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第6章 知力100の美少女に転生したので、世界を救ってみた
閑話24 サカキ(オムカ王国軍先鋒隊長)
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「勝った! 勝った!」
叫びながら、逃げ惑う敵を槍で屠っていく。
なんで? と思ったけど、ジャンヌからそう叫べと言われれば、従うしかない。
ま、実際に勝ってるからいいけどな。
敵は総崩れ。
我先に逃げるのを追いかけるだけだから、これは楽だ。
だがその中、敵の殿軍が奮闘している。
騎馬隊だ。
こちらに突撃やかく乱を行いながら味方を逃がそうとしている。
健気じゃねーか。
けど多勢に無勢。
手心加える相手でもなし、このまま一気にぶっ潰す。
そう思ったのだが、
「本陣から伝令! 先陣は敵の殿軍を無視して、そのまま城につけ入りするようにとのことです!」
っと、そう来るか。
はっ、人使いが荒いねぇ。
けど、それがいい。
もっと俺たちを酷使しろ。
そうやってこそ、勝利が確定的なものになる。
「てめぇら! ジャンヌからの恋文だ! このまま一気に攻め入って、あの城をジャンヌへの結納品にすっぞ!」
「うおおおおおおお!」
走る。
まだ、走れる。
前の傷が開くとか、そういうものじゃない。
もう体中が新旧の傷まみれ。
あまり激しい運動をすると、どこかで傷が破れて、下手したら体の中で血が溜まると言われた。
けどそれがどうした。血気なんてありあまってるんだ。少しくらい溜めたところで問題ない。
それに、あいつが頑張ってるんだ。
女王様を、オムカを守ろうと頑張ってるんだ。
俺に生き様をくれたあいつに、恩返ししてやろうじゃねぇか。
敵を倒しながら、城へ迫る。
もうあと500メートルもない。
このまま――
「隊長ぉ!」
部下の怒声。
分かってる。
さっきからぶんぶんうるさい奴。
だが俺たちの追撃を、たった3千で止めようと考えてるすげぇやつ。
「来るぞ! 槍衾!」
馬蹄の方向に槍を向ける。
これで敵の動きを止める。
だがその直前。信じられない動きをした。
ほぼ直角に、左に折れ曲がった。
俺らが槍衾を用意すると同時、いや、その直前だ。
そして左は、槍衾の欠点。
槍を体の右側に持ったまま並ぶから、左に向き直るにはひと手間必要だ。
そのひと手間が、戦場では致命傷になる。
「左! 迎撃ぃ!!」
叫ぶ。
だがそれでどうにかなるものではない。
部隊がぶん殴られたような衝撃を受ける。
悲鳴。そして血しぶきがあがる。
止まることなんてしない。そのまま一直線に部隊を切り裂かれる。あの淡英の野郎がやられたのと同じやり方だ。
それがどうも、侮辱されているようで、部下を殺された怒りで、頭に血が上る。
「こんの野郎!」
「隊長!」
「てめぇらは追撃だ! 俺は奴を殺る!」
あれを野放しにしたらもっと味方が死ぬ。
だから殺られる前に殺る。
最後尾。
その敵兵に槍を投げて落馬させる。
その前には走り出している。
そのまま、馬に飛び乗った。
部下を足蹴にしないよう、馬を操って敵の最後尾に噛みつく。
これでもハワードの爺さんにさんざんしごかれたんだ。今は歩兵だが、馬の扱いには慣れている。
主が変わってか、馬がいななく。
へっ、安心しろよ。前の主よりちゃんと扱ってやるからよ。
敵の騎馬隊の最後尾を数騎落とすと、敵が十人規模で襲い掛かってくる。
ここは無理せず距離を取る。
雑魚をいくら潰しても意味はない。
狙うは大将だ。
俺が戦える時間もそう残ってない。
だからせめて、大物を上げたかったのもある。
と、そこへ別方向から馬蹄の音が来た。
「先鋒隊長!? なにしてんすか!?」
「おぅ、ブリーダか」
どうやらブリーダが、この騎馬隊の抑えに回ったようだ。
けどいいように振り回されてるらしい。まだまだだな。
「へっ、てめぇの隊がふがいないから、こうして俺がやってやろうってさ」
「む、ちょっと手こずってるだけっす」
「そう。この無能が仕事してないだけ。先鋒隊長はさっさと馬を降りて敵に突っ込んでろです」
「言うねぇ、お嬢ちゃん」
ブリーダの副官のお嬢ちゃんの言葉は明らかに上官侮辱罪だが、逆にその反骨精神がほほえましい。
「なら俺の馬術もちゃんと見てな。そこらの奴よりは――来るぞ!」
くっちゃべってる時間は終わりだ。
敵が旋回しながらこちらに突っ込んでくる。
追撃を止めるより、邪魔なこちらを先に始末しようということだろう。
駆けだす。俺が先頭。
