破滅確定の悪役令嬢ですが、魅惑の女王になりました。

専業プウタ

文字の大きさ
29 / 35

29.あなたとは姉と弟のように過ごしたいの。

しおりを挟む
「やめて! あなたとは姉と弟のように過ごしたいの」
 私がミカエルの体を突き返すと、彼は悲しそうな顔をした。

「それに、私、とんでもない女なのよ。あなたと婚約している間も2年間レオ・ステランと付き合っていた⋯⋯」

 経験がないから分からないが、浮気をしていたら正直に話しておいた方が良い気がする。レオが先にミカエルに真実を告げたら、ミカエルがまた闇落ちしそうだ。

「薄々気がついてたよ⋯⋯僕はそれでも、ルシアしか考えられなかった。ルシアはアルベルトのことはどう思ってるの?」

 今、おそらく私にはできない恋愛上級者の返答が求められている。
ミカエルは婚約者であるルシアの浮気に気がついていたらしい。
(気がついてながら、問い詰めないで許していたの?)

 
「どうも、思ってないよ。クッキーをあげたりして、ミカエルには誤解を与えたよね。でも、彼とは距離を取るつもりだから」
 頭がこんがらがっている。
 私はミカエルがルシアの浮気を咎め、幻滅して恋愛感情が無くなる事を期待していた。


「じゃあ、レオ・ステランの事はどう思ってる?」
 ミカエルの碧色の瞳はじっと私を見据えている。
私は正直、レオ・ステランの魅力が分からない。
アルベルト様は同じ年ながらも、大人の余裕や色気があって少し惹かれた気もした。

「お金を持ってるなって思ってるかな⋯⋯でも、それだけだよ」
「ルシア、結構酷い子だね⋯⋯王家だって財産は潤沢だと思うけど⋯⋯」
「お金はね、いくらあっても困るものじゃないのよ」
ミカエルが手で口を抑えながら笑いを堪えている。
(お上品な笑い方ですこと⋯⋯)

 実際、お金というのは非常に重要だ。
私が不登校になっても留学という手段があったのは、橘家が裕福な家庭だったからだ。
 あの幸せな家に戻れないと思うだけで、胸がキツくなる。
 あれだけ心配を掛けてお金も掛けて貰って、なんの親孝行もしないまま私は死んだのかもしれない。

 せめて、この世界では自分のできる事をして悔いのないよう生きたい。

「ミカエルは自分の血筋をはっきり公表したいと思わないの?」
「僕がサンタナ・ローランの子だってこと? おそらくナタリー・ローラン女王陛下も気がついているよ。そして、スグラ王国を陥れる為のカードとしてとっておいていると思う⋯⋯貞操観念の強い国と思われていた国の王妃が不貞を働いていたのだから、明らかになったら困るのはスグラ王国だ」

 私はミカエルが彼の母親であるエミリアン王妃に不快感を持っているのがわかった。
(母親の浮気か⋯⋯確かに気持ち悪いかも⋯⋯)

 ルシアの母親のセリーナ・ミエーダはいかにも母になっても女でいたいような感じがして私は嫌悪感を覚えた。

 しかし、ミカエルの母親のエミリアン王妃の不貞は全く違うものに見えていた。彼女はマリナ国とスグラ王国の友好の為にスグラ王国に嫁いできた。それなのに、自分と跡取りを作ろうともしないカイロス国王に焦ったはずだ。そして、セリーナが国王と関係を持っている事に苦しんだ。

 結果、カイロス国王の子を偽造し、それを偽造と分かりながらカイロス国王も許容している。
(なんだか、ずっとエミリアン王妃を馬鹿にしているみたい⋯⋯)

 私にはエミリアン王妃はずっと苦しんできたので来たように感じていた。
そんな事を1番の被害者であるミカエルに言える訳もない。

「それにしても、国王が好きだの嫌いだの恋愛にうつつを抜かしているのってどうなんだろうね。お陰でトラブルを抱えているじゃない⋯⋯私は君主は国と結婚するくらいの気持ちの人がなるべきだと思う」

 私は当たり前の事を言ったつもりだった。
はっきり言って、カイロス国王には今にもその地位を退いて頂きたいくらいだ。彼のせいでローラン王国ともマリナ王国ともトラブルを抱えている。

「ルシアは本当に恋をした事がないんだね」
 ミカエルは少し寂しそうに笑った。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】

いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。 陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々 だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い 何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ

永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる

鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳―― それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。 公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。 だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、 王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。 政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。 紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが―― 魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、 まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。 「……私が女王? 冗談じゃないわ」 回避策として動いたはずが、 誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。 しかも彼は、 幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた―― 年を取らぬ姿のままで。 永遠に老いない少女と、 彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。 王妃になどなる気はない。 けれど、逃げ続けることももうできない。 これは、 歴史の影に生きてきた少女が、 はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。 ざまぁも陰謀も押し付けない。 それでも―― この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

処理中です...