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アルトレイラル(迷宮攻略篇)
絶望の顕現 5
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『全員、真横に飛べぇぇぇええ⁉』
音割れするほどの悲鳴が、通信機から鼓膜を突き刺した。全員が訓練をしていたように真横へと飛び退く。俺は引っ張られるように壁へと吸い寄せられ、着地をしくじり地面に転がる。魔獣との間に距離が生まれ、出口の直線上に魔獣が取り残されるような構図となる。
両者硬直。その間、わずか数秒。
出入り口から、爆炎が吹き出した。
「……はぁ?」
こんな状況にもかかわらず、そんな間抜けな声が出た。出入り口の直線上にいた魔獣は、その炎に撫でられもれなく重症。炎はマナを消費し燃え続け、動けない魔獣たちを灰燼に帰していく。突然の状況に理解が追い付かず、全員の時が止まる。
突如、
燃え盛る炎の壁に、暴風とともに大穴が開いた。
「突入ぅぅぅうう‼」
その声とともに、大穴から人影が踊り出る。身体には、後ろで戦う者たちと同じ白銀の甲冑。そしてサラマンダーの皮で造られた対魔法製のローブ。全員がそれを視認し、広間内に歓声が上がる。
――やっと来た……。
ほっと、息をなでおろす。炎の中からは応援の騎士と魔導士たちが続々と現れ、広間内の陣形を立て直していく。
決して優勢とは言えない。数は攻略時よりも少ないし、あのゴーレムの性質上これで倒せるとは思えない。それでも、この場から脱出するには十分だ。助かった、そんな思いが身体を弛緩させる。あとは、ここから脱出するだけ――、
「――――くぁ……」
クラリとふらつき、倒れこむ。身体中が痛み、立てないほどの倦怠感と頭痛が身体を襲っている。思った以上に無茶をしたようだ。さて、どうしようか。
「いた!」
――……ッ⁉
ドクンと、心臓がひときわ大きく跳ねる。あまりにも想定外のことで、思考が一瞬停止してしまう。なぜなら、
なぜならその声は、この場で聞こえるはずのないものだから。
「飲んで!」
身体が起こされ、マスクが乱暴にはぎ取られる。そして、口元には硬いものが乱暴に押し付けられる。
「あ、あま――ウグッ⁉」
「喋るのはあと! 早く飲んで」
口に含めば、独特の苦い味。間違いない。先ほど使ったマナポーションだ。だけど、それを悠長に実感している場合ではない。脳内は、それどころではなかった。
「おまえ何で!」
「詳しくは後回し! いまは回復に専念して。その間は、わたしが守るから」
一瞬、幻覚なのかと錯覚してしまう。だって彼女は、ここにいるはずのない人物だからだ。
目の前にいたのは、ここにいるはずのない少女。その恰好は完全な戦闘服。すこしだけ見える肌は紅潮しており、うっすらと汗がにじんでいる。
そこにいた少女の名は、雨宮 晴香。
俺との動向を却下され、自宅待機を命じられた少女だった。
音割れするほどの悲鳴が、通信機から鼓膜を突き刺した。全員が訓練をしていたように真横へと飛び退く。俺は引っ張られるように壁へと吸い寄せられ、着地をしくじり地面に転がる。魔獣との間に距離が生まれ、出口の直線上に魔獣が取り残されるような構図となる。
両者硬直。その間、わずか数秒。
出入り口から、爆炎が吹き出した。
「……はぁ?」
こんな状況にもかかわらず、そんな間抜けな声が出た。出入り口の直線上にいた魔獣は、その炎に撫でられもれなく重症。炎はマナを消費し燃え続け、動けない魔獣たちを灰燼に帰していく。突然の状況に理解が追い付かず、全員の時が止まる。
突如、
燃え盛る炎の壁に、暴風とともに大穴が開いた。
「突入ぅぅぅうう‼」
その声とともに、大穴から人影が踊り出る。身体には、後ろで戦う者たちと同じ白銀の甲冑。そしてサラマンダーの皮で造られた対魔法製のローブ。全員がそれを視認し、広間内に歓声が上がる。
――やっと来た……。
ほっと、息をなでおろす。炎の中からは応援の騎士と魔導士たちが続々と現れ、広間内の陣形を立て直していく。
決して優勢とは言えない。数は攻略時よりも少ないし、あのゴーレムの性質上これで倒せるとは思えない。それでも、この場から脱出するには十分だ。助かった、そんな思いが身体を弛緩させる。あとは、ここから脱出するだけ――、
「――――くぁ……」
クラリとふらつき、倒れこむ。身体中が痛み、立てないほどの倦怠感と頭痛が身体を襲っている。思った以上に無茶をしたようだ。さて、どうしようか。
「いた!」
――……ッ⁉
ドクンと、心臓がひときわ大きく跳ねる。あまりにも想定外のことで、思考が一瞬停止してしまう。なぜなら、
なぜならその声は、この場で聞こえるはずのないものだから。
「飲んで!」
身体が起こされ、マスクが乱暴にはぎ取られる。そして、口元には硬いものが乱暴に押し付けられる。
「あ、あま――ウグッ⁉」
「喋るのはあと! 早く飲んで」
口に含めば、独特の苦い味。間違いない。先ほど使ったマナポーションだ。だけど、それを悠長に実感している場合ではない。脳内は、それどころではなかった。
「おまえ何で!」
「詳しくは後回し! いまは回復に専念して。その間は、わたしが守るから」
一瞬、幻覚なのかと錯覚してしまう。だって彼女は、ここにいるはずのない人物だからだ。
目の前にいたのは、ここにいるはずのない少女。その恰好は完全な戦闘服。すこしだけ見える肌は紅潮しており、うっすらと汗がにじんでいる。
そこにいた少女の名は、雨宮 晴香。
俺との動向を却下され、自宅待機を命じられた少女だった。
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