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第3章 帝都潜入作戦
第20話 タルフ関
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ヨジョー城から川を渡って1週間も移動すれば景色が変わってきた。
緑豊かな草原や森、山、川といった大自然の量が増えてきて、それに合わせて畑や水田といったものが、オムカの何倍もの規模で広がっているのだ。
その中に軍事施設的な砦も随所に見られるのだから、ここが軍事国家の庇護のもとに統治されているエリアだと分かる。
「こりゃ国力からして違うなぁ……」
「そうですね。ざっと見の人数、それに対する収穫量からしても5倍はあるでしょう」
ザインが答えた。
どうやらこういったことにも少し知識があるらしく、どちらかと言えばやんちゃ系の彼の印象とは違って驚いた。
「心外ですね、これでも農家の次男なんですから」
「あ、そっか」
そういえば俺の隊はほとんどが農民や職人の子供ということだから、それぞれに得意としているものもあるのだ。
「ん、あのくるくる回ってる円形のなんでしょう? 水が回って……? すみません、ちょっと見てきていいですか?」
「こらこら。ザイン、俺たちはそんな堂々としてられないんだぞ。好奇心は認めるけど、今はダメ」
「あぁ……そうですね。すみません」
「まぁそうやって得た知識をうちに持ってくるのはいいな。だから帰りなら少し時間を作って見てきてよ。それと、多分あれは水車だから」
「あ、ありがとうございます! そっか、あれが水車かぁ。さすが隊長は物知りっすね」
うん、そうやって戦争だけじゃなく他のこともできる人間になってくれたらいいなぁ。
マールも色々考えてるみたいだし。
それに比べて……。
「な、なんですか隊長殿? もしかしてそろそろ私が恋しくなっちゃいました?」
「……はぁ、なんでもない」
クロエももうちょっとなぁ、ちゃんとしてくれたらどれだけ楽か。
手間のかかる妹の元祖だもんなぁ。現時点ではあっちの方が年齢上だけど。
そして、それからさらに北上していくと、平地にいきなり巨大な城が見えた。
あれが帝都……? いや、それにしては左右に長すぎる。
遠目で見ても長さ1キロ以上はあるだろう、それは中にあるものを守るというより通せんぼするような壁の意味合いが近い。
それはつまり――
「あれは……関所か?」
「はい、あれが帝都を守るタルフ関。東をエイン川が、西をグズル台地に挟まれた、帝都への玄関口です」
事情通らしくマネージャーのホーマが解説してくれた。
なるほど。難所に挟まれた空間に関所を作ってしまったわけだ。
西の大地と言っても、急こう配でしかも高さが関所並みにあるのだから、小さな山みたいなものだ。
そこから攻め登ったとしても、関所の上から台地に移動できる通路があるようで、少しの兵を回せば登ってくる敵を容易に撃退できる仕組みだろう。
三国志の虎牢関並みに厄介な砦だ。
裏を返せば、それに守られているエインの帝都は、それだけ安全という事か。
「エイン帝国の帝都は東西南北をこのような関所で囲っていると聞きます」
「こんなのがあと3つあんのか……」
3方面から一気に攻めれば帝都を下すことは簡単だと思ったが、これは認識を改めた方が良さそうだ。
まったく、本当に楽させてくれない世界だ。
「あそこが入り口になっているのでしょうか。人が集まっているようですが」
ウィットが示したのは、関の中央部分。
そこが門になっているようで、中に入ろうという人が列をなしている。
「あれは順番待ち? ちょっとめんどくさそうですねー。人が多すぎです」
「そうね。多分、今日中には通れそうにないわね」
ルックとマールのやり取りを片耳に聞いて頭を掻く。
参ったな、ここで足止めとは。
季節ももう7月になって、照らす太陽が暑さを運んでくる。さっさと帝都に入って休みたいところだけど……。
「ジャンヌ、多分なんだけど、それだけ長い時間かかるってことは、あそこに見えるの宿屋とかある街じゃないかな」
アヤが指摘したように、関所のふもとにある街並みらしきものが見える。
なるほど。
