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安泰
12.
しおりを挟む先輩との付き合いは順調そのもので、残業がないかぎり退勤後も一緒に帰り、朝も時々一緒に通勤する。休みの日はもちろんイチャイチャ……。
あのクールで無愛想な先輩はどこへいったのか、最近では尻尾を振った大型犬にしか見えなくなってきた。
これがほんとにあの昂良先輩かと思うと、以前とのギャップに驚くばかりだ。
ただし公私の振り分けはさすがというか、会社で見かける先輩はキリッとクールに、且つ無愛想は崩さない。
なのにばったり廊下で出くわすと、すれ違いざまにフニャっと笑顔を向けてくるからその度にドキドキしてしまう。
分かりやすく振り回されてる自覚は十分ある……。
でもそんなことどうでもよくなるほどに、好きなのだから仕方がない。
最近は仕事も恋愛も順調で、何もかもが楽しい時期。毎日充実した生活を送っている。
そんな気分のいい、よく晴れた日。
清々しい天気のもと美味しそうな鴨南蛮そばを前に、同じテーブルに座る三人にじっと見つめられていた。
「じゃあ、説明してもらおうかな。千春ちゃん」
「私も聞きたい」
「同じく」
前々日に村元さんから連絡が入り、松下さんと三人でまた一緒にランチしませんか?との誘いがあった。
もちろん誘われれば嬉しくて二つ返事で快諾し、翌日ロビーで待ち合わせすることになった。
ランチタイムとあって社食以外に外で食事をする人たちがロビーを流れていく。
私は玄関ドア付近でガラス窓にもたれながら待っていると、村元さんが手を振って駆け寄ってきた。
「若宮さんお疲れさまー!ごめんね、待ちました?」
「いえ、私もさっき来たばかりなので」
「よかったぁ」
と言う彼女の後ろから松下さん。
ぺこりと挨拶すると、その後ろからひょっこり顔を出した的場さんも一緒に歩いてきた。
「お疲れさまです」
「千春ちゃんおつかれー。早速行こうか」
的場さんはニコニコしながら当然のように一緒に歩きだした。
なぜ?
私は意味がわからず目をぱちくりさせた。
すると村元さんが顔を近寄せて耳打ちしてくる。
「若宮さんとご飯に行く話を松下さんとしてたら、なぜか的場さんも聞いてたみたいでついてくることになっちゃって……。ごめんね」
「いえ……全然」
全然よくない。
と思うけれど断る理由もなく一緒に行くことになってしまった。
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