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第2章 冒険者アラタ編
第58話 未知から既知へ
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ダンジョン内に突入して陣形を整えるまでの間、アラタはダンジョンの脅威に圧倒されていた。
侵攻開始と同時に隊列を組み、順次前進するという話だったが、既に魔物の襲撃が始まっている。
アラタは完全に立ち遅れていたが周りの冒険者は違った。
前衛職の人間たちは次々と魔物を狩り、後続が侵入するスペースを確保しつつゆっくりと前進しているのだ。
当然だが、その中にはノエルもいる。
というより最前線で敵を斬り、道を切り開いているのは彼女だ。
アラタから見て、魔物が活性化しているというのは本当のことのように思えた。
ダンジョンと言えど第1階層、生息している魔物はそこまで珍しいものはいない。
ゴブリン、オーク、ハウンド、その他諸々魔物の中ではポピュラーでアラタも狩りに参加したことのあるものばかりだ。
しかしどの個体も明らかに動きが違う、ランクアップ試験の時に3匹まとめて倒したゴブリンでさえかなり強い。
もし試験の時相手にしたゴブリンがこれほどまでに強力なら、彼はあの時殺されていただろう。
「アラタ! ついてきているか!」
「ああ! 大丈夫だ!」
アラタに声をかけながらも先行するノエルはまた1匹オークを斬り倒した。
シャーロットよりも大きな体をしている魔物、しかも活性化したそれは敏捷性も高く他の冒険者も数人がかりで倒している。
それをノエルは一太刀で一刀両断の唐竹割り、彼女はこの討伐隊の中でも頭一つ抜けている。
流石は剣聖のクラス保持者、クラスが発現してから、冒険者になってからまだ2年程度しか経っていないというのにCランクまで上り詰めた実力は伊達じゃない。
こうして先行組が切り開いた場所に後続が侵入してきて攻撃を始める。
10パーティー45名もいると火力は段違い、ダンジョン内で火属性の魔術が使えないことは残念だが、広域制圧用の魔術がポンポン打たれている場面は壮観である。
その光景だけ目にしてもこのクエストに参加した戦力がいかに大きいものかよくわかる。
普段のアラタ達3人ならリーゼが大技一発撃っただけで盛り上がるものだ。
最後尾の後衛組までダンジョン内に入り、先頭で戦う冒険者たちに暗視、身体強化の支援魔術が付与されることで戦況は一気に冒険者有利に傾く。
アラタからすれば、『あんたら今までどうやって敵を見ていたんだ』と言いたくなるところだが、彼らはアラタの判断基準で既に人間を辞めている、気にするだけ無駄だ。
軍所属の部隊のように、全体で一つの魔術を行使したりそれに対抗したりすることは無いが、単純に人数分の力を持った集団が大挙して押し寄せてきた。
それだけで第1階層の魔物はなす術もなく駆逐され、徐々にその数を減らしていく。
魔物は自然繁殖もするが、ダンジョン内においては魔物はその辺の壁や池、果ては水たまりから勝手に生まれる。
その分気を付けなければならないこともあるが、全滅させても問題ないというのもダンジョンの魅力の一つだ。
アラタ達は、というよりほとんどアラタ以外の手によって魔物はほぼ完全に殲滅され次の階層への階段に到着する。
アトラダンジョンは階層構造を取っていて、下に行けば行くほど危険度が上がる。
階段周りを確保、魔物を排除した後一行は休息時間を取る。
一同はここで一息つくことが出来るが、アラタにとってはこれからが仕事の時間である。
先ほどの戦闘で刀は抜いて待機していたものの、アラタが敵と交戦することは無かった。
そして遠距離攻撃の手段を持たないアラタのキルスコアは完全なまでの0だ。
そんな彼の役目は、今こうして休憩している冒険者たちに補給を取らせ、ポーションなどを消費した者に予備の装備を配ることだった。