なんで内側じゃなく外側にあるのかと思ったけど、順番待ちする人が泊まるための施設があるということか。
そんなわけで俺たちはその街に立ち寄ることにした。
そして圧倒された。
「見てって見てって、買ってって! うちの店では他より安い! オムカ王国から南部自治領まで、さらにはシータ王国の品物だって扱っちゃう。こんな店ないよ!?」
「さぁ、今日の商品はこれ、オムカ織りのドレス。見てよ奥さん、そして触ってって。この肌触り、代々受け継がれた技法でしか再現できないのよ。しかも今はオムカは帝国から離反した敵国! そんな商品を今ならこのお値段! ね、お得でしょう?」
「ここでしか手に入らない、大珍品! なんと南部自治領のさらに南、砂漠を超えて入ってきた翡翠の指輪だぁ! 翡翠も帝都にはあるけど、これほどの大きさはないでしょう!? なんとこの大珍品が今ならこの価格でご提供!」
「そこ行く兵隊さん。ちょっと見てってよ。いやいや、最近の騒ぎで今じゃ手に入れられなくなったけど、これ。オムカのお酒。敵国のお酒なんて飲めるか、と思うかもしれないでしょう? でもこれまでこのお酒、上流階級でしか飲めなかったんだけど、あたしが開発した独自ルートで入手してなんとこのお値段! さぁ、一杯どうです?」
どうやら帝都に商売しに行く商人が、チャンスとばかりにここで露店を広げているようだ。
それも1人や2人じゃない。街の端から関所のところまでざっと1キロあまりに、100を超える露店があるのだから、その騒々しさたるや、だ。
そのおかげか、そこまで大きな街ではないにもかかわらず、王都バーベル並みの盛り上がりをしているのだ。
そうなると宿泊施設も飽和するのではと思ったが、意外にも部屋はすんなりとれた。
商人たちは独自のテントや馬車を持っていて、大事な商品が盗まれないよう、夜は街のはずれでそれぞれ自由に過ごすらしい。
商人以外の通行人はそこまで多くないということだろう。
そんなこんなで宿で出された夕食を食べた後、さっそく俺の部屋で作戦会議に入る。
関所を見に行った面子から、ウィットが代表して報告する。
「どうやら関の通行はお昼前から日没まで。それ以外は門を閉ざしてしまうそうです」
昼から日没の仕事時間って……どんな重役出勤だよ。
「整理券をもらいましたが、どうやら明日の夕方、日没ギリギリになりそうです」
「分かった、ありがとうウィット。とりあえずはここでまた一泊ってことか」
「じゃあ隊長殿! 今日は一緒にお風呂ですね!」
クロエの能天気ともいえる一言に、俺はずっこけそうになった。
「お前、今がどんな時期か分かってんのか? もうすぐ帝都なんだぞ」
「分かってますよ。だからこそじゃないですか! 最後の日だからこそ目一杯楽しむ! それが正義です!」
「おお、クロエさんも正義を理解し始めましたね!」
視線を交わし、手を握り合うクロエと竜胆。
うぅ、変なのが増殖した……。
でもなんか微妙な説得力。
でも前みたいな惨事はごめんだ。
「あー、今日は俺はいいや」
「またまた、そんなこと言って。暑いんですから汗かいたでしょう? あ、そうだ流しっこしましょう!」
「汗をかいたらシャワーを浴びる! それが正義です!」
駄目だ。こうなったら援護先を変えるしかない。
「おい、マール、なんとか言ってくれ!」
「はぁ……いいと思います」
「え?」
「最後の夜ですからね。少しは羽目外してもいいんじゃないでしょうか。汗もかきましたし」
マジか。ちょっと人選ミスった!?
「じゃあ、お姉さんがまとめて面倒みましょう!」
アヤまで乗り気になってしまい、そそくさと退散していく男子連中をしり目に、憐れな子羊の俺は再び浴場へドナドナされていった……。
――余談。
「隊長殿ー! もっとこっちで楽しみましょうよー!」
話し込んだ後のため少し遅い時間だったからか、浴場はほぼ貸し切り状態だった。
それでも俺は真っ先に洗い場に出て汗を流し、そのまま浴場の端に身を縮めて温まる。
クロエたちは相変わらずきゃっきゃとはしゃいでいるが、その輪に入るのは男としてどうかと思うわけで。
……まぁ、いっか。
なんて思ってた時だ。
『おい、バカあまり動くなよ』
ふと声がした。
ザイン?
