本当の外れスキルのスロー生活物語

転定妙用

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苦境に陥る

妻達の出奔又は離婚

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「それで、男達の方はどうなのだ?」
とオズワルドは無表情で、何とかそうしているのである、尋ねた。
「そちらの方は、情報はまだ・・・。」
「そうか。」
とだけ言うと、最後のデザートを食べ始めた、オズワルドだった。

 元々は、国境は接していないが近隣の国での王位を巡るクーデター、そしてそれに伴う反乱、三つ巴どころか、ずっとずっと複雑な内戦となったのが、周辺国に広がったのである。今まで表面に出てこなかった対立が一気に表面化、衝突が発生して各国で内戦状態になった、大なり小なり。
 マーリン王国、オズワルドが属する国である、では、王位を巡る争いなどは起きなかった。ただ、隣国とまたがる形で救世軍などの反乱軍が発生、各地を略奪、民衆の解放をうたいながら、をして回るという状態になった。また、国内に自治権を持つハイエルフ以下エルフ各部族、他の亜人部族の内部、間での対立、衝突が発生、それが周囲に影響を与えることとなった。
 そこまで事態が進む直前、オズワルドの2人の妻達はほとんど同時に姿を消した、出奔した。必要なものを持っていった、屋敷からなくなっていることが翌日わかった、こととその手際から事前に準備していたと思われたが、オズワルドをはじめ誰もわからなかった。

「奥様方は、かなり本家で投げつけられた言葉に屈辱感を持たれていましたから。」
とサンスベ―ル。
「涙を流して悔しがったことも・・・。」
と侍女の一人。
 オズワルドもそのことは察していたし、気にしないようにと言葉をかけ、彼女達の愚痴にも根気よくつきあったものだった。
 また、ラグトリがハイエルフの里を懐かしんでいることも感じていたから、各地の森、地域では人気のある、への散策に連れ出した。彼女の表情は嬉しそうにしか見えなかった、かれの目には。
 リーンは、こんな辺境の田舎の人間ではないから、華やかな都市が恋しいだろうと、近くの比較的大きい都市に度々連れ出したし、王都への旅行も行った。はしゃぎまわった、ように彼は思っていた。
 それで万全だと、彼がたかをくくっていたというわけでもなかった。
「それ以上にどうしたらよかったのだろうな?」
と彼は自問するしかなかった。
 ラグトリの部族のハイエルフが、リーンの一族の者が何度かやってきた。後で考えれば、何かが、それであったのだとも考えられるが、その時は詮索する必要はない、詮索しては逆効果だと思っていた、オズワルドは。

 2人が出奔して数日後、彼女達の動性がわかった。ラグトリは自分の部族の内部抗争に加わっていた。マーリン王国側の派閥、彼女がもともと属していた側なのだが、に加わっていた。トーリンは、自国の親マーリン王国側の派閥に加わっていた。つまりモア公国大公とルルゴー侯爵家を継承した異母兄の陣営である。こちらは、自分との婚約破棄を破棄した元婚約者とその側近、ルルゴー侯爵家一族の大半を粛正した、ある意味仇敵ともいえる相手である。彼女の命を助けたのも彼らではあるが。
「そこまで思い詰めて・・・。馬鹿な奴らだ。」
とオズワルドは呟いたものだった。彼女達が、マーリン王国の側の陣営の勝利に貢献すれば、彼の立場も、彼女達の立場も良くなると考えての行動なのだと思った。だから、戻ってくるように命じるのも、戻らざるを得ないように工作するのも躊躇した。
 が、それから暫くすると、彼女達が他の男を夫として、彼らと協力して戦って、必ずしも戦闘だけの意味ではないが、いるという情報が届いたのだ。さらにしばらくすると、その情報の男達から彼女達はもう戻らない、戻る気はない、との手紙が届いた。

「どうしたものか?」
と歯ぎしりしたものの、既に救世軍の対応に追われ始めていたオズワルドには、どうにかするという余力はなかった。
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