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一章 異世界への降り立ち。そして序章
今は多様性の時代だからね。遅刻も多様性の一つとして許されるよね?え?ダメ?
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「それじゃあ、先ずは武器を見に行こうぜ!ユウトっち」
「いや、俺まだ武器系のスキル持ってないぞ?っていうかユウトっちってなんだ?」
「親睦を深めるためのあだ名みたいなもんだよ。昔の俺達もあだ名で呼びあってたもんだよな、キース」
「嘘をつくな。俺はお前のことをあだ名で呼んだ事は無いぞ」
「………って言ってるが?」
「釣れないこと言うなよキース!」
「ユウト、覚えておけ。ライナーはなんだかんだ人が心の底から本気で嫌がることはしない奴だ。お前とは初対面だから距離感をまだ掴みきれていないが、その内この変なあだ名は無くなる」
「無くなるのはあだ名だけなんだな………」
「この喋り方に関してはどうしようもならない」
昔馴染みのキースの諦めたような声を聞いて優斗はなんとなく察した。
優斗もライナーのこの喋り方が胡散臭そうだから嫌だと思っただけで、喋り方という個人の自由を奪う気は優斗には無い。今は多様性の時代なのだから。好みはあるだろうが。ちなみに優斗が先程からタメ口なのは先程キースに「冒険者が敬語で話すな。舐められるぞ」と言われたからである。
「それよりも、今から武器を買いに行く理由だよね?」
と、場の空気を変えようとエレンが手を叩いてから話しを戻した。
「そうそう。武器を買いに行くのはなんとなくわかるが、そんなにじっくりと選ぶ必要はあるのかなって思ってな。まだ武器系のスキルも取得してないし」
武器が無ければ戦闘ができない。だから武器を買いに行くのはわかるが、そんなに張り切って行く理由がわからなかったので優斗はエレンに尋ねる。
「それはね、スキル解放の為だよ」
「スキル解放?」
攻略本にも見当たらなかった別の要素が存在していたのかと思いながらエレンの説明を傍聴する。
「そう。レベル5までに取得可能なスキルが先天的な才能によるスキルだとすると、スキル解放は後天的な才能によって取得可能になるスキルなの」
「その通りだ。例えば最初は剣の動作補助のスキルが取得出来なくても、剣を持って戦い続ければ剣に関するスキルを取得しやすくなる」
「だから、剣でも槍でも弓でも。ユウトくんが使いたい武器を選べばいいと思うんだよね」
「そういう事か」
元々断る理由も無かったし、スキル取得の可能性を上げるためには最善だと言えるだろう。
「ってわけで、武器の目利きは俺っちに任せときな!最高の武器と防具を選んでやるぜ!」
「………キースさん。ちなみに」
「ライナーに目利きの才能があるのは事実だ。実際、こいつは取得こそしていないが〈鑑定眼〉のスキルを取得出来るほどだ」
ということは、スキルによる動作補助は無いが、それでも元来の目利きセンスで武器を選ぶことが出来るということなのだろう。
「じゃあ、お願いしようかな」
「任せときな!ユウトっちが俺っちを頼ってくれるなんて………俺っちは感激だ!」
一々大きなリアクションをするライナーを置いて、優斗はキースとエレンと一緒に武器屋に向かった。
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[20:59]
「へいらっしゃい」
到着した武器屋はそこそこ大きな見た目の建物で、年季の入った扉を開けると中にいた店主がそう言いながら新聞らしきものを読んでいた。
「店主。少し中を見させてもらうぞ」
「好きにしな」
キースが店主から軽い許可を得ると、4人で武器をそれぞれ見始める。
「ユウトくんはさ、どんな武器を使いたいの?」
「そうだな。やっぱり剣かな。やっぱり冒険者って剣っていうイメージがあるし」
「そうなんだね。でも、剣だけが冒険者じゃないし、戦いじゃないから。他の武器も見て決めてね」
エレンの言葉に頷きながら優斗は武器をゆっくりと見る。
