知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第2章 南郡平定戦

閑話18 ユン将軍(ワーンス王国 大大大将軍)

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 オムカ王国にそう良い感情は持っていなかった。
 属領のくせに、何を対等な顔をして語りかけて来るのか。

 そもそも先の援軍が余計だった。
 あのまま私に任せていれば、ドスガらを鎧袖一触にして、今頃は南郡の全土を駆け巡って鎮圧していただろうに。

 気にくわない。

 だからオムカとドスガ、どちらにつくかの話が行われた時、その席でなんだかんだと抜かしている奴らに一括してやった。

『そもそも我が国は帝国に頭を下げたとはいえ、1つの独立国として存在していた! 帝国の属領となったオムカとは全く立場も権利も違うのだ! それなのに半年前に独立しただけの、王都しか領土を持たないオムカになぜ我々が迎合げいごうしなければならないのか! そもそも南郡は我ら南郡の国のものである! そこにわずかとはいえ軍を駐留させるなど、我々を舐めている証拠であろう!』

 その言葉が効いたのか、廷臣どもは続々と私の側に立った。そうなれば懸命な我が王のことだ。体を震わせながら俺を大大大将軍に任じた。
 我ながら政治の才能もあったようだ。結局、オムカとの協調は破棄され、ドスガ王国と共にフィルフを討つわけになったのだが。

『貴国には、オムカからの援軍を足止めしていただきたい。なに、あの隘路を使えば簡単でしょう。もちろん働きには恩で応えると我が王は言っております。4国で平等にフィルフの国土を分割しましょう』

 それにしても、あのドスガから来たマツナガという男。こちらをやる気にさせるのが上手い。
 こちらとしても悪い話ではない。あの生意気なガキに仕返しもできるだけでなく、それで領土が増えるのだから断る必要がないのだ。

 あのマツナガという男に会ってから、どうも気持ちが昂り、いつも以上の力が出せるような気がする。
 今もこうして、何度目になるか数えるのも煩わしいオムカの突撃を跳ね返していた。

「ふはははは! オムカの雑魚どもめ! そこで無意味な突撃を繰り返し、同胞が死に絶えるのを指をくわえて見ているがいい!」

 フィルフの城壁ももってあと数日ということらしい。
 倍以上の兵力で攻めあげているのだから当然と言えば当然。

 だからあと数日。
 ここで耐えれば我らの勝ちが決まる。

 まずはフィルフの領土を奪う。それでいい。そこからトロンとスーンと組んで、ドスガを攻め滅ぼす。そこで我が軍の武威を見せれば、トロンもスーンも戦わずして屈するだろう。拒んだとしても、ワーンス、フィルフ、ドスガの兵を集めれば圧倒的兵力差に勝てる者はいない。

 そうなったらあとは南郡の兵をまとめ、オムカに攻め入りそのまま帝国を打倒することも可能だろう。
 その時の指揮をとるのはこの私。ユン大大大将軍なのだ!

「伝令!」

 せっかくのいい気分に水をさされた気分だ。
 少し不愉快な気分で答える。

「なんだ?」

「背後に敵が現れました!」

「ほぅ……は、背後だと!?」

 馬鹿な。
 背後から敵が来るわけがない。誤報だ。
 背後に続く道はない。

「そんな誤報を信じると思うか!」

「ご、誤報ではありません! お聞きください! 現在、後ろ備えの部隊が戦っております!」

 確かに聞こえる。
 背後から喚声、そして悲鳴が。

 馬鹿な。
 本当に敵なのか。
 あるいは南郡の誰かが裏切ったのか?

 ありえない。この私を裏切るなど。
 だが敵はいる。まさか空を飛んできたとでも言うのか!?

「将軍! 前方からも再び攻めて参りました!」

「将軍! どちらの敵に当たればよいのでしょうか!?」

「ええい、前だ前! あやつらに突破されては我が国の面目は丸つぶれぞ!」

「――面目なんて、犬にでも食わせておけよ、ユン大将軍?」

「誰だ、無礼であろう!」

 振り返る。
 そこに女子おなごがいた。

 戦場にふさわしくない、小柄な体躯に年齢に反しどこか色香をまとう怪しき娘。

「き、き、貴様は――ジャンヌとかいう小娘!」

 まさかこの娘が!?
 空を飛んだというのか!?
 魔法の使い手だというのか!?

「大将軍に覚えてもらって光栄だ。だが忘れてもらっていい。俺もすぐ忘れる。ワーンスの離反を、お前の首で帳消しにする」

 なんだと!?

 それは声にならなかった。
 小娘の左右から一組の男女が飛び出したからだ。

 その片割れは知っている。
 あのドスガ王国との戦いの時に、ドスガ四天王の1人を討ち取った勇者。

 その刃が今、自分に向けられていると知った時の恐怖!
 馬鹿な!
 この私が!
 こんなところで!

「おんのぉぉぉぉれぇぇぇぇぇ! この小娘がぁぁぁぁぁぁ!」

 衝撃。
 空が見えた。

 青い、青い空。
 故郷へとつながる空。

 そしてすべてが暗転した。
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