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再会
12.
しおりを挟む絶対わざとに決まってるのに、また変えても付いてきそうでイライラしてしまう。
それなら無視して知らないふりをした方が賢明だと思い、フンっとそのまま前を向いてワイヤレスイヤホンを耳に差し込み音楽を聴くことにした。
そうすれば会話しなくて済むし存在だって気にならない。
ここにサングラスでもあれば、顔も見なくて済むのに。
電車が到着して乗り込むと、わりとギュウギュウの車内。
先輩から遠ざかるため、なるべく中の方に進んで詰めて立った。
よし、これで少しは離れたよね。
そう思って横を見上げると、見知った横顔がそこにあった。
「――っ!」
シーっと人差し指を立てられ、知らん顔して吊り革を掴んで真横に立っている。
逃げたくても満員御礼の車内に動けるスペースはない。
ムカムカしながらガラス窓に映る自分を見ると、暗闇に反射した二人の姿が目に入る。
あり得ない。
音信不通になって何年も経つのに、いま隣に昂良先輩がいることが不思議でならない。
いや、連絡を断たれるほど嫌われていた人に、今さらどうということはない。
けれどまたこんな間近にいられると、嫌でも意識はしてしまう。
それでも無視して先輩とは逆方向を向いていると、聞いていた音楽が片方だけ聴こえなくなった。
耳に手を当てがうと、イヤホンが無い。
見上げると先輩が自分の耳につけているところだった。
「な、何してるんですかっ」
先輩は横目でチラッと見ただけで、聞いても答えてくれない。
しばらく音楽を聴いてから、おもむろにイヤホンを返してきた。
「KーPOP好きか。ミーハーだな」
「ほ、ほっといてください!」
今はKーPOPが熱いんです!
って、耳元で大きな声で言ってやりたいところだけど、勝手に人のイヤホン取り上げて無断で聴いたくせに、ケチつけるとか相変わらずほんと嫌味ったらしい。
さっきまで昂良先輩が耳にしたイヤホンを複雑な思いで自分の耳に付け直した。
すると、ふいにポンと頭を撫でられ「じゃあな、おつかれさん」と言い残し颯爽と電車を降りていってしまった。
久しぶりの険悪なやりとりも、あっけない幕切れとなりしばし茫然となる。
私と二駅しか違わないんだ……。
そんなことを思いながら、無意識に撫でられた頭を手で触っていた。
な、何やってんの!
手でシッシッと払い除けるように、先輩の残像を追い払ってやった。
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