ……ちょ……やめ」

「あれれー? おっかしいなー。アッキーの体はここにないはずなのに、なんでそんな声出してるのー?」

 知るか。
 けどなんか体をまさぐられる感覚がする。
 抵抗できないから、どれだけ逃げようとしても無駄だ。

「ひゃう! いや、やめ……て」

「んん、アッキーいいよぉ。どんどん女の子っぽくなってく。もうどうかな、女の子として生きていくの?」

「だ、誰が……ひっ!」

「ほらほら、嫌がっても体は正直だよ? もう元の世界とか考えないでさ。いいじゃん。みんなと一緒にあの世界で暮らせば。憧れの里奈ちゃんもいるし、アッキーが大好きな人もたくさんいる。それの何が不満なのさ」

「それは……ひぐっ!」

「それに元の世界に戻る、ってことはだよ。彼らを置いていくってことだよ。アッキーを頼りにしてくれた女王様や、アッキーのおかげで元気を取り戻したリンちゃん。それら皆を裏切って、元の世界に戻る。そこになんの意味があるの?」

「……ち、違う。俺は……俺は……」

「ほらほら。もっと素直になろう? 理性で押さえつけないで、感情のままに。それが生物として当然のことだよね?」

 感情のままに。
 当然のごとく。

 俺は本当に元の世界に戻りたいのか?
 分からない。
 里奈と会う前は確かにそうだ。

 けど今は。
 里奈もこの世界にいた。そしてマリアにニーア、ジルにサカキ、ブリーダ、クロエ、リン。
 数えきれないほどの人との出会いが、俺をこの世界で生き延びさせてくれている。

 元の世界に戻るということは、それを捨てていくということ。
 彼らの期待を切り捨てて、逃げるようなもの。

 それでも、約束がある。
 家族のために戻りたいと願った彼女。
 娘のために帰りたいと願った彼女。

 そして、いつも一緒にいたいと願う彼女も。
 俺にも、家族や、友達、一緒にいたい人間があの世界にはいる。

 戻りたいという思いと、戻りたくないという思い。
 どちらも相応の理由があり、頭の中で取っ組み合ってはがぶり寄って勝負は均衡を得る。

 そしてその決着は――

「――分からない」

 均衡は、崩れなかった。
 知力99あるくせに。
 どっちが良くて、どっちを取るべきか答えが出なかった。

 と、体の拘束が緩んだ。

「むふー、ま、優柔不断で甘ちゃんでええかっこしいアッキーならそんなもんか」

「うるせー、何とでも言え」

「ほいほい、じゃあ言っちゃうよ。アッキーは優柔不断で甘ちゃんでええかっこしいでクソザコナメクジな知力99(笑)の優柔不断ゴミカス野蛮野郎だって」

「そこまで言うなよ……」

 しかも大事なことだから二回言われてるし。
 なんだか本当に悲しくなった。

「にゃははー、冗談冗談。でもね、アッキー。もしアッキーが統一間近だと感じてるなら。きっとアッキーは直面するよ。その心の問題に」

「分かって――るさ」

 分かっている。
 重々承知なほどに。

 それでもまだあいつらと一緒にいたい。楽しい思いをしたい。
 そんな普通の願いをしてはいけないのか。

「悪いとは言ってないじゃん。ただ優柔不断で甘ちゃんでええかっこしいでクソザコナメクジな知力99(笑)の優柔不断ゴミカス野蛮童貞野郎って言ってるだけで」

「だからへこむって!」

 てかなんか増やしただろ!
 つかこいつ、俺からこれを引き出すためにわざと道化を演じたな。ふざけやがって。

「ま、趣味も交じってるけどね。趣味と実益を仕事に活かす! これぞ女神・オブ・ザ・イヤーを獲得した女神ちゃんの仕事術なのです!」

 やっぱこいつ。女神というより、営業とか中間管理職って感じだよな。

「むむ、なにそれ。ちょっと格好いいかも。戦う中間管理職、女神ちゃん。みたいな!? ちょっとスピンオフ狙ってみる!?」

「わけのわからんことを言うな」

 はぁ……本当疲れた。
 元日からこんな奴の相手するなんて。

 せっかく今年で終わらせようと意気込んでたのに。
 いきなりストップ駆けられた気分だ。

「うん、今年で終わるといいね」

「しれっと萎えるようなこと言うんじゃない!」
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