31 / 31
恋の勝利者は?
折角の機会を逃しちゃった
しおりを挟む
プランタン大尉の来訪から3日後の夜、明日の朝には王都に戻る、の夕食後、オズワルドは彼女に、
「軽くいっぱいやりませんか?」
と誘った。賓客用の小さいが凝った造りの一室に、酒と杯とつまみを置いたテーブルを挟んで二人は席に座った。
「自治会役員の時も・・・お茶会でしたが、軍隊時代も二人っきりで酒を飲んで語り合ったことはなかったですね。」
「ああ、君が軍隊にいた2年間、君と酒を酌み交わすのは、いつも大勢で飲んで騒ぐ時だけだったな。大体君は、私を誘わなかっただろう?」
「あの時は婚約者がいましたから・・・一応・・・同僚だといっても若い、美人の女性と2人っきりでということは出来なかったんですよ。そんなことをしたら、殴りつけていたでしょう?」
「ああ、誰か分からなくなるくらいに殴ってやったさ。」
「ひどいですね。誘わなくて正解でしたね。でも、自治会時代から、会長のことは凄い美人だと惹かれていたんですよ、本当に。もし、会長が誘惑したらいちころでしたよ。それは今も変わりませんよ。軽蔑されるかもしれませんがね。」
「ああ、軽蔑しただろうな、あの頃だったら。今で・・・。」
「今なら?どうなんです?私は会長を女性としても、人間としても好きですよ。会長が私をすきだと言ったら、もう止まらなくなるくらいに・・・試してみますか?」
オズワルドもプランタンも微笑んでいたが、その笑顔はこわばっていた。酒を飲む手が止った。
「ふ。」
とプランタンが息を吐きだした。
「揶揄うな。そんなことより、今回のことだが、一応君の報告どおり上には上げておく。ただし、内々には私の思うところを上申する。」
「会長・・・私は・・・。」
とオズワルドは言いかけたが、きっとした、プランタンの目を見て、心の中でため息をついて、それ以上進むのをやめた。
「分かりました。会長。」
その後は、思い出話などとりとめもない話となった。
「全く、私達が準備してやったというのに。」
「オズワルド君もちゃんと言ったのに。」
精霊達の声を背に受けて、プランタンは馬上の人となった。ただ、この時彼女がその後にくるだろうことを甘く考えていた、自覚はしていなかったが、ことは否定できないことだった。
「軽くいっぱいやりませんか?」
と誘った。賓客用の小さいが凝った造りの一室に、酒と杯とつまみを置いたテーブルを挟んで二人は席に座った。
「自治会役員の時も・・・お茶会でしたが、軍隊時代も二人っきりで酒を飲んで語り合ったことはなかったですね。」
「ああ、君が軍隊にいた2年間、君と酒を酌み交わすのは、いつも大勢で飲んで騒ぐ時だけだったな。大体君は、私を誘わなかっただろう?」
「あの時は婚約者がいましたから・・・一応・・・同僚だといっても若い、美人の女性と2人っきりでということは出来なかったんですよ。そんなことをしたら、殴りつけていたでしょう?」
「ああ、誰か分からなくなるくらいに殴ってやったさ。」
「ひどいですね。誘わなくて正解でしたね。でも、自治会時代から、会長のことは凄い美人だと惹かれていたんですよ、本当に。もし、会長が誘惑したらいちころでしたよ。それは今も変わりませんよ。軽蔑されるかもしれませんがね。」
「ああ、軽蔑しただろうな、あの頃だったら。今で・・・。」
「今なら?どうなんです?私は会長を女性としても、人間としても好きですよ。会長が私をすきだと言ったら、もう止まらなくなるくらいに・・・試してみますか?」
オズワルドもプランタンも微笑んでいたが、その笑顔はこわばっていた。酒を飲む手が止った。
「ふ。」
とプランタンが息を吐きだした。
「揶揄うな。そんなことより、今回のことだが、一応君の報告どおり上には上げておく。ただし、内々には私の思うところを上申する。」
「会長・・・私は・・・。」
とオズワルドは言いかけたが、きっとした、プランタンの目を見て、心の中でため息をついて、それ以上進むのをやめた。
「分かりました。会長。」
その後は、思い出話などとりとめもない話となった。
「全く、私達が準備してやったというのに。」
「オズワルド君もちゃんと言ったのに。」
精霊達の声を背に受けて、プランタンは馬上の人となった。ただ、この時彼女がその後にくるだろうことを甘く考えていた、自覚はしていなかったが、ことは否定できないことだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
落ちこぼれ公爵令息の真実
三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。
設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。
投稿している他の作品との関連はありません。
カクヨムにも公開しています。
ペットになった
ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。
言葉も常識も通用しない世界。
それでも、特に不便は感じない。
あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。
「クロ」
笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。
※視点コロコロ
※更新ノロノロ
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――
銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」
世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。
魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。
彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。
一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。
構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。
彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。
「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」
暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。
管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。
これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。
※アルファポリスで先行で公開されます。
〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」ミュゼットは初潮が来た時に母から「唯一のこの家の女は自分」という理由で使用人の地位に落とされる。
そこで異母姉(と思っていた)アリサや他の使用人達から仕事を学びつつ、母への復讐を心に秘めることとなる。
二年後にアリサの乳母マルティーヌのもとに逃がされた彼女は、父の正体を知りたいアリサに応える形であちこち飛び回り、情報を渡していく。
やがて本当の父親もわかり、暖かい家庭を手に入れることもできる見込みも立つ。
そんな彼女にとっての母の最期は。
「この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。」のミュゼットのスピンオフ。
番外編にするとまた本編より長くなったりややこしくなりそうなんでもう分けることに。
一流冒険者トウマの道草旅譚
黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。
しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。
そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる