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一章 異世界への降り立ち。そして序章
異世界に行ったらご都合主義補正みたいなのって存在するのかな?
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受付嬢からの説明が終わった後、優斗は併設されている酒場の席で項垂れていた。
「はぁぁ………これからどうしよう………」
大きなため息を吐きながら項垂れている理由は一つ。スキルの件だろう。これが最大の理由。
異世界転生の特典として入手したスキル〈無限スキルポイント〉で、才能が許す限り数多のスキルを入手しようと意気込んでいた優斗だが、現在レベル5で入手したスキルは3つ。
〈カード召喚〉
〈初級魔法〉
〈自然影響耐性〉
の3つだ。
〈カード召喚〉はギルドカードを無くした際に手元に呼び寄せるだけのスキルだし、〈初級魔法〉は別名生活魔法とも呼ばれていて生活に便利な魔法を使えるようにする魔法だ。着火したり、水を出したり、風をおこしたり、物を冷やしたり灯りをつけたり。簡単な魔法しかない。
3つ目の耐性系スキルの〈自然影響耐性〉も、雷や台風の影響を減らせるらしいが、それも自然由来のもの限定らしい。魔法で生み出した雷や竜巻には無力との事だ。
ダンジョンボスの中には自然由来の攻撃を用いるボスもいるらしいが、レベル5の優斗には関係の無い話しだ。
ちなみにステータスのゴリ押しは視野に入れていない。
現在の優斗のステータスは以下の通りだ。
Lv.5
筋力:19
耐久:15
敏捷:20
器用:21
知性:23
魔力:13
幸運:14
スキル
〈無限スキルポイント〉
〈カード召喚〉
〈初級魔法〉Lv.1
〈自然影響耐性〉Lv.1
となっている。ちなみにレベル5時点の平均ステータスは大体15らしいので平均より少し上みたいだ。これでステータスまで低ければ劣等感を隠しきれなかっただろうが、これならばまだ耐えられる。
「それにしてもどうしよう………」
暇を紛らわせるために酒場のメニューを見ながらただただどうしようかと呟き続ける。
ちなみにここの酒場は酒という酒は置いていないし、料理のレパートリーも少ない。あくまでも冒険者ギルドであり、ここは仕事を探す場所であるという事なのであろう。
「受付の人はレベルが上がれば使えるスキルも増えるかもしれないって言ってたけどなぁ………」
今の優斗にはレベリングに付き合ってくれる仲間もいない。所謂詰みと言う状況だ。
「レベリングに付き合ってくれる親切な人でもいないかなぁ」
と叶わない望みを口にしながら食事を探していると
「へいへいルーキーの兄ちゃん。レベリングの事でお悩みか?」
「痛っ!」
突然背後から背中を叩かれながら声をかけられた。
「おっと悪ぃな兄ちゃん。そんなに強く叩いたつもりは無かったんだが。これもレベル差ってやつか?」
そんな事を言いながらヘラヘラ笑う男にムカついて優斗はその男の姿を見た。
年は二十代中盤くらいだろうか。身長は180あるかないか。腰には2本の剣をつけており、申し訳程度の鉄の胸当てを装備した男だった。
「えっと………」
「まあまあ、そんなに警戒すんなよ兄ちゃん。別にとって食おうって訳じゃねぇからさ」
男はそう言うものの、その軽薄そうな笑みを見せられては警戒を解くことは出来ない。
優斗はただでさえ所持スキルも数少なく、レベルも5の為ステータスも貧弱。そして先程の男の発言と背中を叩いた際の痛みからすると恐らくレベルとステータスはこの軽薄男の方が上。
基本的に冒険者という職業は異世界での憧れであると共に野蛮者の印象もある。つまり今の優斗の懸念点は一つ。
(カツアゲされる………!)