彼と同じ、いわゆるサポート役でこのクエストに参加している冒険者はほかに2名、つまり一人当たり14人をサポートするわけだが、これがなかなか大変だった。
他の人に比べて明らかに手がかかるとはいえ、普段アラタが面倒を見ている数は2名、その7倍の人数をカバーしなければならないと考えるとどう考えても重労働だ。
しかし彼らのように体を張って魔物と殺し合う危険を考えれば、ただ疲れるだけの仕事は重労働認定されない。
各員が十分に休息を取り、アラタ達サポート役も一息つき終わったことを確認してハルツの号令の元第2階層への階段を下る。
スキル【暗視】で見えているとはいえ、下へと続く階段はアラタの恐怖心を掻き立てるが他の冒険者たちはガンガン進んでいく。
考えてみれば当たり前か。
俺は初めてここに来たけど、みんなは普段からこのダンジョンに出入りしているんだ。
多少魔物が活性化していて、数が増えていても構造そのものが変わるわけじゃないからどんどん進むことが出来る。
アラタのポジションは前衛と中衛の間付近、前衛に一人サポートが付いていて、最後の一人は後衛と中衛の間付近にいる。
アラタが背負っている荷物の重量はそれなりにあるが、身体強化なしで持てるほどのもので大したものではない。
破竹の勢いで魔物を討伐していくとはいえ、敵と交戦する以上ずっと走り続けるわけではなく、荷物を持ったアラタが遅れることもない。
第2、第3階層を制覇、第4階層前で休息と備品補給をしている時、それは起きた。
「転移」
一同の耳にどこからか声が聞こえた瞬間、アラタは何故か空中にいた。
「うわぁ!」
「ななななんだ!?」
「全員受け身を取れ!」
頼れるものが何もない完全な浮遊感を感じながら、隊長であるハルツの声に従い総員スムーズに着地する。
アラタも身体強化を発動し荷物を壊さないように静かに着地した。
運悪く受け身に失敗した者もいたが、アラタから見てあのくらいなら大丈夫だろうと安堵し…………本当に大丈夫か?
おかしい。
ここはどこだ?
さっきより人が、人数が足りない。
「リーゼ! アラタ! どこだ!」
「ノエル! 俺はここだ!」
2人に続き他の冒険者たちも次々に仲間の名前を叫ぶ。
……だが、
「リーゼ! 返事をしろ!」
さっきからノエルが大声でリーゼの名前を呼んでいるのに反応が無い。
それもそうだけど、
「全員静かに! 中衛! 後衛! いるなら返事をしろ!」
……ダンジョン内部は静まり返り、天井から滴る雫の音だけが反響する。
ここまで来て状況が分からないようなものはこの中には一人としていない。
「……我々は分断されたようだ」
ハルツの言葉はその場にいる前衛職の冒険者たちに現実を突きつける。
そしてその直後、後方から振動が、地響きにも似た何かが近づいてくる。
「感知!」
「……魔物の群れです! 数は40以上!」
前衛職の人数は20名、アラタも含めれば21名いる。
先ほどの編成で考えれば数的にはさほど問題ないように思える。
しかし彼らが後方支援を受けずに戦ったのはダンジョン入り口、第1階層のみである。
戦力差は2倍、勝てなくはないが骨は折れる。
「総員戦闘準備! タリアはここの階層を割り出せ!」
「了解!」
タリア、ハルツのパーティーメンバーでありリーゼの他に治癒魔術が使える唯一の冒険者。
スキルセット的にはリーゼのような全距離対応型のオールラウンドヒーラー、彼女のように中衛か後衛に配置するのがセオリーだったが、結果論で言えばハルツの采配は的中した。
アラタは魔物と距離を取り、その間に戦闘員たちが入る。
タリアはさらに距離を取り、魔術に集中している。
そんな中、前衛組と魔物との交戦が開始された。
中・遠距離からの魔術攻撃が無い以上、近距離からの魔術、剣術に攻撃は限られるためどうしても攻撃のバリエーションと角度は絞られる。
しかしノエルやハルツを中心とした近距離特化型の冒険者が敵の攻撃を捌き、仕留めていく。
「ここは第5階層! 最下層の高さだわ!」
階層を割り出したタリアの報告に戦闘中のハルツは僅かに顔をしかめたが、迫りくる大型のミノタウロスの腕を斬り飛ばすとその隙を縫ってノエルが首を斬る。