ブリーダの舌打ちが聞こえてきそうだ。
敵との距離がぐんぐん縮まっていく。
先頭。それが敵の大将。
小さい。女。少女だ。ジャンヌ。いや、違う。こいつは、敵。
妄念を、捨てろ。
全身全霊をもって、こいつを殺す。
はせ違った。
剣は、お互いの体に触れなかった。
相手が避けたのだ。
なら、届くまでやる。
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
叫ぶ。そのことによって、力を、命を振り絞るように。
敵を叩き落とした。
剣。斬られた。浅い。斬りかえす。落とした。左。叩き斬る。そのまま抜ける。
背後を取った。
女の背中。
振り向く。獣みたいな顔でこちらを睨んでくる少女。
ジャンヌじゃない。
ならいい。剣が来る。弾いた。相手の態勢が崩れる。
斬った。
反射的だった。
相手の隙を、考えもせずに斬った。
背中から脇にかけて。手ごたえはあった。深いはずだが、まだ死んでない。
首が、胴体から離れていない限りは安心できない。
怒声。左右から剣が来る。防いだ。防ぎきれなかった。
痛みが走る。だがそれがどうした。もう俺の体に腐るほど傷がある。それが1つ2つ増えようが、どうってことない。
それより、せめてあと一太刀。
それであいつを殺れる。
なのに、届かない。
馬が斬られていた。
速度がどんどん落ち、殺すべき相手はどんどん離れていく。
あーあ、逃しちまった。
馬が足を折る。
お前。よくやってくれた。
俺の最後の戦いに付き合ってくれた。
ありがとよ。
倒れた。俺も、吹き飛ばされた。
馬は死んでいた。
俺は死んでいない。
まだ、生き続ける。
「先鋒隊長!」
ブリーダの声。
馬蹄の音が近くにして、顔を上げればブリーダたちがそこにいた。
ブリーダは1頭の馬を引いていて、俺の方へと手綱を差し出してきた。
「どうぞ、これに」
「ああ、ありがとな。で、追撃は?」
「残念っすが、眼前で門が閉じたみたいっす」
「そうか……」
残念だ。
倒せなかったこと以上に、帝国を倒すチャンスを逃した以上に、その瞬間をもう二度と目にできないと思うと。
けど後悔はない。
ジャンヌならやってくれる。必ず。
だから、これでいい。
「戻られるっすか?」
「ああ……そうだな」
指揮を放棄して敵を追い、取り逃がした上にこのざまだ。
ジャンヌに怒られても仕方ないだろう。
いや、怒られることすらも愛おしい。
だから戻ろう。
俺の場所に。あいつの場所に。
「戻ろう、ジャンヌの元に」
叫びながら、逃げ惑う敵を槍で屠っていく。
なんで? と思ったけど、ジャンヌからそう叫べと言われれば、従うしかない。
ま、実際に勝ってるからいいけどな。
敵は総崩れ。
我先に逃げるのを追いかけるだけだから、これは楽だ。
だがその中、敵の殿軍が奮闘している。
騎馬隊だ。
こちらに突撃やかく乱を行いながら味方を逃がそうとしている。
健気じゃねーか。
けど多勢に無勢。
手心加える相手でもなし、このまま一気にぶっ潰す。
そう思ったのだが、
「本陣から伝令! 先陣は敵の殿軍を無視して、そのまま城につけ入りするようにとのことです!」
っと、そう来るか。
はっ、人使いが荒いねぇ。
けど、それがいい。
もっと俺たちを酷使しろ。
そうやってこそ、勝利が確定的なものになる。
「てめぇら! ジャンヌからの恋文だ! このまま一気に攻め入って、あの城をジャンヌへの結納品にすっぞ!」
「うおおおおおおお!」
走る。
まだ、走れる。
前の傷が開くとか、そういうものじゃない。
もう体中が新旧の傷まみれ。
あまり激しい運動をすると、どこかで傷が破れて、下手したら体の中で血が溜まると言われた。
けどそれがどうした。血気なんてありあまってるんだ。少しくらい溜めたところで問題ない。
それに、あいつが頑張ってるんだ。
女王様を、オムカを守ろうと頑張ってるんだ。
俺に生き様をくれたあいつに、恩返ししてやろうじゃねぇか。
敵を倒しながら、城へ迫る。
もうあと500メートルもない。
このまま――
「隊長ぉ!」
部下の怒声。
分かってる。
さっきからぶんぶんうるさい奴。
だが俺たちの追撃を、たった3千で止めようと考えてるすげぇやつ。
「来るぞ! 槍衾!」
馬蹄の方向に槍を向ける。
これで敵の動きを止める。
だがその直前。信じられない動きをした。
ほぼ直角に、左に折れ曲がった。
俺らが槍衾を用意すると同時、いや、その直前だ。
そして左は、槍衾の欠点。
槍を体の右側に持ったまま並ぶから、左に向き直るにはひと手間必要だ。
そのひと手間が、戦場では致命傷になる。