所持金のカツアゲ。この金が無くなればお先真っ暗である。
どう切り抜けようかと思考してみるが
「あ、あれ?警戒が解けねえな。兄ちゃんよ、俺は怪しいもんじゃ無くて………」
「いやいや。そんな風に声をかけられたら大抵の人間は怪しむと思うぞ?現に前回もそうだっただろ」
と、次は仲間らしき男が軽薄男に話しかけた。
見た目は大柄。背中にはかなり大きな盾を背負っており、大盾使いだと一目でわかるようになっている。そしてこっちの男は見た目は真面目そうで、まともそうだ。
「悪いな。こいつはこんな見た目と言動だが、悪いやつじゃないんだ。俺の顔に免じて許してやってくれ」
「ちょ、酷いじゃねぇかキース。俺が悪いみたいに言わなくてもよ」
「いいや、今回に関してはお前が悪い。その感じがお前なりの気遣いだと俺とエレンはわかるが、初対面の、それも新人冒険者からしてみれば煽っているようにしか見えないからな」
優斗の目の前で始まった口喧嘩は留まることを知らない。
(今のうちに逃げるか)
いち早く立ち去ることを決心した優斗は静かに立ち去ろうとして
「待って」
優斗の腕は誰かに掴まれた。それも、前の口論している二人でもなく、女の声で。
優斗が振り返ると、腰に短剣を刺した短髪の小柄な少女が立っていた。
「二人がごめんね?でも君に話しがあって来たの。良かったら私達の話しだけでも聞いてくれないかな?」
少女の言葉を聞いて優斗はなんとなく察した。
これは面倒事だと。
少女の方がレベルが高く、逃げられないと判断した優斗は大人しく話しを聞くことを承諾し、席に座り直す。
少女は口論する二人を宥めると、優斗の対面側に3人並んで座った。
「先程はお見苦しい姿を見せてすまなかった」
最初に言葉を発したのは大盾使いの男だった。
「いえ、気にしてません。それよりも話しの内容が気になるのですが」
自分よりも上位の冒険者からの話し。わざわざ初心者に話し掛ける理由が思い浮かばず少し腰を低くしながら優斗は尋ねる。
「勿論話しがある。だが、先に自己紹介をさせてくれ。俺の名前はキース。見ての通り大盾を使ったタンクの役割をしている」
「私はエレン。主に斥候とサポーターの仕事をしてるよ。他にも弓で遠距離サポートもするね」
「そして俺はライナーさ。このパーティのリーダーをしてて、剣と中級魔法を使った魔法剣士をしてるぜ」
真面目そうな大盾使いがキース。
ボーイッシュな女の子の名前がエレン。
最初に話しかけてきた軽薄男がライナー。
一通り自己紹介を終えたところで優斗も自己紹介をする。
「ありがとうございます。俺の名前は凸守優斗です。新人冒険者としてギルド登録を終えたばかりです」
優斗の自己紹介も終えたところでキースが本題を話し始める。
「それで話なんだが。ユウト、お前レベルの事を気にしてただろ?」
「………なんでそれを?」
「冒険者登録を終えた後に頭を抱えてる奴は大体そうだ。ステータスが低いか、取得出来るスキルが少ないか。或いはスキルポイントが少なくて欲しいスキルを手に入れられないかだ」
つまり、この世界では優斗のような悩みを持った人間は少なくないという事なのだろう。
「新人冒険者が弱ければ、後進が育たなければ今前線で活躍している冒険者が殉職した時、或いは年老いて引退してしまった時。その時困ることになる。だから俺たちはギルドから依頼を受けて新人冒険者のレベリングの手伝いをしてるんだ」
「そうだったんですね。でもそれってあなた達にメリットは?」
「まあ、報酬がいいのもあるな。それだけギルドは若い目に期待してるんだろう。それにこういう依頼は幾つかあるものの、限られた上級冒険者にしか回ってこない。ただレベルが上がるのを手伝うだけじゃ意味が無いからな」
