517 / 627
間章 それぞれの決断
間章7 クロエ・ハミニス(オムカ王国クロエ隊隊長)
しおりを挟む
「というわけで、緊急事態です!」
「そうか、緊急事態だな。貴様の頭が」
「なんでウィットはすぐ噛みつくかなー!」
まったく、本当にウィットはわかってない。
何が重要なのかもわかってないのだ。
「貴様が言う緊急事態はほとんど大したことないからな」
「そういえば前もあったよね。隊長がかまってくれないとか」
「あー、あったねー。ビンゴに行ってた時だねー」
こうして夜な夜な、忙しい合間を縫ってウィット、ルック、そして王都に運ばれて療養中のマールに集まってもらったのだ。
そんな程度の低いことを話すわけないじゃない!
「それはちょっとこのクロエさんをなめすぎじゃないかな? もはや隊長となった私は、以前までの私じゃない! そう、ニュー・アッパー・クロエ隊長と呼んでもらおうかな!」
「ほぅ、そこまでなら当然ちゃんとした内容だろうな? オールド・ダウナー・クロエ組長」
「なんか劣化してる!」
むぅ、本当にこの男はやかましい。
けどまぁいいや。きっとこれを聞けば、おおさすがは隊長、と認めなおすに違いない。
だから私はすうっと吸い込み、
「隊長殿が構ってくれない!」
「よし、帰るぞマール、ルック。というかこれ、もう強権発動していいよな? 隊長に報告して解任動議を発動していいよな!」
「う、うーん? そうなの、かな?」
「あははー」
あれ? ちょっとなんか変な様子?
あ、てかもしかして言うの間違えた!?
「ちょっと待った! 今のなし! 間違い!」
「貴様な……そろそろいい加減にしろよ? これでも抑えてる方だぞ? 次にもし隊長が、とかって出だししたら、本当に解任させるからな?」
「え、いや、その、えっと……隊長殿が――」
「よし、聞いたなマール、ルック。解任だ。明日にでもこれを隊長に――」
「隊長殿が変なの!」
「へ?」
3人の目が点になる。
あれ? また間違ったかな。
いや、今度はちゃんと言えた。
隊長殿が変だって。
なのにこの反応は何だろう?
「……変? 隊長が?」
マールが心底不安そうに首をかしげる。
「あははー、やっぱり訳が分からないねー」
ルックはなんだかもう色々と放棄してる感じ。
そして残るはウィットだけど。
「隊長って、貴様が変なのは元からだろ?」
「違うって、隊長殿! ジャンヌの隊長殿のこと!」
もう、なんで通じないかなー!
「…………いや、まぁ確かに講和会議の後はひどい感じだったが」
「そうじゃないの。いや、それもそうなんだけど、最近変なの」
一応、リナさんから話は聞いた。
落ち込んでるのを励ました、ということは。
けど再び一緒に暮らしていく中で、ちょっと、というかかなりの変化が見られたりするのだ。
「変ってなぁ……」
「そういえば最近会ってないから分からないかなー」
「ちなみに具体的にはどういうところが変なの?」
マールの質問に、私は最近で一番の出来事を公開することにした。
「なんと昨日、一緒にお風呂に入ってくれました」
「おい、誰か金づち持ってこい。こいつを撲殺する」
「まぁまぁー、クロエにしてはすごい変化だったんじゃないかなー? だよね、マール?」
「それは羨ま――」
「え?」
「げふんっ! じゃなくて、確かにいつものクロエと隊長を見てると少し変かな?」
なんか今、マールが変なこと言わなかった?
