本当の外れスキルのスロー生活物語

転定妙用

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辺境小領主になります

俺は後で、ざまあする主人公ではないということ

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「サンスベ―ル。お前は、あんな田舎についてきてくれるのか?」
「私の場合は、わりと新しいご領地に近い出身ですから、かえって実家が近くなって助かりましたよ。まあ、でも、現地の人間を雇った方がよろしいでしょうから、暫くはオズワルド様のために働いてから、ご本家に帰ることにしてもいいかなと思っていますし、公爵様からも、帰って来てもいいというお言葉と一筆をもらっていますから。」
「全く要領のいい奴だな、お前は。まあ、そういう奴だから、頼りにもなるのだが。」
「まあ、それにですな、オズワルド様の側にいると快適な場所で生活できるわけですから、その点を考えれば、悪くないことですからね。」
「美人ならともかく、そばにいるのが顔の長い男では、あまり嬉しくないな。」
「ひどい言いようですな。」
 2人は吹き出して笑いあった。それにつられて、他の3人も笑った。

 彼の出立も、よくある無能スキルの持ち主の追放のように冷たいものではなかった。両親も弟妹達も同情した面持ちで、元気でいるようにと言って、手を振って、使用人達の多くもいた、別れを惜しんでくれた。そのことが、これから成り上がることができない、俺を暗示しているわけだ、逆境に堕ちて、その後成り上がって、ざまあする主人公じゃないといういうことなんだ、と彼は思わざるを得なかった。

「しかし、どうして公爵様は坊ちゃんを田舎の小領主にとしたのでしょうかねえ?」
 彼の騎士隊長が、ぽつりと言った。彼は、自分からオズワルドについて行く、彼の護衛の騎士隊長になるからと、公爵に頼み込んだという経緯がある。子供の頃から剣等の武術を教えただけに、彼に親愛感があって、子供も独立し、妻も死んで、後ろ髪をひかれるものがなくなり、後の人生を可愛そうな彼のためにつくそうという心意気からだった。
「私も不満を持ったが、考えてみれば・・・、元次期当主と正式な次期当主が一緒では互いに気持ちがいいわけではない、という母上、父上の配慮だろう。確かに、そういう・・・鬱々としたものを感じるだろうからな。それに悪い奴らが付け込むかもしれないし・・・世間に次期当主が誰か、はっきり示す必要があるだろうしな。私が、田舎に出されるということで、元婚約者も婚約破棄に、踏ん切りがついたわけだしな。」
 オズワルドは、苦笑した。
「全く坊ちゃんは人がいいというか、覇気がないというか、物分かりが良すぎるというか・・・ですな。」
「おいおい、ひどいことを言うなよ。」
「そういう坊ちゃんが、私は好きなんですよ。」
「若い美人に言われると嬉しいが、お前ではな・・・。」
「坊ちゃんこそ、ひどい言い方ではないでかな?」
「そうか?」
とまた、馬車の中で笑い声があがった。が、直ぐに若い騎士の表情が暗くなった。
「そろそろ交代の時間だぞ。」
の一言からだった。

 北に行くにしたがって、目的地が近づくにつれ、町の規模は小さくなり、宿の質も低下していった。
「このような部屋しかないのか?」
とサンスベ―ルが宿の主人に叱咤するような部屋しかないところとなった、ついに。
「まあ、仕方がないだろう。その部屋3室に全員泊るしかあるまい。え~と、流石に女を男共の部屋というのもな・・・しかたがない、俺と同室だ。ん?なんだ、その顔は?お前を襲いはしないぞ、お前は好みじゃないからな。逆に俺を襲うなよ、と言いたいところだ。」
とオズワルドが割って入ると、
「オズワルド様がそう言われるのであれば。」
とサンスベ―ルは渋々納得した。
 その翌日、オズワルドの一行は宿を後にした。
「なんなの?この部屋は?」
 部屋に掃除に入った宿の女中は、驚きの声をあげた。ノミや虱が出る、汚れた、古い部屋が、芳香のする、清潔で、きれいな部屋になっていたからだ。彼女は階段を駆け下り、宿の主人に伝えた。慌てて駆けあがった彼も驚きの声をあげた。が、それは彼らが見ているうちに、みるみると元のノミや虱がいる部屋に戻っていった。

「ところで、現地について、住むべき家は準備されているんだろうな?」
とオズワルドが今さらのことだが、という顔で尋ねると、
「公爵様が立ち寄る小さな館がありまして・・・ここ数年はそういうことがなかったので…そこを手直ししておくように、村長には伝えてあるのですが・・・。」
と苦しそうな回答。
「かなり古くて、汚いというところか?」
とオズワルドが即座に判断を下したが、サンスベ―ルは反論しなかった。
「それか・・・。まあ、しかたがないな。何とかできるだろう。」
 

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