振り向くが古い石づくりの壁しかない。
あぁ、隣が男子浴場なのかな。
なんて思ったのだが、どうもこそこそとうるさい。
気になってお湯からあがり、タオルを巻いて壁をペタペタと触る。
「どうしましたー、隊長殿?」
クロエ、そして竜胆が俺の様子に気づいて近寄ってきた。
「いや、なんか隣の声が漏れてるなって。男子浴場なのかな」
「え? 隣? 確か男子のって少し離れてましたよ?」
「…………」
不意に沈黙がその場を支配する。
まさかな。そんなお決まりのパターン……マジ?
「きゅぴーんと来ました! スキル『九紋竜』!」
竜胆がスキルを発動し、木刀を壁に突き立てた。
すると、壁がもろいクッキー生地のように割れて、石が向こう側へと吹き飛んだ。
「痛つつつ……」
そして、いた。
お風呂にいったはずのウィット、ザイン、ルックが。
もちろん服を着た状態で、だ。
「あっ……」
目が合った。
そしてその視線が下へ。そしてまた上に戻ってくる。
あぁ、何をしているかと思えば。
へぇ、ふーん、そうかそうか、そういうことね。まぁそうだよね。やっぱり男のロマンだもんね。元男の俺にはよく分かる。よぅく分かる。
けどそれ以上に、今の俺は女だ。
なるほど。
覗かれる立場の女性の想いが良く、よぅく、よぅくよぅく分かった。
そしてあの言葉の意味も。
「お前ら、覚悟はできてるだろうな……」
「いや、違うんですよ、これはその……冒険で!?」「その! 俺は隊長じゃなく、そのマール……いや、違くて!」「あーあ、だから言ったのにー」
「竜胆、貸して」
「どうぞ! 今回はお任せします!」
竜胆が顕現させた木刀を借りると、大きく振りかぶり、
「正義!!」
緑豊かな草原や森、山、川といった大自然の量が増えてきて、それに合わせて畑や水田といったものが、オムカの何倍もの規模で広がっているのだ。
その中に軍事施設的な砦も随所に見られるのだから、ここが軍事国家の庇護のもとに統治されているエリアだと分かる。
「こりゃ国力からして違うなぁ……」
「そうですね。ざっと見の人数、それに対する収穫量からしても5倍はあるでしょう」
ザインが答えた。
どうやらこういったことにも少し知識があるらしく、どちらかと言えばやんちゃ系の彼の印象とは違って驚いた。
「心外ですね、これでも農家の次男なんですから」
「あ、そっか」
そういえば俺の隊はほとんどが農民や職人の子供ということだから、それぞれに得意としているものもあるのだ。
「ん、あのくるくる回ってる円形のなんでしょう? 水が回って……? すみません、ちょっと見てきていいですか?」
「こらこら。ザイン、俺たちはそんな堂々としてられないんだぞ。好奇心は認めるけど、今はダメ」
「あぁ……そうですね。すみません」
「まぁそうやって得た知識をうちに持ってくるのはいいな。だから帰りなら少し時間を作って見てきてよ。それと、多分あれは水車だから」
「あ、ありがとうございます! そっか、あれが水車かぁ。さすが隊長は物知りっすね」
うん、そうやって戦争だけじゃなく他のこともできる人間になってくれたらいいなぁ。
マールも色々考えてるみたいだし。
それに比べて……。
「な、なんですか隊長殿? もしかしてそろそろ私が恋しくなっちゃいました?」
「……はぁ、なんでもない」
クロエももうちょっとなぁ、ちゃんとしてくれたらどれだけ楽か。
手間のかかる妹の元祖だもんなぁ。現時点ではあっちの方が年齢上だけど。
そして、それからさらに北上していくと、平地にいきなり巨大な城が見えた。
あれが帝都……? いや、それにしては左右に長すぎる。
遠目で見ても長さ1キロ以上はあるだろう、それは中にあるものを守るというより通せんぼするような壁の意味合いが近い。
それはつまり――
「あれは……関所か?」
「はい、あれが帝都を守るタルフ関。東をエイン川が、西をグズル台地に挟まれた、帝都への玄関口です」
