転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス

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一章 異世界への降り立ち。そして序章

最近設定しか書いてない気がする!!!いつになったら話しが進むんだ!!

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『乾杯!!』



 賑やかな夜。ゴブリン討伐から帰った優斗達は、ギルドに依頼達成の報告をした後に街にある酒場で打ち上げを開いていた。



「今日はお疲れ様ユウトくん。始めてのクエスト、緊張したでしょ?」



「無理もない。普通の人は、この討伐クエストで始めて生き物の命を奪う。それはユウトも例外ではないだろうからな」



 エレンとキースは優斗に労いの言葉をかけてくれる。



「それで、冒険者は続けられそうか?ユウトっち」



「………そうだな」



 優斗は少しだけ考える。

 生き物の命を奪う。それは現代日本でも無いわけではない。

 豚や牛、鶏。代表的なのはこれらの動物であり、優斗たちはこの動物たちの肉を食べて生きている。

 勿論この動物たちだけでは無い。魚だってそうだし、探せばもっといるだろう。



 だがそんなもの日本でも大半の人にとっては体験しない事であり、他の生き物の命を頂いているといっても、それを知っていても実感してる人は少ないのだろう。



 優斗だってその1人だ。今までそうと知っていても知っていただけで深くは考えたことは無かった。

 そして実感したからこそ。奪った命を無駄にしたくないと思ったから



「冒険者は、続けようと思うよ。少なくとも今は、だけど」



 他者の命を奪うのだ。もしかしたら自分の命も危険になるかもしれない。でも、今は優斗が奪ったゴブリンの命を無駄にしたくないから。



「真面目だな。ユウトらしいと言えばらしいのかもしれないが」



「そう、なのかな?」



「そうだろうよ。会って1日も経ってない俺が言うのもなんだろうけどな」



 キースと話していると、後ろから背中を叩かれた。

 優斗がなんだと思って振り返ると、涙を流しているライナーの姿が。



「なんだライナー、そんなに泣いて。ちょっと気持ち悪いぞ」



「気持ち悪いって言うなよユウトっち!!そんなことより、俺っちは嬉しいぞ!まだまだユウトっちと冒険できるって考えたら!」



「ユウトくんが、立派に成長するまで、だけどね」



「それでもだよ!いつだって、後輩冒険者ができるって言うのは嬉しいんだよ!」



 ライナーはそう言うと、ジョッキを掲げて酒場中に聞こえるように言った。



「よし!今日はユウトっちの初クエスト達成と、正式に冒険者になった祝いの宴会だ!!」



 ライナーがそう言うと、酒場にいた人達が一斉に盛り上がる。

 やっぱり、こういう所はイメージしていた冒険者通りだ。その後は、ライナーは他の冒険者と混じってどんちゃん騒ぎ。

 優斗はキースとエレンと一緒に座って食事をするだけだった。やっぱり、優斗にはこの雰囲気はあんまり合わないらしい。いつか、染まる時が来るのだろうか。



 そんなことを考えながら優斗は今日の出来事を思い出す。

 日本で死んで、女神と会って、転生特典を貰おうとしたら強力な力は無理だと言われたので屁理屈を言って貰った転生特典。異世界に降り立って冒険者になったのはいいものの、折角の特典を活かせず、どうしようか悩んでいた所にライナーたちが来てくれて………



(ってあれ?)



 そこで、一つ疑問が浮かび上がった。



「なあキース。一つ聞いていいか?」



「なんだ?別に一つじゃなくてもいいんだが………」



 急な問いかけも否定せずに聞き返してくれるキースに、優斗は安心して問いかける。



「キースたちって一応ギルドからの依頼で俺に色々と教えてくれてるんだよな?」



「そうだが?」



「それじゃあ、なんで冒険者登録した後に直ぐに来てくれなかったんだ?こういうのって、受付嬢の人が紹介してくれるものだと思うんだが………」



 優斗の質問に、キースは微妙そうな表情を浮かべ、話しを聞いていたエレンも苦笑いしている。



「そうだな。まあ、幾つか理由はある」



「理由か………」



「そうだ。まず1つ目として、後進育成のクエストは受注しているが、この依頼に正確な対象は存在しないことだな」



「正確な対象がいない?」



「そうだ。俺たち後進育成役に任命された冒険者だって、他の仕事がある。教える対象がいる内はいいが、いない時に待機しているだけだと金が入らないからな」



「待機してる時間は、クエストに入らないのか」



「入らないし、待機してるだけで金が入ることもない。ギルドも、後進育成に力を入れていると言っても、何もしていない冒険者に金を払うほど余裕がある訳じゃない。だから基本的に俺たちみたいな後進育成役の冒険者は他の仕事をしながら、新人冒険者が来るのを待っているんだ」