これが最後の敵だったようで、頸動脈から血を吹き出しながら倒れ、息絶えたミノタウロスの首をノエルが刎ね、とどめを刺した。
ひとまずは魔物の襲撃を撃退し、一息つこうとなるのは当然の流れだった。
誰かの声が聞こえたと思った次の瞬間に空中に浮き、仲間とはぐれたのだ。
既知の情報を組み立てて予想されていた状態から、状況は未知のステージへと移ったのだ。
幸いというか流石というべきか、一連の戦闘で離脱者は出なかったがそれでも軽度の傷を負った者は何名かいる。
タリアはその治療にあたり、サポート役の2人はその手伝いに駆り出される。
そうしている間、ハルツは主だったメンバーを招集し協議を行っていた。
「2年前と同じだ。レイフォード家の仕業か?」
「いや、以前はフリードマンのちょっかいで……」
「だからその大本である公爵家のせいであるに決まっているだろう!」
「少し黙れ」
腰掛けるのに丁度いい石の上に座り、議論を聞いていたハルツは一同を制止した。
「今確認するべきことは?」
「……中衛、後衛の所在と安否」
「そうだ、誰がこの事態を引き起こしたかではない。……クエストは中止、中衛と後衛の捜索を行いながら上層階へ向かい、ある程度集合した時点で撤退する」
このクエストのリーダーであるハルツの決定、反対する者はいなかった。
当初予定されていたよりも多くの障害が討伐隊に襲い掛かっていることは明白、ギルドのルール的にも、冒険者の安全的にもこれが最善の選択だった。
負傷者の治療が完了し、一行はタリアの探査系スキルを頼りに最下層からの脱出を図る。
第3階層までであれば今なら魔物はいない。
つまり実質的なゴールは第3階層以上までに、どれだけ多くの冒険者を引き連れて移動できるかにかかっている。
戦闘で戦い続けているハルツ、ノエルにも疲れの色が見えるがそのおかげで他の冒険者は死なずに済んでいる。
「ハルツさん、話があります」
「アラタか。なんだ?」
「実は……………………」
「…………………………」
「分かりました。それでお願いします」
ハルツと言葉を交わし終えたアラタは再び配置に戻る。
そしてその後すぐ、まるでアラタが配置につくことを待っていたかのように魔物の襲撃が再び発生した。
「私とノエルをフロントに下がり気味に交戦する! 罠を張れるものは先に下がり仕掛けを作れ!」
中衛、後衛の安否はいまだ不明、補給も有限な中前衛組の戦闘は再開された。
侵攻開始と同時に隊列を組み、順次前進するという話だったが、既に魔物の襲撃が始まっている。
アラタは完全に立ち遅れていたが周りの冒険者は違った。
前衛職の人間たちは次々と魔物を狩り、後続が侵入するスペースを確保しつつゆっくりと前進しているのだ。
当然だが、その中にはノエルもいる。
というより最前線で敵を斬り、道を切り開いているのは彼女だ。
アラタから見て、魔物が活性化しているというのは本当のことのように思えた。
ダンジョンと言えど第1階層、生息している魔物はそこまで珍しいものはいない。
ゴブリン、オーク、ハウンド、その他諸々魔物の中ではポピュラーでアラタも狩りに参加したことのあるものばかりだ。
しかしどの個体も明らかに動きが違う、ランクアップ試験の時に3匹まとめて倒したゴブリンでさえかなり強い。
もし試験の時相手にしたゴブリンがこれほどまでに強力なら、彼はあの時殺されていただろう。
「アラタ! ついてきているか!」
「ああ! 大丈夫だ!」
アラタに声をかけながらも先行するノエルはまた1匹オークを斬り倒した。
シャーロットよりも大きな体をしている魔物、しかも活性化したそれは敏捷性も高く他の冒険者も数人がかりで倒している。
それをノエルは一太刀で一刀両断の唐竹割り、彼女はこの討伐隊の中でも頭一つ抜けている。
流石は剣聖のクラス保持者、クラスが発現してから、冒険者になってからまだ2年程度しか経っていないというのにCランクまで上り詰めた実力は伊達じゃない。