事情通らしくマネージャーのホーマが解説してくれた。
なるほど。難所に挟まれた空間に関所を作ってしまったわけだ。
西の大地と言っても、急こう配でしかも高さが関所並みにあるのだから、小さな山みたいなものだ。
そこから攻め登ったとしても、関所の上から台地に移動できる通路があるようで、少しの兵を回せば登ってくる敵を容易に撃退できる仕組みだろう。
三国志の虎牢関並みに厄介な砦だ。
裏を返せば、それに守られているエインの帝都は、それだけ安全という事か。
「エイン帝国の帝都は東西南北をこのような関所で囲っていると聞きます」
「こんなのがあと3つあんのか……」
3方面から一気に攻めれば帝都を下すことは簡単だと思ったが、これは認識を改めた方が良さそうだ。
まったく、本当に楽させてくれない世界だ。
「あそこが入り口になっているのでしょうか。人が集まっているようですが」
ウィットが示したのは、関の中央部分。
そこが門になっているようで、中に入ろうという人が列をなしている。
「あれは順番待ち? ちょっとめんどくさそうですねー。人が多すぎです」
「そうね。多分、今日中には通れそうにないわね」
ルックとマールのやり取りを片耳に聞いて頭を掻く。
参ったな、ここで足止めとは。
季節ももう7月になって、照らす太陽が暑さを運んでくる。さっさと帝都に入って休みたいところだけど……。
「ジャンヌ、多分なんだけど、それだけ長い時間かかるってことは、あそこに見えるの宿屋とかある街じゃないかな」
アヤが指摘したように、関所のふもとにある街並みらしきものが見える。
なるほど。
なんで内側じゃなく外側にあるのかと思ったけど、順番待ちする人が泊まるための施設があるということか。
そんなわけで俺たちはその街に立ち寄ることにした。
そして圧倒された。
「見てって見てって、買ってって! うちの店では他より安い! オムカ王国から南部自治領まで、さらにはシータ王国の品物だって扱っちゃう。こんな店ないよ!?」
「さぁ、今日の商品はこれ、オムカ織りのドレス。見てよ奥さん、そして触ってって。この肌触り、代々受け継がれた技法でしか再現できないのよ。しかも今はオムカは帝国から離反した敵国! そんな商品を今ならこのお値段! ね、お得でしょう?」
「ここでしか手に入らない、大珍品! なんと南部自治領のさらに南、砂漠を超えて入ってきた翡翠の指輪だぁ! 翡翠も帝都にはあるけど、これほどの大きさはないでしょう!? なんとこの大珍品が今ならこの価格でご提供!」
「そこ行く兵隊さん。ちょっと見てってよ。いやいや、最近の騒ぎで今じゃ手に入れられなくなったけど、これ。オムカのお酒。敵国のお酒なんて飲めるか、と思うかもしれないでしょう? でもこれまでこのお酒、上流階級でしか飲めなかったんだけど、あたしが開発した独自ルートで入手してなんとこのお値段! さぁ、一杯どうです?」
どうやら帝都に商売しに行く商人が、チャンスとばかりにここで露店を広げているようだ。
それも1人や2人じゃない。街の端から関所のところまでざっと1キロあまりに、100を超える露店があるのだから、その騒々しさたるや、だ。
そのおかげか、そこまで大きな街ではないにもかかわらず、王都バーベル並みの盛り上がりをしているのだ。
そうなると宿泊施設も飽和するのではと思ったが、意外にも部屋はすんなりとれた。
商人たちは独自のテントや馬車を持っていて、大事な商品が盗まれないよう、夜は街のはずれでそれぞれ自由に過ごすらしい。
商人以外の通行人はそこまで多くないということだろう。
そんなこんなで宿で出された夕食を食べた後、さっそく俺の部屋で作戦会議に入る。
関所を見に行った面子から、ウィットが代表して報告する。
「どうやら関の通行はお昼前から日没まで。それ以外は門を閉ざしてしまうそうです」
