先輩、お久しぶりです

吉生伊織

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相愛

4.

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玄関からリビングに入ると、テーブルにはこれ以上乗せられないというほど豪華な料理が並んでいた。


煮込みチキンに彩り野菜のマリネ、エッグファルシーに挽肉を使ったクリームパスタ。手作りのロール寿司にビーフシチュー……他にも色々。


「す、凄いんだけど……これ、美香一人で用意したの?」

「陵に手伝ってもらったり、前日から色々仕込んでたの。簡単だったよ」

「ちょっ、凄く嬉しいけど身重なのにここまでしなくても」

「だって今日はお祝いでしょ。盛大にしたいじゃない」


美香はウインクしながら腕捲りをしてキッチンに入っていき、カチャカチャと取り分け用のお皿やカップを用意しだした。


「待って、あとは私がするから指示して」

「大丈夫大丈夫、動かないと運動不足になるから。それに積もる話もたーくさん聞きたいじゃない。こんなのまだまだ足りないくらいよ」

「いやいや、気持ちだけで……」


こんなにたくさん、今日一日で食べ切れるか分からないほど準備してくれていたことに驚く。
昂良先輩が来るからと夫婦で張り切ってくれたんだろう。
仕込みだけでも相当な時間がかかったはず。まして妊婦の美香に立ちっぱなしは負担だっただろう。二人のおもてなしの気持ちに感謝しかない。


一方、昂良先輩は陵介先輩に部屋の間取りを説明してもらっていたり、お互いの職場の話や学生時代の友人の話をして盛り上がっていた。


この短時間ですっかり昔の仲が良かった雰囲気に戻り、最初の緊張感も抜け楽しそうに話をしている。
ソファに座って談笑しあう二人の姿がキッチンから見えると、私まで頬が緩んでしまった。


「じゃあみんな、席に座って~」


美香の掛け声でテーブルを囲むと、夫婦に向かい合うように私たちも椅子に座った。


「とりあえず、みんなはスパークリングワインね。私はレモン入りの炭酸水。雰囲気だけ味わわせてもらうよ」


妊婦の美香は当然アルコール厳禁のため、みんなと同じ細長いフルートグラスに炭酸水を入れていた。
私は注がれたスパークリングワインのシュワシュワと弾ける音に気分も上がりすでに酔った気分。

グラスを持ち少し掲げると陵介先輩が口を開いた。


「じゃあ早速だけど、昂良との久しぶりの再会と二人の交際を記念して~、乾杯っ!」

「「「カンパーイ!」」」






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