つまり、レベルアップは手伝う。その上で戦い方も教えてくれるということなのだろう。
「渡りに船ですが………」
「先輩の教えを得るのも新人冒険者の仕事だよ?ここは素直に好意に甘えても私はいいと思うな?新人時代の私もそうだったし」
エレンの言葉も最もだ。なら、優斗に遠慮する理由は無い。
「じゃあ、よろしくお願いします」
「はぁぁ………これからどうしよう………」
大きなため息を吐きながら項垂れている理由は一つ。スキルの件だろう。これが最大の理由。
異世界転生の特典として入手したスキル〈無限スキルポイント〉で、才能が許す限り数多のスキルを入手しようと意気込んでいた優斗だが、現在レベル5で入手したスキルは3つ。
〈カード召喚〉
〈初級魔法〉
〈自然影響耐性〉
の3つだ。
〈カード召喚〉はギルドカードを無くした際に手元に呼び寄せるだけのスキルだし、〈初級魔法〉は別名生活魔法とも呼ばれていて生活に便利な魔法を使えるようにする魔法だ。着火したり、水を出したり、風をおこしたり、物を冷やしたり灯りをつけたり。簡単な魔法しかない。
3つ目の耐性系スキルの〈自然影響耐性〉も、雷や台風の影響を減らせるらしいが、それも自然由来のもの限定らしい。魔法で生み出した雷や竜巻には無力との事だ。
ダンジョンボスの中には自然由来の攻撃を用いるボスもいるらしいが、レベル5の優斗には関係の無い話しだ。
ちなみにステータスのゴリ押しは視野に入れていない。
現在の優斗のステータスは以下の通りだ。
Lv.5
筋力:19
耐久:15
敏捷:20
器用:21
知性:23
魔力:13
幸運:14
スキル
〈無限スキルポイント〉
〈カード召喚〉
〈初級魔法〉Lv.1
〈自然影響耐性〉Lv.1
となっている。ちなみにレベル5時点の平均ステータスは大体15らしいので平均より少し上みたいだ。これでステータスまで低ければ劣等感を隠しきれなかっただろうが、これならばまだ耐えられる。
「それにしてもどうしよう………」
暇を紛らわせるために酒場のメニューを見ながらただただどうしようかと呟き続ける。
ちなみにここの酒場は酒という酒は置いていないし、料理のレパートリーも少ない。あくまでも冒険者ギルドであり、ここは仕事を探す場所であるという事なのであろう。
「受付の人はレベルが上がれば使えるスキルも増えるかもしれないって言ってたけどなぁ………」
今の優斗にはレベリングに付き合ってくれる仲間もいない。所謂詰みと言う状況だ。
「レベリングに付き合ってくれる親切な人でもいないかなぁ」
と叶わない望みを口にしながら食事を探していると
「へいへいルーキーの兄ちゃん。レベリングの事でお悩みか?」
「痛っ!」
突然背後から背中を叩かれながら声をかけられた。
「おっと悪ぃな兄ちゃん。そんなに強く叩いたつもりは無かったんだが。これもレベル差ってやつか?」
そんな事を言いながらヘラヘラ笑う男にムカついて優斗はその男の姿を見た。
年は二十代中盤くらいだろうか。身長は180あるかないか。腰には2本の剣をつけており、申し訳程度の鉄の胸当てを装備した男だった。
「えっと………」
「まあまあ、そんなに警戒すんなよ兄ちゃん。別にとって食おうって訳じゃねぇからさ」
男はそう言うものの、その軽薄そうな笑みを見せられては警戒を解くことは出来ない。
優斗はただでさえ所持スキルも数少なく、レベルも5の為ステータスも貧弱。そして先程の男の発言と背中を叩いた際の痛みからすると恐らくレベルとステータスはこの軽薄男の方が上。
基本的に冒険者という職業は異世界での憧れであると共に野蛮者の印象もある。つまり今の優斗の懸念点は一つ。
(カツアゲされる………!)
