本当の外れスキルのスロー生活物語

転定妙用

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田舎の小領主に千客万来

私が正妻です➁

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 オズワルドの邸宅に、ハイエルフの女がやってきた。
 ハイエルフ側は、エバンス家とオスカーに巫女をといったが、エバンス家本家館の聖樹との契約をなした巫女を送ってきたわけではない。それができる、完璧に出来る巫女は、部族にとって希少価値で、こんなことで外に出したくはない。それで、次席・・・いやそれも惜しいので・・・巫女候補となったが、失格となった女を送ることにしたのだ。ここで、新しい聖樹を、そのまま契約できれば、巫女としての地位を与える、一発逆転のチャンスだ、と言い含めて、大した期待もせずに送り出したのである。

「あなたの育てている聖樹を見せて下さい。」
 第一声がそれだった、入って来て。それで、侍女達とすったもんだの末、現地で侍女をもう一人雇っていた、オズワルドが出て行って、彼女の持参していた手紙を読んで、大きなため息をついて、彼の家庭菜園・果樹園・畜産園にある聖樹に案内した。
「へ?こんなに小さいの?」
と言って失望し、
「え?4本も?え?実が?」
と驚き、そのまま3日間聖樹の前に黙って立ち尽くした末、ぶっ倒れた。朝起きて、家庭菜園等の世話に来たオズワルドが発見、抱きかかえて邸宅の中に、ベッドの上に寝かせた。

「私の手には負えません。」
 彼女、ハイエルフ、ラグトリ・エロキュス。エルフとしては長身、というより人間の女性としてもやや長身である。銀髪の美人である。そこそこに魔法の使い手としては優秀、そこそこに野心家、そこそこに賢い、いい意味でも悪い意味でも。彼女に言わせると、オズワルドの育てる聖樹、聖樹だけでなく他の野菜とか果物も、彼のスキル、ある一定の範囲内で、彼に都合のいい環境が形成される故のもの。彼が求める収穫をかなえるようにそれらはなり、彼が快適と感じる環境の限度内でそれらの周囲の環境はそれらに適したものとなる。両者は調和した関係にある。それは、オズワルドの持つスキルであり、オズワルドがいるからそうなるのである。彼がいるから、彼の下で聖樹は頻繁に、豊富ともいえる実りを与えるし、普通の野菜も果物も一年のうちに何度も実をつけ、それは美味で栄養価が高いものとなるのである。同時に、彼が耕した地で、彼が世話をする必要があるのではあるが。とにかくそういうことが分かったから、ラグトリはこの地でオズワルドに学ぶ、エバンス家本家の聖樹を実り多い樹にすること術をまなびとることはできないのである。
 ということで、彼女はオズワルドの邸宅にいる理由は、あっという間になくなったのである。彼女もそのまま帰る、自分の部族の地に、ことを考えていたし、彼もこれで厄介払いできるというのに近い思いだった。
「はあ~。聖樹からのお茶に聖樹の蜜を入れると、本当に美味しいだけでなく、体も魔力も回復するという感じです~。」
「おいおい、しっかり滞在費を払ってもらうからな。聖樹のお茶代もしっかり含めてな。」
「あ~、ひどいですう~。こんな美人がそばにいてくれたんだから、オズワルドさんが支払ってもいいくらいですよ~。」
「美人でも、宿代はしっかり取るだろう?宿屋は?どちらにしても、君の部族にはしっかり請求させてもらうからな。」
とお互いに言いあいつつも、穏やかにお茶などする日々が続いてのだが、彼らのあずかり知らないところで、すったもんだの末、ラグトリをオズワルドの嫁として送るということになってしまったのである。
「は?」
その決定が伝えられた時、2人の目はハーモニーするように点になった。


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