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招待
25.
しおりを挟むどうにかして逃れようとジタバタしてみるけれど、先輩は両腕を上げて私の腰と膝を固定させた。
ちょっ、この手なに!?
「動くなよ。ゆっくり出来ないだろ」
「ゆっくりされても困るんですけどっ」
少しズレようとしても、ガッチリと掴まれた体はなかなか離れない。
無理やりグッと頭を押してみても「痛いからやめろ」と言われる始末。
何度抵抗してもさらに力が入るだけで、ドキドキする鼓動を止められずどうすることもできない。
逃れることを許されないこの状況に、埒があかず抵抗するのをやめて分かりやすく大きなため息を漏らした。
膝に頭を乗せたまま相変わらず心臓はドクドクと脈打っている。
落ち着かないままただじっとしていると、ふと手を握られた感覚に気づき先輩を見下ろした。
目が合うと私の顔を凝視していたのか真顔で見つめている。
「なに考えてんの?」
「別に何も」
「怒ってる?」
「怒るより、呆れてます」
どれだけ抵抗しても離してくれなかったくせに、今さら怒ってるなんて聞くのおかしくない?
そんなことを思って少しムスッとした表情になってしまった。
すると先輩は私を見上げたまま、胸まである髪を一束すくってクルクルと手で遊びだした。
「な、何してるんですか!?」
「あの頃から伸びたな、と思って……」
あの頃とは、大学生の頃のことだろう。当時の私は肩までのボブにしていた。
長過ぎず短過ぎず、暑ければ括れるくらいの長さがちょうど良かった。
それに先輩が……長いのはあまり好きじゃないと言ったからずっとボブにしていた。
けれど今は誰に気兼ねすることなく自分の好きなように長く伸ばしている。もう髪の長さひとつを気にする相手もいないから……。
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