所持金のカツアゲ。この金が無くなればお先真っ暗である。
どう切り抜けようかと思考してみるが
「あ、あれ?警戒が解けねえな。兄ちゃんよ、俺は怪しいもんじゃ無くて………」
「いやいや。そんな風に声をかけられたら大抵の人間は怪しむと思うぞ?現に前回もそうだっただろ」
と、次は仲間らしき男が軽薄男に話しかけた。
見た目は大柄。背中にはかなり大きな盾を背負っており、大盾使いだと一目でわかるようになっている。そしてこっちの男は見た目は真面目そうで、まともそうだ。
「悪いな。こいつはこんな見た目と言動だが、悪いやつじゃないんだ。俺の顔に免じて許してやってくれ」
「ちょ、酷いじゃねぇかキース。俺が悪いみたいに言わなくてもよ」
「いいや、今回に関してはお前が悪い。その感じがお前なりの気遣いだと俺とエレンはわかるが、初対面の、それも新人冒険者からしてみれば煽っているようにしか見えないからな」
優斗の目の前で始まった口喧嘩は留まることを知らない。
(今のうちに逃げるか)
いち早く立ち去ることを決心した優斗は静かに立ち去ろうとして
「待って」
優斗の腕は誰かに掴まれた。それも、前の口論している二人でもなく、女の声で。
優斗が振り返ると、腰に短剣を刺した短髪の小柄な少女が立っていた。
「二人がごめんね?でも君に話しがあって来たの。良かったら私達の話しだけでも聞いてくれないかな?」
少女の言葉を聞いて優斗はなんとなく察した。
これは面倒事だと。
少女の方がレベルが高く、逃げられないと判断した優斗は大人しく話しを聞くことを承諾し、席に座り直す。
少女は口論する二人を宥めると、優斗の対面側に3人並んで座った。
「先程はお見苦しい姿を見せてすまなかった」
最初に言葉を発したのは大盾使いの男だった。
「いえ、気にしてません。それよりも話しの内容が気になるのですが」
自分よりも上位の冒険者からの話し。わざわざ初心者に話し掛ける理由が思い浮かばず少し腰を低くしながら優斗は尋ねる。
「勿論話しがある。だが、先に自己紹介をさせてくれ。俺の名前はキース。見ての通り大盾を使ったタンクの役割をしている」
「私はエレン。主に斥候とサポーターの仕事をしてるよ。他にも弓で遠距離サポートもするね」
「そして俺はライナーさ。このパーティのリーダーをしてて、剣と中級魔法を使った魔法剣士をしてるぜ」
真面目そうな大盾使いがキース。
ボーイッシュな女の子の名前がエレン。
最初に話しかけてきた軽薄男がライナー。
一通り自己紹介を終えたところで優斗も自己紹介をする。
「ありがとうございます。俺の名前は凸守優斗です。新人冒険者としてギルド登録を終えたばかりです」
優斗の自己紹介も終えたところでキースが本題を話し始める。
「それで話なんだが。ユウト、お前レベルの事を気にしてただろ?」
「………なんでそれを?」
「冒険者登録を終えた後に頭を抱えてる奴は大体そうだ。ステータスが低いか、取得出来るスキルが少ないか。或いはスキルポイントが少なくて欲しいスキルを手に入れられないかだ」
つまり、この世界では優斗のような悩みを持った人間は少なくないという事なのだろう。
「新人冒険者が弱ければ、後進が育たなければ今前線で活躍している冒険者が殉職した時、或いは年老いて引退してしまった時。その時困ることになる。だから俺たちはギルドから依頼を受けて新人冒険者のレベリングの手伝いをしてるんだ」
「そうだったんですね。でもそれってあなた達にメリットは?」
「まあ、報酬がいいのもあるな。それだけギルドは若い目に期待してるんだろう。それにこういう依頼は幾つかあるものの、限られた上級冒険者にしか回ってこない。ただレベルが上がるのを手伝うだけじゃ意味が無いからな」
つまり、レベルアップは手伝う。その上で戦い方も教えてくれるということなのだろう。
「渡りに船ですが………」
「先輩の教えを得るのも新人冒険者の仕事だよ?ここは素直に好意に甘えても私はいいと思うな?新人時代の私もそうだったし」
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