ギルド主体とはいえ、新人冒険者がいない時まで給金を払われることが無く、他の仕事もしているから基本的に受付時に教育係が来ることは無い。冒険者になるために事前予約が無いのも弊害だろうか。予約の取り方知らないけど。



「そういう事だったんだな………」



「あとは、冒険者になる子ってプライドが高い子が多かったりするからね。いきなり教育係って紹介されても素直に受け取らない子が多いの。それもあるかな?」



「それは、大変だな………」



「まるで他人事だな?そのうちユウトも担うかもしれないのに」



「少なくとも今は他人事だからな」



 そう言いながら優斗はジョッキの中に入っているグレープジュースっぽい何かを飲む。ちなみにお酒ではない。優斗は酒は飲まない主義なのだ。異世界で酔って倒れたら身ぐるみ剥がされそうで怖いから。



(そう言えば、最後のゴブリンを倒してからギルドカード見てないな)



 万全に動けるゴブリンを倒した。その興奮を抑えることに必死でギルドカードを確認していなかったなと思い、優斗はギルドカードを確認する。



Lv.10

筋力:27

耐久:23

敏捷:30

器用:32

知性:32

魔力:20

幸運:21



スキル

〈無限スキルポイント〉

〈カード召喚〉

〈初級魔法〉Lv.1

〈自然影響耐性〉Lv.1

〈弱点看破〉Lv.1



 ステータスも伸びていて、最後のゴブリンを倒す前と比べてレベルが1上がっている。

 そして習得可能スキル欄にはスキルが一つ増えていた。



「お、ユウト。ステータスの確認か?」



「どうだったかな?レベル上がってた?スキルのレベルは?習得出来るスキルも増えてたかな?」



「レベルは上がってたぞ。スキルのレベル?」



「うん。スキルにもレベルがあって、スキルの熟練度によってスキルレベルが上がるの。使い続けたり、そのスキルを使って応用みたいなことが出来たら上がることが多いかな?」



「俺達もそうだが、高レベル冒険者の大体はスキルレベルが3まで上がってるスキルも多いな」



 スキルレベル3。ということは、スキルレベルは通常のレベルよりも上げにくいと考えた方がいいだろう。



「ちなみに3以上の人ってあんまりいないのか?」



「うーん。あんまり聞かないかな?」



「スキルレベル4も数が少ない。最上位の冒険者か、国を守る剣聖か。大賢者の〈上級魔法〉のスキルレベルが4か5っていうのは聞いたことがあるな。ちなみにスキルレベルは最大で10らしい」



 この国最高峰の人達でやっと最大の半分のスキルレベル。実質、スキルレベル10は諦めた方がいいとも言えるだろう。



「じゃあ大人しく新しいスキルを得た方がいいってことか。えっと、今取得できるのは、〈初級神聖魔法〉?」



 そのスキルの名を呟いた瞬間、キースの食事していた手は止まり、エレンも飲み物が気管に入ったのか、むせていた。



「ユウト、お前、本当に神聖魔法を習得出来るのか?」



 驚きとともに、少し声が大きくなったキースの声に、思わず声が出せず静かに頷く優斗。



「キース、声」



「あ、すまん、ユウト………」



 エレンに声量を注意され、気付いたキースは優斗に謝りながら周囲を確認する。

 どうやら周りは宴の最中だったのでキースの声は上手く掻き消されたみたいだ。



「いや、俺は大丈夫だ。それよりも、そんなに驚く事なのか?」



「えっとね、〈初級神聖魔法〉は………」



 エレンが言おうとしたところで、キースが制止し、水を1杯飲み干す。



「すまん。時間をとらせた」



「いいよ。それより、やっぱり貴重なスキルなんだよな?」



「その通りだ。〈初級神聖魔法〉は、かなり貴重なスキルで、使い手も限られているレアスキルだ」



 レアスキルを自分が手に入れることが出来た高揚感が優斗の中から溢れてくる。



「スキルは才能が大事。だったら、俺には魔法の才能が………」



「ううん。それが、そうとも限らないの」



 が、優斗の期待をエレンは遮ってくる。



「なんでだ?特訓を続けて、レベルが上がってから習得出来るならまだしも、俺は飴とゴブリンでしかレベルは上がってない。だったら魔法の才能が少なからずあるって言えるんじゃないのか?」



