本当の外れスキルのスロー生活物語

転定妙用

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苦境に陥る

殺戮者?正当防衛?

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「どうして、どいつもこいつも俺を見捨てる、無視する、馬鹿にする?俺が何をしたって言うんだ?俺のどこが悪いと言うんだ?文句ばかり、悪口ばかり、足を引っ張るばかりしやがって。恩を仇で返す奴ばかりねどうしてそいつらが上手くやれるんだ、楽しめるんだよ。糞、馬鹿野郎。」
とオズワルドは返り血で血まみれになりながら、その血は、しかし、暫くするとせせらぎの流れのように全て体から流れ落ち、床に流れ、それも一か所に集まるように流れていった。他の血とともに、数十人の死体から流れ出る血、一か所に集まり固まっていった。
 血に飢えた魔獣のように、その死体の間を徘徊して怒鳴り続ける彼に、彼によって命を救われたサンスベ―ル達も声をかけようがなかった。
 しかし、自分から血が洗い流されるように消え、邸内、邸外からの血臭等が浄化されたように消え失せると彼の気持ちも落ち着いてきた。
 思わず死体の一つに、執拗に剣でさらに切裂き、刺し貫こうとしていた手を止めた。
「こいつらは死んじまったわけだからな・・・短い間、絶頂にいた、死はあっという間に訪れたから俺の何倍も幸福だとは言えるが・・・しかし、俺を助けた者もいたわけだし・・・。殺したのが俺だということは変わらないな、正当防衛だが。」
 落ち着こうとしているかのように、大きく深呼吸した。
「サンスベ―ル。この死体をどこか一か所に集めさせろ。ああ、俺の箱庭スキルの範囲内でだ。オスカー、サンスター、傷は大丈夫か?」
 いつもの彼に戻ったことに気が付いて、サンスベ―ル以下、ほっとしたという表情になった。
「わかりました。すぐに。お前達、手伝え。」
「こんな傷なんて、大したことありませんよ。邸内に残党がいないかどうか確認してまいります。お前達もついてこい。」
「オズワルド様。これだけの賊を・・・大したものです・・・というより恐ろしいですよ。どうやったんですか?」
 サンスベ―ルが侍女達や他の使用人達とともに死体のかたずけをし始め、騎士隊長のサンスターは傷の応急手当をすましただけで、部下達を率いて邸内のパトロールに行った。オスカーは、怪我の応急処置をすますと、オズワルドの傍にやってきた。
「全てが上手くいっただけさ。彼らも油断していたし・・・もしかしたら、聖樹や魔樹の精霊が味方してくれたのかもしれないな。」
 オズワルドは、はぐらかすように言った。
「まあ、反乱軍は幹部が全滅ですから、総崩れでしょう。オズワルド様は大殊勲ものですよ。」
「辺境の小さな事件に過ぎないさ。」
「いや。影響の大きさを考えれば・・・。」
 今はそれどころではない、という顔のオズワルドを感じて、オスカーはそれ以上はつっこまず、
「私も、死体のあと片付けの手伝いに行きます。」
と諦めたように言って、頭を下げた。
「ああ、頼む。」

 妻達がいれば、もっとテキパキとことをすますことができたろうに、と思うと、
「あいつら、どこに行きやがった。」
とオズワルドの口から文句の言葉が漏れた。
 救世軍を名乗る反乱軍の決起をはじめとする各国を跨る動乱が始まったのは、つい10日前だった。その数日前、オズワルドの2人の妻は姿を消していた。そして、未だにその消息は不明だった。
「何がいけなかったと言うんだ。何故、俺ばかり責められるんだ、くそ。みんな死んでしまえ。」
とつい口に出てしまい、慌てて彼は周囲に誰かがいないなということを確認して、姿勢を正した。
「コホン。」
 誰もいないが咳をして、
「まずは、反乱軍の残党を掃討しないとな。」
と独り言とは言えない独り言をつぶやいた。
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