昼から日没の仕事時間って……どんな重役出勤だよ。
「整理券をもらいましたが、どうやら明日の夕方、日没ギリギリになりそうです」
「分かった、ありがとうウィット。とりあえずはここでまた一泊ってことか」
「じゃあ隊長殿! 今日は一緒にお風呂ですね!」
クロエの能天気ともいえる一言に、俺はずっこけそうになった。
「お前、今がどんな時期か分かってんのか? もうすぐ帝都なんだぞ」
「分かってますよ。だからこそじゃないですか! 最後の日だからこそ目一杯楽しむ! それが正義です!」
「おお、クロエさんも正義を理解し始めましたね!」
視線を交わし、手を握り合うクロエと竜胆。
うぅ、変なのが増殖した……。
でもなんか微妙な説得力。
でも前みたいな惨事はごめんだ。
「あー、今日は俺はいいや」
「またまた、そんなこと言って。暑いんですから汗かいたでしょう? あ、そうだ流しっこしましょう!」
「汗をかいたらシャワーを浴びる! それが正義です!」
駄目だ。こうなったら援護先を変えるしかない。
「おい、マール、なんとか言ってくれ!」
「はぁ……いいと思います」
「え?」
「最後の夜ですからね。少しは羽目外してもいいんじゃないでしょうか。汗もかきましたし」
マジか。ちょっと人選ミスった!?
「じゃあ、お姉さんがまとめて面倒みましょう!」
アヤまで乗り気になってしまい、そそくさと退散していく男子連中をしり目に、憐れな子羊の俺は再び浴場へドナドナされていった……。
――余談。
「隊長殿ー! もっとこっちで楽しみましょうよー!」
話し込んだ後のため少し遅い時間だったからか、浴場はほぼ貸し切り状態だった。
それでも俺は真っ先に洗い場に出て汗を流し、そのまま浴場の端に身を縮めて温まる。
クロエたちは相変わらずきゃっきゃとはしゃいでいるが、その輪に入るのは男としてどうかと思うわけで。
……まぁ、いっか。
なんて思ってた時だ。
『おい、バカあまり動くなよ』
ふと声がした。
ザイン?
振り向くが古い石づくりの壁しかない。
あぁ、隣が男子浴場なのかな。
なんて思ったのだが、どうもこそこそとうるさい。
気になってお湯からあがり、タオルを巻いて壁をペタペタと触る。
「どうしましたー、隊長殿?」
クロエ、そして竜胆が俺の様子に気づいて近寄ってきた。
「いや、なんか隣の声が漏れてるなって。男子浴場なのかな」
「え? 隣? 確か男子のって少し離れてましたよ?」
「…………」
不意に沈黙がその場を支配する。
まさかな。そんなお決まりのパターン……マジ?
「きゅぴーんと来ました! スキル『九紋竜』!」
竜胆がスキルを発動し、木刀を壁に突き立てた。
すると、壁がもろいクッキー生地のように割れて、石が向こう側へと吹き飛んだ。
「痛つつつ……」
そして、いた。
お風呂にいったはずのウィット、ザイン、ルックが。
もちろん服を着た状態で、だ。
「あっ……」
目が合った。
そしてその視線が下へ。そしてまた上に戻ってくる。
あぁ、何をしているかと思えば。
へぇ、ふーん、そうかそうか、そういうことね。まぁそうだよね。やっぱり男のロマンだもんね。元男の俺にはよく分かる。よぅく分かる。
けどそれ以上に、今の俺は女だ。
なるほど。
覗かれる立場の女性の想いが良く、よぅく、よぅくよぅく分かった。
そしてあの言葉の意味も。
「お前ら、覚悟はできてるだろうな……」
「いや、違うんですよ、これはその……冒険で!?」「その! 俺は隊長じゃなく、そのマール……いや、違くて!」「あーあ、だから言ったのにー」
「竜胆、貸して」
「どうぞ! 今回はお任せします!」
竜胆が顕現させた木刀を借りると、大きく振りかぶり、
「正義!!」
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