ボロい剣や普通の鋼の剣。そして見た目にも拘った剣。
見た目にも拘った剣は優斗も目で見てもいい物だとわかるが、値札に記載されている金額があまりにも高すぎたので優斗は普通に諦めることにする。
そもそも、キースが強すぎる力は身を滅ぼすと言っていたし、今はそんな武器を手に入れる必要は無い。
「ユウトっち、武器は決めたか?まだなら俺っちが見繕った武器も見て欲しいんだがな」
「わかった。直ぐに行く」
優斗は見ていた武器から目を離してライナーの元に向かう。
ライナーはキースやエレンと一緒に机の上に武器を幾つか乗せて待っていてくれていた。
机の上には剣は勿論、槍、弓、短剣等も置いており、何度見てもどの武器を使うのかは流石に悩む。
「ちなみにライナー。この武器の採用理由は?」
「まず安さ。そして駆け出し冒険者が持っていても何も問題が無い武器を選択したぜ!」
ライナーとキースの会話を聞き流しながら武器の触感を確かめる。
まず、槍はダメだと判断する。持ち回しにくいし、攻撃がしにくそうだ。優斗には合わないし、ライナーもキースもエレンも使ってないので使い方を教えてもらうこともできない。
次の弓もダメ。エレンに使い方を教わりながら入ろうとしたのだが、普通に分からなすぎて断念した。弓をきちんと使える人って凄いと思う。
最後に剣と短剣。剣は鞘から抜き出して触感を確かめる。
「元々剣がいいかなって思っていたから、丁度よかったです」
そして優斗は装備品を片手剣一本に短剣一本。それに加えて鉄製の胸当てを購入することを決める。
剣が8万ブカ。短剣が一本5千ブカで、胸当てが10万ブカ。そして剣や短剣を腰に刺すためのベルトを購入。こちらは長持ちするように耐久性を重視した為、少し高めの1万ブカ。合計20万ブカの出費だが、命には替えられない。
早速購入したものを装備すると
「ほう。中々さまになってるな」
「似合ってるじゃねえかユウトっち!」
「やっと冒険者って感じになったね」
三者三様の感想を頂き、優斗は自分が遂に冒険者になったのだと実感する。
「それじゃ、ユウトっちが装備を揃えた事だし早速行ってみますか!」
「行くって、どこに?」
ライナーが張り切ってどこかに行く様子なので尋ねるとライナーはニカッと笑いながら答えた。
「決まってるだろ?討伐クエストだよ」
「いや、俺まだ武器系のスキル持ってないぞ?っていうかユウトっちってなんだ?」
「親睦を深めるためのあだ名みたいなもんだよ。昔の俺達もあだ名で呼びあってたもんだよな、キース」
「嘘をつくな。俺はお前のことをあだ名で呼んだ事は無いぞ」
「………って言ってるが?」
「釣れないこと言うなよキース!」
「ユウト、覚えておけ。ライナーはなんだかんだ人が心の底から本気で嫌がることはしない奴だ。お前とは初対面だから距離感をまだ掴みきれていないが、その内この変なあだ名は無くなる」
「無くなるのはあだ名だけなんだな………」
「この喋り方に関してはどうしようもならない」
昔馴染みのキースの諦めたような声を聞いて優斗はなんとなく察した。
優斗もライナーのこの喋り方が胡散臭そうだから嫌だと思っただけで、喋り方という個人の自由を奪う気は優斗には無い。今は多様性の時代なのだから。好みはあるだろうが。ちなみに優斗が先程からタメ口なのは先程キースに「冒険者が敬語で話すな。舐められるぞ」と言われたからである。
「それよりも、今から武器を買いに行く理由だよね?」
と、場の空気を変えようとエレンが手を叩いてから話しを戻した。
「そうそう。武器を買いに行くのはなんとなくわかるが、そんなにじっくりと選ぶ必要はあるのかなって思ってな。まだ武器系のスキルも取得してないし」
武器が無ければ戦闘ができない。だから武器を買いに行くのはわかるが、そんなに張り切って行く理由がわからなかったので優斗はエレンに尋ねる。
「それはね、スキル解放の為だよ」
「スキル解放?」
攻略本にも見当たらなかった別の要素が存在していたのかと思いながらエレンの説明を傍聴する。
「そう。レベル5までに取得可能なスキルが先天的な才能によるスキルだとすると、スキル解放は後天的な才能によって取得可能になるスキルなの」