ま、いっか。
「で、で! ほかには何かないの?」
「あとは、うーん、うーん……」
「ほら、何もないだろ。どうせこいつの思い違いだ。これ以上は時間の無駄だ」
「強いてあげるなら今までなかった寝坊したり、朝食を食べなかったり、ぶつぶつと独り言いったり、道行く人にぶつかったり、人の名前間違ったり、お鍋を焦がしたり、お風呂でおぼれかけたり、夜はなんか寝言が激しかったりするくらいかな。あ、あとそんな隊長殿を見てニーアがブチ切れ寸前だったり」
「重症じゃない!」
「てかそっちを先に言え!」
「いやー、さすがクロエだね。優先順位のあたり」
なんか3人同時に怒鳴られた。
ちゃんと言ったのになんで……。
「えっと、それって完全に疲れてるんじゃなく? 前もあったよね、隊長が働きすぎて倒れた時」
「ううん、ちゃんと夜は寝てるし、あの時ほど変な感じではなかったかな。どちらかというと、生気がないとかそっちの方」
「それは……やっぱり、講和の?」
「多分。一応、リナさんに元気づけられたみたいだけど、前みたいな感じとは違うのは確か」
「うーん、隊長がそこまで思い詰めてるってことなのか……」
「確かにこれは緊急事態だねー」
ようやく事の重大さが分かったみたいで、ほっと一安心。
本当は自分だけで解決して、隊長殿によしよしをしてもらいたかったけど、もう時期が時期だ。
あと数日したら停戦が終わる。
だからこそ、クロエ隊の知恵を借りたかったわけで。
「しかし、俺たちに何ができるか……」
「かぁーつ! ウィットは諦めがよすぎ! そんなんだから私に負けるの!」
「なっ、それとこれは関係ないだろ! 今なら貴様に圧勝だ!」
「なら今すぐやる!?」
「おう、受けて立つ!」
「はいはい、あんたらはもうその辺にしなさい」
ヒートアップしたところにマールが仲介に入ってきた。
むぅ、影の隊長は相変わらず適格だ。しょうがない、ここはマールに免じて許してあげよう。
だが愚かなウィットは収まらなかったようで、
「マールは黙っててくれ! いい加減、俺はこいつと決着をつけなきゃ気が済まん!」
「ウィットが熱くなってどうするのよ。監察官なら冷静に、公正にならないとダメなんじゃない?」
「けが人がとやかく言うな! お前は大体――」
「……あ痛たたたー。叫んだらお腹の傷がー。皇帝陛下を守った名誉の傷がー。ウィットのせいで痛いなー」
「え?」
「これ以上反論すると、お腹の傷が開くなー。そうなったら隊長は悲しむだろうなー。残念だなー」
「ぐっ……卑怯な。わ、分かった。怒鳴ってすまなかった」
おお、マールが怪我を持ち出してウィットを黙らせた。
ちょっと腹黒な感じになってるマール。成長してる!
「んー、でもやっぱりこれは難しい気がするかな」
「そんな、マールまで!」
「あ、いや。難しいって話。リナさんがやってダメだったんだから、ちょっとやそっとじゃどうしようもないと思う。下手に元気づけようとしても、逆効果になる可能性もあるし」
「八方ふさがりだねー」
「そうだな。俺たちができるのは、隊長のために命を捨てるくらいだろうが、それもあの人は――」
「それだ!」
「え?」
「隊長殿に私の心意気をぶつければいいんだ!」
「貴様の?」
「心意気?」
「あー、またクロエが飛ばしてるねー」
なんかルックに不当な評価をもらった気がするけど、この際パス。
「ちなみに聞くけど、皆も何があろうと隊長殿についていく? その覚悟がある?」
いないとは思うけど、これからやろうとしているのは、それ相応の覚悟が必要。
隊長殿にその心意気を示せば、きっと元気になる、はず!
「なめているのか、貴様。愚問だろう」
いちいち偉そうにしないとしゃべれないのか、ウィットは。
「この体でどこまでできるかわからないけど、もちろん」
マールは本当に頼もしい。その献身ぶり、素敵だ。
「なんとかやってみせるよー」
ルックは……うん、たぶん大丈夫。
とはいえ、ちゃんと幹部全員の心境を改めて知れたのはよいこと。
なら、あとはもう隊長殿にこの気持ちを分かってもらえれば、きっと元気になってくれるはず!