「左! 迎撃ぃ!!」
叫ぶ。
だがそれでどうにかなるものではない。
部隊がぶん殴られたような衝撃を受ける。
悲鳴。そして血しぶきがあがる。
止まることなんてしない。そのまま一直線に部隊を切り裂かれる。あの淡英の野郎がやられたのと同じやり方だ。
それがどうも、侮辱されているようで、部下を殺された怒りで、頭に血が上る。
「こんの野郎!」
「隊長!」
「てめぇらは追撃だ! 俺は奴を殺る!」
あれを野放しにしたらもっと味方が死ぬ。
だから殺られる前に殺る。
最後尾。
その敵兵に槍を投げて落馬させる。
その前には走り出している。
そのまま、馬に飛び乗った。
部下を足蹴にしないよう、馬を操って敵の最後尾に噛みつく。
これでもハワードの爺さんにさんざんしごかれたんだ。今は歩兵だが、馬の扱いには慣れている。
主が変わってか、馬がいななく。
へっ、安心しろよ。前の主よりちゃんと扱ってやるからよ。
敵の騎馬隊の最後尾を数騎落とすと、敵が十人規模で襲い掛かってくる。
ここは無理せず距離を取る。
雑魚をいくら潰しても意味はない。
狙うは大将だ。
俺が戦える時間もそう残ってない。
だからせめて、大物を上げたかったのもある。
と、そこへ別方向から馬蹄の音が来た。
「先鋒隊長!? なにしてんすか!?」
「おぅ、ブリーダか」
どうやらブリーダが、この騎馬隊の抑えに回ったようだ。
けどいいように振り回されてるらしい。まだまだだな。
「へっ、てめぇの隊がふがいないから、こうして俺がやってやろうってさ」
「む、ちょっと手こずってるだけっす」
「そう。この無能が仕事してないだけ。先鋒隊長はさっさと馬を降りて敵に突っ込んでろです」
「言うねぇ、お嬢ちゃん」
ブリーダの副官のお嬢ちゃんの言葉は明らかに上官侮辱罪だが、逆にその反骨精神がほほえましい。
「なら俺の馬術もちゃんと見てな。そこらの奴よりは――来るぞ!」
くっちゃべってる時間は終わりだ。
敵が旋回しながらこちらに突っ込んでくる。
追撃を止めるより、邪魔なこちらを先に始末しようということだろう。
駆けだす。俺が先頭。
ブリーダの舌打ちが聞こえてきそうだ。
敵との距離がぐんぐん縮まっていく。
先頭。それが敵の大将。
小さい。女。少女だ。ジャンヌ。いや、違う。こいつは、敵。
妄念を、捨てろ。
全身全霊をもって、こいつを殺す。
はせ違った。
剣は、お互いの体に触れなかった。
相手が避けたのだ。
なら、届くまでやる。
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
叫ぶ。そのことによって、力を、命を振り絞るように。
敵を叩き落とした。
剣。斬られた。浅い。斬りかえす。落とした。左。叩き斬る。そのまま抜ける。
背後を取った。
女の背中。
振り向く。獣みたいな顔でこちらを睨んでくる少女。
ジャンヌじゃない。
ならいい。剣が来る。弾いた。相手の態勢が崩れる。
斬った。
反射的だった。
相手の隙を、考えもせずに斬った。
背中から脇にかけて。手ごたえはあった。深いはずだが、まだ死んでない。
首が、胴体から離れていない限りは安心できない。
怒声。左右から剣が来る。防いだ。防ぎきれなかった。
痛みが走る。だがそれがどうした。もう俺の体に腐るほど傷がある。それが1つ2つ増えようが、どうってことない。
それより、せめてあと一太刀。
それであいつを殺れる。
なのに、届かない。
馬が斬られていた。
速度がどんどん落ち、殺すべき相手はどんどん離れていく。
あーあ、逃しちまった。
馬が足を折る。
お前。よくやってくれた。
俺の最後の戦いに付き合ってくれた。
ありがとよ。
倒れた。俺も、吹き飛ばされた。
馬は死んでいた。
俺は死んでいない。
まだ、生き続ける。
「先鋒隊長!」
ブリーダの声。
馬蹄の音が近くにして、顔を上げればブリーダたちがそこにいた。
ブリーダは1頭の馬を引いていて、俺の方へと手綱を差し出してきた。
「どうぞ、これに」
「ああ、ありがとな。で、追撃は?」
「残念っすが、眼前で門が閉じたみたいっす」
「そうか……」
残念だ。
倒せなかったこと以上に、帝国を倒すチャンスを逃した以上に、その瞬間をもう二度と目にできないと思うと。
けど後悔はない。
ジャンヌならやってくれる。必ず。
だから、これでいい。
「戻られるっすか?」
「ああ……そうだな」
指揮を放棄して敵を追い、取り逃がした上にこのざまだ。
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