こうして先行組が切り開いた場所に後続が侵入してきて攻撃を始める。
10パーティー45名もいると火力は段違い、ダンジョン内で火属性の魔術が使えないことは残念だが、広域制圧用の魔術がポンポン打たれている場面は壮観である。
その光景だけ目にしてもこのクエストに参加した戦力がいかに大きいものかよくわかる。
普段のアラタ達3人ならリーゼが大技一発撃っただけで盛り上がるものだ。
最後尾の後衛組までダンジョン内に入り、先頭で戦う冒険者たちに暗視、身体強化の支援魔術が付与されることで戦況は一気に冒険者有利に傾く。
アラタからすれば、『あんたら今までどうやって敵を見ていたんだ』と言いたくなるところだが、彼らはアラタの判断基準で既に人間を辞めている、気にするだけ無駄だ。
軍所属の部隊のように、全体で一つの魔術を行使したりそれに対抗したりすることは無いが、単純に人数分の力を持った集団が大挙して押し寄せてきた。
それだけで第1階層の魔物はなす術もなく駆逐され、徐々にその数を減らしていく。
魔物は自然繁殖もするが、ダンジョン内においては魔物はその辺の壁や池、果ては水たまりから勝手に生まれる。
その分気を付けなければならないこともあるが、全滅させても問題ないというのもダンジョンの魅力の一つだ。
アラタ達は、というよりほとんどアラタ以外の手によって魔物はほぼ完全に殲滅され次の階層への階段に到着する。
アトラダンジョンは階層構造を取っていて、下に行けば行くほど危険度が上がる。
階段周りを確保、魔物を排除した後一行は休息時間を取る。
一同はここで一息つくことが出来るが、アラタにとってはこれからが仕事の時間である。
先ほどの戦闘で刀は抜いて待機していたものの、アラタが敵と交戦することは無かった。
そして遠距離攻撃の手段を持たないアラタのキルスコアは完全なまでの0だ。
そんな彼の役目は、今こうして休憩している冒険者たちに補給を取らせ、ポーションなどを消費した者に予備の装備を配ることだった。
彼と同じ、いわゆるサポート役でこのクエストに参加している冒険者はほかに2名、つまり一人当たり14人をサポートするわけだが、これがなかなか大変だった。
他の人に比べて明らかに手がかかるとはいえ、普段アラタが面倒を見ている数は2名、その7倍の人数をカバーしなければならないと考えるとどう考えても重労働だ。
しかし彼らのように体を張って魔物と殺し合う危険を考えれば、ただ疲れるだけの仕事は重労働認定されない。
各員が十分に休息を取り、アラタ達サポート役も一息つき終わったことを確認してハルツの号令の元第2階層への階段を下る。
スキル【暗視】で見えているとはいえ、下へと続く階段はアラタの恐怖心を掻き立てるが他の冒険者たちはガンガン進んでいく。
考えてみれば当たり前か。
俺は初めてここに来たけど、みんなは普段からこのダンジョンに出入りしているんだ。
多少魔物が活性化していて、数が増えていても構造そのものが変わるわけじゃないからどんどん進むことが出来る。
アラタのポジションは前衛と中衛の間付近、前衛に一人サポートが付いていて、最後の一人は後衛と中衛の間付近にいる。
アラタが背負っている荷物の重量はそれなりにあるが、身体強化なしで持てるほどのもので大したものではない。
破竹の勢いで魔物を討伐していくとはいえ、敵と交戦する以上ずっと走り続けるわけではなく、荷物を持ったアラタが遅れることもない。
第2、第3階層を制覇、第4階層前で休息と備品補給をしている時、それは起きた。
「転移」
一同の耳にどこからか声が聞こえた瞬間、アラタは何故か空中にいた。
「うわぁ!」
「ななななんだ!?」
「全員受け身を取れ!」
頼れるものが何もない完全な浮遊感を感じながら、隊長であるハルツの声に従い総員スムーズに着地する。
アラタも身体強化を発動し荷物を壊さないように静かに着地した。
運悪く受け身に失敗した者もいたが、アラタから見てあのくらいなら大丈夫だろうと安堵し…………本当に大丈夫か?
おかしい。
ここはどこだ?