「その通りだ。例えば最初は剣の動作補助のスキルが取得出来なくても、剣を持って戦い続ければ剣に関するスキルを取得しやすくなる」
「だから、剣でも槍でも弓でも。ユウトくんが使いたい武器を選べばいいと思うんだよね」
「そういう事か」
元々断る理由も無かったし、スキル取得の可能性を上げるためには最善だと言えるだろう。
「ってわけで、武器の目利きは俺っちに任せときな!最高の武器と防具を選んでやるぜ!」
「………キースさん。ちなみに」
「ライナーに目利きの才能があるのは事実だ。実際、こいつは取得こそしていないが〈鑑定眼〉のスキルを取得出来るほどだ」
ということは、スキルによる動作補助は無いが、それでも元来の目利きセンスで武器を選ぶことが出来るということなのだろう。
「じゃあ、お願いしようかな」
「任せときな!ユウトっちが俺っちを頼ってくれるなんて………俺っちは感激だ!」
一々大きなリアクションをするライナーを置いて、優斗はキースとエレンと一緒に武器屋に向かった。
新規
[20:59]
「へいらっしゃい」
到着した武器屋はそこそこ大きな見た目の建物で、年季の入った扉を開けると中にいた店主がそう言いながら新聞らしきものを読んでいた。
「店主。少し中を見させてもらうぞ」
「好きにしな」
キースが店主から軽い許可を得ると、4人で武器をそれぞれ見始める。
「ユウトくんはさ、どんな武器を使いたいの?」
「そうだな。やっぱり剣かな。やっぱり冒険者って剣っていうイメージがあるし」
「そうなんだね。でも、剣だけが冒険者じゃないし、戦いじゃないから。他の武器も見て決めてね」
エレンの言葉に頷きながら優斗は武器をゆっくりと見る。
ボロい剣や普通の鋼の剣。そして見た目にも拘った剣。
見た目にも拘った剣は優斗も目で見てもいい物だとわかるが、値札に記載されている金額があまりにも高すぎたので優斗は普通に諦めることにする。
そもそも、キースが強すぎる力は身を滅ぼすと言っていたし、今はそんな武器を手に入れる必要は無い。
「ユウトっち、武器は決めたか?まだなら俺っちが見繕った武器も見て欲しいんだがな」
「わかった。直ぐに行く」
優斗は見ていた武器から目を離してライナーの元に向かう。
ライナーはキースやエレンと一緒に机の上に武器を幾つか乗せて待っていてくれていた。
机の上には剣は勿論、槍、弓、短剣等も置いており、何度見てもどの武器を使うのかは流石に悩む。
「ちなみにライナー。この武器の採用理由は?」
「まず安さ。そして駆け出し冒険者が持っていても何も問題が無い武器を選択したぜ!」
ライナーとキースの会話を聞き流しながら武器の触感を確かめる。
まず、槍はダメだと判断する。持ち回しにくいし、攻撃がしにくそうだ。優斗には合わないし、ライナーもキースもエレンも使ってないので使い方を教えてもらうこともできない。
次の弓もダメ。エレンに使い方を教わりながら入ろうとしたのだが、普通に分からなすぎて断念した。弓をきちんと使える人って凄いと思う。
最後に剣と短剣。剣は鞘から抜き出して触感を確かめる。
「元々剣がいいかなって思っていたから、丁度よかったです」
そして優斗は装備品を片手剣一本に短剣一本。それに加えて鉄製の胸当てを購入することを決める。
剣が8万ブカ。短剣が一本5千ブカで、胸当てが10万ブカ。そして剣や短剣を腰に刺すためのベルトを購入。こちらは長持ちするように耐久性を重視した為、少し高めの1万ブカ。合計20万ブカの出費だが、命には替えられない。
早速購入したものを装備すると
「ほう。中々さまになってるな」
「似合ってるじゃねえかユウトっち!」
「やっと冒険者って感じになったね」
三者三様の感想を頂き、優斗は自分が遂に冒険者になったのだと実感する。
「それじゃ、ユウトっちが装備を揃えた事だし早速行ってみますか!」
「行くって、どこに?」
ライナーが張り切ってどこかに行く様子なので尋ねるとライナーはニカッと笑いながら答えた。
「決まってるだろ?討伐クエストだよ」
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