「はい、もう分かったんで解散です、解散ー!」
「ちょ、おい! 解散って……貴様、何するきだ!?」
「ウィット、私たちにできることはやったわ」
「そうだねー。こうなったクロエはもう止められないかなー」
「ぐぐ……おい、貴様! 隊長に変なことをしたら、それこそ許さんぞ!」
まったく失礼な。
私が隊長殿に変なことをするわけないじゃない。こっちがもたないって。
てかウィットに許されるためにやるんじゃないし。
というわけで、早速、その日の夜に作戦を決行することになった。
名付けて『隊長殿を元気にしよう! これが私の生きる道』作戦スタート!
切り出すタイミングは見定めた。
夕飯の後、2人きりで食後のティータイムの時間だ。
「あの! 隊長殿!」
「……ん、どうした?」
突然声を張り上げたからか、少し驚いたように目を見開いた隊長殿。
だけどどうも反応が薄い。
どうする。
ここで例のプランを決行するか?
「えっと、ですね……」
いや、無理!
隊長殿のことならいくらでも恥知らずになれるけど、今度ばかりは無理!
てゆうか飛んだ。隊長殿を元気づけるための100の言葉も、私の心意気も、何もかも全部。頭真っ白!
けど今更、言葉をひっこめられない。
なら少しでも何か、隊長殿を元気づけられるような言葉を。
もうわからないから即興で行く!
「私は……その、ウィットやマールやルック、それ以外の元ジャンヌ隊のみんなは……その、大丈夫ですから!」
「はぁ……」
あぁ、大失敗!
誰だ隊長殿を元気づけようなんて言い出したのはい私ですすみませんでした!
あー、もう。何を言っていいかわからない。
だから思ったこと、感じたこと、それをすべて、言葉に乗せてぶつける。
「私は、私たちは、たとえどんなことになろうとも、隊長殿をお守りし、ともに戦うことを誓うのです!」
正直、なんの話だと思う。
言うことに欠いて、そんな当然のことを今更。
きっと隊長殿もあきれ果てているに違いない。
だからそのお顔を見るのが少し怖くて、でも怖いもの見たさでちらっと視線を上げると、
「そう、だな。ありがとう、クロエ」
そう言ってほほ笑む隊長殿。
そのお顔に屈託はなく、久しぶりに見た隊長殿の素敵笑顔に、あれ、なんだろう、視界が……揺れる。
あー、やっちゃった。
けどしょうがないよね。
そんな満点の笑顔を見せられちゃ。
もう、尊すぎて、私の意識は耐え切れずにブラックアウトした。
「そうか、緊急事態だな。貴様の頭が」
「なんでウィットはすぐ噛みつくかなー!」
まったく、本当にウィットはわかってない。
何が重要なのかもわかってないのだ。
「貴様が言う緊急事態はほとんど大したことないからな」
「そういえば前もあったよね。隊長がかまってくれないとか」
「あー、あったねー。ビンゴに行ってた時だねー」
こうして夜な夜な、忙しい合間を縫ってウィット、ルック、そして王都に運ばれて療養中のマールに集まってもらったのだ。
そんな程度の低いことを話すわけないじゃない!
「それはちょっとこのクロエさんをなめすぎじゃないかな? もはや隊長となった私は、以前までの私じゃない! そう、ニュー・アッパー・クロエ隊長と呼んでもらおうかな!」
「ほぅ、そこまでなら当然ちゃんとした内容だろうな? オールド・ダウナー・クロエ組長」
「なんか劣化してる!」
むぅ、本当にこの男はやかましい。
けどまぁいいや。きっとこれを聞けば、おおさすがは隊長、と認めなおすに違いない。
だから私はすうっと吸い込み、
「隊長殿が構ってくれない!」
「よし、帰るぞマール、ルック。というかこれ、もう強権発動していいよな? 隊長に報告して解任動議を発動していいよな!」
「う、うーん? そうなの、かな?」
「あははー」
あれ? ちょっとなんか変な様子?