「通常の魔法スキル。それこそ、ライナーみたいな〈中級魔法〉や〈付与魔法〉を習得出来るならそうかもしれないな。だが、〈初級神聖魔法〉を始めとした神聖魔法だけは才能は関係ない」



「それって、つまり?」



 才能が関係ない。じゃあ、何が関係するのかとエレンに視線を向けると



「神聖魔法の習得に必要なのは才能じゃなくて神様との繋がりなの」



「神様との?」



「そう。加護が与えられてるか。つまり、どれだけ神様から愛されているのかが大事なの」



「エレンの言う通りだ。神聖魔法だけは神様に愛されているのか。神様に気にしてもらえているのか。それだけが物を言い、〈初級神聖魔法〉は神様に少しでも気に入られていればレベル5から20の間に習得できると言われている」



 それは、確かに特別なスキルだ。

 優斗は恐らく異世界転生の際に会った女神様から何か高評価を受ける点があり、それを評価されて〈初級神聖魔法〉を習得出来るようになったのだろう。



「ちなみにレアスキルってことは、やっぱり習得者は少ないんだよな?」



 優斗の問にエレンは頷きながら



「そうだね。少ないし、欲している人は多い。神聖魔法はその性質上扱える人が限られているし、冒険者の中にだって神聖魔法が使える人はほんのひと握りだと思う」



 エレンが希少性を話しながらも、キースは「だが」と、割り込んでくる。



「珍しいから、すごいんじゃない。〈初級神聖魔法〉が習得出来る時点で神様からある程度気にしてもらえている証拠だからな。それに、神父等の教会への就職の条件は最低限〈初級神聖魔法〉が扱える事でもある」



 この世界の教会は会社みたいに就職って言うんだな。とか、くだらないことが頭をよぎる。



「そして、教会への就職も出来て、魔法で傷を癒すことが出来る唯一の魔法スキルということもあって、神聖魔法はとても貴重なの」



「そういうことか………」



 じゃあ、冒険者を続ける間はこの魔法はあまり大っぴらにしない方がいいなと優斗は考える。もし神聖魔法を使えることを自慢すれば、良くない輩に追いかけられる。恐らく教会は安定した職業ということもあるが、神聖魔法を習得できるが弱い人達に対する救済も兼ねているのだろう。



「ちなみに、神聖魔法にも〈上級神聖魔法〉っていうのがあってね、〈上級神聖魔法〉を習得して、神の御使いに気に入られると、特殊スキルである〈神器〉っていうスキルを貰えるんだって!」



「まあ、強いが癖があり、発動に条件があるせいで歴代の教皇たちもまともに発動出来た人は殆どいないみたいだがな」



 優斗がどれだけ気にしてもらえているのかはわからないが、将来的に強いスキルが手に入る可能性を提示されて、少し高揚してくる。



「ちなみに〈中級神聖魔法〉がレベル30から50の間、〈上級神聖魔法〉がレベル60から90の間に習得出来る可能性があるらしいよ」



「いや遠すぎるだろ!!」



「お!ユウトっち盛り上がってるな!どうだ?こっちに来ないか?」



 優斗のツッコミによってライナーが反応してしまい、そのまま宴会の中心に。

 全員でどんちゃん騒ぎをし、気付けば日付が変わる1歩手前まで来たのでそのままお開きになった。



 優斗は酒場の前でライナーたちと明日も冒険者ギルドで会う約束をして別れる。

 宿屋はクエストから帰る道中で先に取っていたのでそこに行くだけだ。ちなみに1泊2万ブカ。今日の宴会の料金はライナーが奢ってくれたので食費はかかってないが、それでも今日だけで23万ブカの出費だ。節約しなくてはいけない。

 ちなみにクエスト報酬は明日の朝イチに受け取る予定だ。



「ふぅ………」



 宿屋に向かう道中で今日の事を思い出す。



「自分で選んだとは言え、異世界に行くのはちょっと焦りすぎたか?」



 転生の間ではまだ冷静では無かったのだろう。だが、こうして異世界に来て、現実を知り、色々と考えてしまう。



「今日の晩御飯ってなんだったんだろうな………」



 もう、食べられない母親の晩御飯。それをつい考えてしまい、涙が零れそうになる。



「おいおい、もうホームシックか?流石に早すぎるだろ」



 死んだからもう戻れない。そうわかっていても、つい考えてしまう。



「天国では、会えるかな………」



 遠い未来、変わり果てた自分と両親が再会する事を夢見て、優斗は宿屋へと向かうのだった。
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