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相愛
1.
しおりを挟むーーそれから三週間後。
今日は美香たちへ贈るお祝いの品が届いたため事前に連絡を取り、休日、昂良先輩と共に親友夫婦の家へ行くことになった。
贈り物のひとつの珈琲豆は前日の仕事帰りに一緒に買いに行き、そのほかに準備した荷物を抱えマンションの玄関先まで来ていた。
「やっぱ緊張すんな」
「ふふ、会うのは久しぶりですもんね。先輩が来るの楽しみにしてるって言ってたんで喜んでると思いますよ」
インターホンも押さず玄関の前に並んで突っ立ったまま、朝からずっと緊張すると言って強張っている先輩を励ましていた。
「ふぅ。どんな顔すりゃいいんだ」
「普通でいいですよ」
「なぁ、眉間に皺寄ってないか?」
隣に立ったまま「ん」と顔を向けてくるので、見上げて人差し指で眉間を擦り確認してあげた。
緊張しているのは見ていて分かるけど、これ以上どうしようもないのに心が落ち着かないようだ。
「大丈夫です。いつものイケメンですよ」
「今そういうのいらないから」
「もう、ほんと大丈夫ですって。いつもみたいにデカい態度取ってればいいんです」
「……それ励ましになってないからな。あとで覚えとけよ」
いつもは強気なくせに変なところで小心者なんだよね、と複雑な顔をしているのを横で見て笑った。
「服装とか髪型も変じゃないよな?」
「朝も言いましたけど、私が見立てたから完璧ですってば。自信持ってください」
いつまでも不安がっているのを少しでも安心させたいと思い、昂良先輩をギュッと抱きしめ背中をポンポンしてあげた。
両手に荷物を持ったままの先輩は、フゥーと大きく深呼吸をして、軽く顎を上げ気持ちを切り替えているようだった。
こんなに緊張する先輩を見るのは初めてだ。
「私と再会した時は緊張すらしなかったくせに……」
と対応の違いについボソリと文句が出てしまった。
いつまでも自分を確認している様子など、見たこともないからだ。
昔の友達と会うだけなのにどうしてこんなに緊張しているのか、まるで好きだった彼女と再会するみたいな態度になんとなくムッとしてしまった。
すると、顎を上げたまま急に何を言ってるんだと視線を向けたあと顔を覗き込まれた。
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