あ、てかもしかして言うの間違えた!?
「ちょっと待った! 今のなし! 間違い!」
「貴様な……そろそろいい加減にしろよ? これでも抑えてる方だぞ? 次にもし隊長が、とかって出だししたら、本当に解任させるからな?」
「え、いや、その、えっと……隊長殿が――」
「よし、聞いたなマール、ルック。解任だ。明日にでもこれを隊長に――」
「隊長殿が変なの!」
「へ?」
3人の目が点になる。
あれ? また間違ったかな。
いや、今度はちゃんと言えた。
隊長殿が変だって。
なのにこの反応は何だろう?
「……変? 隊長が?」
マールが心底不安そうに首をかしげる。
「あははー、やっぱり訳が分からないねー」
ルックはなんだかもう色々と放棄してる感じ。
そして残るはウィットだけど。
「隊長って、貴様が変なのは元からだろ?」
「違うって、隊長殿! ジャンヌの隊長殿のこと!」
もう、なんで通じないかなー!
「…………いや、まぁ確かに講和会議の後はひどい感じだったが」
「そうじゃないの。いや、それもそうなんだけど、最近変なの」
一応、リナさんから話は聞いた。
落ち込んでるのを励ました、ということは。
けど再び一緒に暮らしていく中で、ちょっと、というかかなりの変化が見られたりするのだ。
「変ってなぁ……」
「そういえば最近会ってないから分からないかなー」
「ちなみに具体的にはどういうところが変なの?」
マールの質問に、私は最近で一番の出来事を公開することにした。
「なんと昨日、一緒にお風呂に入ってくれました」
「おい、誰か金づち持ってこい。こいつを撲殺する」
「まぁまぁー、クロエにしてはすごい変化だったんじゃないかなー? だよね、マール?」
「それは羨ま――」
「え?」
「げふんっ! じゃなくて、確かにいつものクロエと隊長を見てると少し変かな?」
なんか今、マールが変なこと言わなかった?
ま、いっか。
「で、で! ほかには何かないの?」
「あとは、うーん、うーん……」
「ほら、何もないだろ。どうせこいつの思い違いだ。これ以上は時間の無駄だ」
「強いてあげるなら今までなかった寝坊したり、朝食を食べなかったり、ぶつぶつと独り言いったり、道行く人にぶつかったり、人の名前間違ったり、お鍋を焦がしたり、お風呂でおぼれかけたり、夜はなんか寝言が激しかったりするくらいかな。あ、あとそんな隊長殿を見てニーアがブチ切れ寸前だったり」
「重症じゃない!」
「てかそっちを先に言え!」
「いやー、さすがクロエだね。優先順位のあたり」
なんか3人同時に怒鳴られた。
ちゃんと言ったのになんで……。
「えっと、それって完全に疲れてるんじゃなく? 前もあったよね、隊長が働きすぎて倒れた時」
「ううん、ちゃんと夜は寝てるし、あの時ほど変な感じではなかったかな。どちらかというと、生気がないとかそっちの方」
「それは……やっぱり、講和の?」
「多分。一応、リナさんに元気づけられたみたいだけど、前みたいな感じとは違うのは確か」
「うーん、隊長がそこまで思い詰めてるってことなのか……」
「確かにこれは緊急事態だねー」
ようやく事の重大さが分かったみたいで、ほっと一安心。
本当は自分だけで解決して、隊長殿によしよしをしてもらいたかったけど、もう時期が時期だ。
あと数日したら停戦が終わる。
だからこそ、クロエ隊の知恵を借りたかったわけで。
「しかし、俺たちに何ができるか……」
「かぁーつ! ウィットは諦めがよすぎ! そんなんだから私に負けるの!」
「なっ、それとこれは関係ないだろ! 今なら貴様に圧勝だ!」
「なら今すぐやる!?」
「おう、受けて立つ!」
「はいはい、あんたらはもうその辺にしなさい」
ヒートアップしたところにマールが仲介に入ってきた。
むぅ、影の隊長は相変わらず適格だ。しょうがない、ここはマールに免じて許してあげよう。
だが愚かなウィットは収まらなかったようで、
「マールは黙っててくれ! いい加減、俺はこいつと決着をつけなきゃ気が済まん!」
「ウィットが熱くなってどうするのよ。監察官なら冷静に、公正にならないとダメなんじゃない?」
「けが人がとやかく言うな! お前は大体――」
「……あ痛たたたー。叫んだらお腹の傷がー。皇帝陛下を守った名誉の傷がー。ウィットのせいで痛いなー」
「え?」
「これ以上反論すると、お腹の傷が開くなー。そうなったら隊長は悲しむだろうなー。残念だなー」
「ぐっ……卑怯な。わ、分かった。怒鳴ってすまなかった」
おお、マールが怪我を持ち出してウィットを黙らせた。
ちょっと腹黒な感じになってるマール。成長してる!