さっきより人が、人数が足りない。
「リーゼ! アラタ! どこだ!」
「ノエル! 俺はここだ!」
2人に続き他の冒険者たちも次々に仲間の名前を叫ぶ。
……だが、
「リーゼ! 返事をしろ!」
さっきからノエルが大声でリーゼの名前を呼んでいるのに反応が無い。
それもそうだけど、
「全員静かに! 中衛! 後衛! いるなら返事をしろ!」
……ダンジョン内部は静まり返り、天井から滴る雫の音だけが反響する。
ここまで来て状況が分からないようなものはこの中には一人としていない。
「……我々は分断されたようだ」
ハルツの言葉はその場にいる前衛職の冒険者たちに現実を突きつける。
そしてその直後、後方から振動が、地響きにも似た何かが近づいてくる。
「感知!」
「……魔物の群れです! 数は40以上!」
前衛職の人数は20名、アラタも含めれば21名いる。
先ほどの編成で考えれば数的にはさほど問題ないように思える。
しかし彼らが後方支援を受けずに戦ったのはダンジョン入り口、第1階層のみである。
戦力差は2倍、勝てなくはないが骨は折れる。
「総員戦闘準備! タリアはここの階層を割り出せ!」
「了解!」
タリア、ハルツのパーティーメンバーでありリーゼの他に治癒魔術が使える唯一の冒険者。
スキルセット的にはリーゼのような全距離対応型のオールラウンドヒーラー、彼女のように中衛か後衛に配置するのがセオリーだったが、結果論で言えばハルツの采配は的中した。
アラタは魔物と距離を取り、その間に戦闘員たちが入る。
タリアはさらに距離を取り、魔術に集中している。
そんな中、前衛組と魔物との交戦が開始された。
中・遠距離からの魔術攻撃が無い以上、近距離からの魔術、剣術に攻撃は限られるためどうしても攻撃のバリエーションと角度は絞られる。
しかしノエルやハルツを中心とした近距離特化型の冒険者が敵の攻撃を捌き、仕留めていく。
「ここは第5階層! 最下層の高さだわ!」
階層を割り出したタリアの報告に戦闘中のハルツは僅かに顔をしかめたが、迫りくる大型のミノタウロスの腕を斬り飛ばすとその隙を縫ってノエルが首を斬る。
これが最後の敵だったようで、頸動脈から血を吹き出しながら倒れ、息絶えたミノタウロスの首をノエルが刎ね、とどめを刺した。
ひとまずは魔物の襲撃を撃退し、一息つこうとなるのは当然の流れだった。
誰かの声が聞こえたと思った次の瞬間に空中に浮き、仲間とはぐれたのだ。
既知の情報を組み立てて予想されていた状態から、状況は未知のステージへと移ったのだ。
幸いというか流石というべきか、一連の戦闘で離脱者は出なかったがそれでも軽度の傷を負った者は何名かいる。
タリアはその治療にあたり、サポート役の2人はその手伝いに駆り出される。
そうしている間、ハルツは主だったメンバーを招集し協議を行っていた。
「2年前と同じだ。レイフォード家の仕業か?」
「いや、以前はフリードマンのちょっかいで……」
「だからその大本である公爵家のせいであるに決まっているだろう!」
「少し黙れ」
腰掛けるのに丁度いい石の上に座り、議論を聞いていたハルツは一同を制止した。
「今確認するべきことは?」
「……中衛、後衛の所在と安否」
「そうだ、誰がこの事態を引き起こしたかではない。……クエストは中止、中衛と後衛の捜索を行いながら上層階へ向かい、ある程度集合した時点で撤退する」
このクエストのリーダーであるハルツの決定、反対する者はいなかった。
当初予定されていたよりも多くの障害が討伐隊に襲い掛かっていることは明白、ギルドのルール的にも、冒険者の安全的にもこれが最善の選択だった。
負傷者の治療が完了し、一行はタリアの探査系スキルを頼りに最下層からの脱出を図る。
第3階層までであれば今なら魔物はいない。
つまり実質的なゴールは第3階層以上までに、どれだけ多くの冒険者を引き連れて移動できるかにかかっている。
戦闘で戦い続けているハルツ、ノエルにも疲れの色が見えるがそのおかげで他の冒険者は死なずに済んでいる。
「ハルツさん、話があります」
「アラタか。なんだ?」
「実は……………………」
「…………………………」
「分かりました。それでお願いします」
ハルツと言葉を交わし終えたアラタは再び配置に戻る。
そしてその後すぐ、まるでアラタが配置につくことを待っていたかのように魔物の襲撃が再び発生した。
「私とノエルをフロントに下がり気味に交戦する! 罠を張れるものは先に下がり仕掛けを作れ!」
中衛、後衛の安否はいまだ不明、補給も有限な中前衛組の戦闘は再開された。
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ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
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