「んー、でもやっぱりこれは難しい気がするかな」
「そんな、マールまで!」
「あ、いや。難しいって話。リナさんがやってダメだったんだから、ちょっとやそっとじゃどうしようもないと思う。下手に元気づけようとしても、逆効果になる可能性もあるし」
「八方ふさがりだねー」
「そうだな。俺たちができるのは、隊長のために命を捨てるくらいだろうが、それもあの人は――」
「それだ!」
「え?」
「隊長殿に私の心意気をぶつければいいんだ!」
「貴様の?」
「心意気?」
「あー、またクロエが飛ばしてるねー」
なんかルックに不当な評価をもらった気がするけど、この際パス。
「ちなみに聞くけど、皆も何があろうと隊長殿についていく? その覚悟がある?」
いないとは思うけど、これからやろうとしているのは、それ相応の覚悟が必要。
隊長殿にその心意気を示せば、きっと元気になる、はず!
「なめているのか、貴様。愚問だろう」
いちいち偉そうにしないとしゃべれないのか、ウィットは。
「この体でどこまでできるかわからないけど、もちろん」
マールは本当に頼もしい。その献身ぶり、素敵だ。
「なんとかやってみせるよー」
ルックは……うん、たぶん大丈夫。
とはいえ、ちゃんと幹部全員の心境を改めて知れたのはよいこと。
なら、あとはもう隊長殿にこの気持ちを分かってもらえれば、きっと元気になってくれるはず!
「はい、もう分かったんで解散です、解散ー!」
「ちょ、おい! 解散って……貴様、何するきだ!?」
「ウィット、私たちにできることはやったわ」
「そうだねー。こうなったクロエはもう止められないかなー」
「ぐぐ……おい、貴様! 隊長に変なことをしたら、それこそ許さんぞ!」
まったく失礼な。
私が隊長殿に変なことをするわけないじゃない。こっちがもたないって。
てかウィットに許されるためにやるんじゃないし。
というわけで、早速、その日の夜に作戦を決行することになった。
名付けて『隊長殿を元気にしよう! これが私の生きる道』作戦スタート!
切り出すタイミングは見定めた。
夕飯の後、2人きりで食後のティータイムの時間だ。
「あの! 隊長殿!」
「……ん、どうした?」
突然声を張り上げたからか、少し驚いたように目を見開いた隊長殿。
だけどどうも反応が薄い。
どうする。
ここで例のプランを決行するか?
「えっと、ですね……」
いや、無理!
隊長殿のことならいくらでも恥知らずになれるけど、今度ばかりは無理!
てゆうか飛んだ。隊長殿を元気づけるための100の言葉も、私の心意気も、何もかも全部。頭真っ白!
けど今更、言葉をひっこめられない。
なら少しでも何か、隊長殿を元気づけられるような言葉を。
もうわからないから即興で行く!
「私は……その、ウィットやマールやルック、それ以外の元ジャンヌ隊のみんなは……その、大丈夫ですから!」
「はぁ……」
あぁ、大失敗!
誰だ隊長殿を元気づけようなんて言い出したのはい私ですすみませんでした!
あー、もう。何を言っていいかわからない。
だから思ったこと、感じたこと、それをすべて、言葉に乗せてぶつける。
「私は、私たちは、たとえどんなことになろうとも、隊長殿をお守りし、ともに戦うことを誓うのです!」
正直、なんの話だと思う。
言うことに欠いて、そんな当然のことを今更。
きっと隊長殿もあきれ果てているに違いない。
だからそのお顔を見るのが少し怖くて、でも怖いもの見たさでちらっと視線を上げると、
「そう、だな。ありがとう、クロエ」
そう言ってほほ笑む隊長殿。
そのお顔に屈託はなく、久しぶりに見た隊長殿の素敵笑顔に、あれ、なんだろう、視界が……揺れる。
あー、やっちゃった。
けどしょうがないよね。
そんな満点の笑顔を見せられちゃ。
もう、尊すぎて、私の意識は耐え切れずにブラックアウトした。
0
あなたにおすすめの小説
聖女を追放した国の物語 ~聖女追放小説の『嫌われ役王子』に転生してしまった。~
猫野 にくきゅう
ファンタジー
国を追放された聖女が、隣国で幸せになる。
――おそらくは、そんな内容の小説に出てくる
『嫌われ役』の王子に、転生してしまったようだ。
俺と俺の暮らすこの国の未来には、
惨めな破滅が待ち構えているだろう。
これは、そんな運命を変えるために、
足掻き続ける俺たちの物語。
追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚
ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。
しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。
なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!
このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。
なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。
自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!
本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。
しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。
本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。
本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。
思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!
ざまぁフラグなんて知りません!
これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。
・本来の主人公は荷物持ち
・主人公は追放する側の勇者に転生
・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です
・パーティー追放ものの逆側の話
※カクヨム、ハーメルンにて掲載
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった
盛平
ファンタジー
パティは教会に捨てられた少女。パティは村では珍しい黒い髪と黒い瞳だったため、村人からは忌子といわれ、孤独な生活をおくっていた。この世界では十歳になると、神さまから一つだけ魔法を授かる事ができる。パティは神さまに願った。ずっと側にいてくれる友達をくださいと。
神さまが与えてくれた友達は、犬、猫、インコ、カメだった。友達は魔法でパティのお願いを何でも叶えてくれた。
パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。
ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。
勇者をしている者なんですけど、キモデブ装甲のモブAにチェンジ魔法を使われて、身体が入れ替わった!? ありがとうモブA!やっと解放された!
くらげさん
ファンタジー
雑草のように湧いてくる魔王の討伐を1000年のあいだ勇者としてこなしてきたら、キモデブ装甲のモブAに身体を取られてしまった。
モブAは「チェンジ魔法」のユニークスキル持ちだった。
勇者は勇者を辞めたかったから丁度良かったと、モブAに変わり、この姿でのんびり平和に暮らして行こうと思った。
さっそく家に帰り、妹に理由を話すと、あっさりと信じて、勇者は妹が見たかった景色を見せてやりたいと、1000年を取り戻すような旅に出掛けた。
勇者は勇者の名前を捨てて、モブオと名乗った。
最初の街で、一人のエルフに出会う。
そしてモブオはエルフが街の人たちを殺そうとしていると気付いた。
もう勇者じゃないモブオは気付いても、止めはしなかった。
モブオは自分たちに関係がないならどうでもいいと言って、エルフの魔王から二週間の猶予を貰った。
モブオは妹以外には興味なかったのである。
それから妹はエルフの魔王と仲良くなり、エルフと別れる夜には泣き止むのに一晩かかった。
魔王は勇者に殺される。それは確定している。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる