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第2章
王都グランド・ゼニス
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王都グランド・ゼニスを取り囲む真っ白な城壁は、近づくほどにその威容で見る者を圧倒した。空を突くような石造りの壁は、数多の魔物や戦火を撥ね退けてきた歴史の重みを湛えている。
カイルはその門前に続く長い列に並び、不安げにシリウスを抱き上げた。
「すごいね、シリウス。あんなに大きな門、僕、初めて見たよ」
カイルが呟くと、シリウスは退屈そうに欠伸を一つし、白銀の毛並みを陽光に輝かせた。カイルにとって最大の懸念は、シリウスを連れて中に入れるかどうかだった。
「おっと、そこの坊主、契約書はあるか?」
「あの、持っていません」
「契約魔物じゃないなら、この先へはつれていけないぞ」
門番が鋭い視線を投げかける。
「契約はしてます!僕は魔物使いなんです!」
カイルが答えると、門番の表情は意外にも和らいだ。
「ほう、魔物使いだったか。珍しいワーウルフを連れているんだな。いいか、王都では魔物使いでなくとも、友好的な魔物を特別な契約をして使役している者は多い。だが、街中で騒ぎを起こせば即座に拘束だ。契約をしているとはいえ、魔物は魔物。簡単に処分されるかもしれない。十分に気を付けるんだぞ。分かったな?」
「はい! ありがとうございます!」
カイルは安堵の溜息をつき、活気あふれる王都の石畳を踏みしめた。そこにはカイルがいた田舎町とは比較にならないほどの喧騒があった。多種多様な種族が行き交い、空飛ぶ魔導具が音もなく頭上を通り抜ける。
大通りを進むと、ひときわ巨大で荘厳な石造りの建物の前で、何百人もの人々が列をなしていた。王都で最大の団員数を誇る超大型ギルド『金色の獅子』。彼らがちょうど年に1度の新規メンバーを募集している最中だったのだ。
「ここなら、僕とシリウスでも役に立てる場所があるかもしれない」
カイルは期待に胸を膨らませ、受付へと向かった。だが、その期待は受付窓口で早くも試練に直面する。
「新規入団希望ですね。では、まず冒険者カードを提示してください」
受付の女性職員が、流れるような動作で告げる。
「あ、あの、カードは持っていなくて。」
レベル0のカイルは冒険者として認められず、冒険者カードの発行をされていなかった。
「新規入会ということですね。ちなみに、鑑定はお済でしょうか?」
「はい!魔物使いです!」
「なるほど。そのワーウルフが契約魔物ということですね。最低限の素質はありそうですね。では、こちらへ」
別室に案内されたカイルを待っていたのは、魔導工学の粋を集めた魔力測定の水晶板だった。 初めて見る機械に戸惑う。
「こちらに手をかざしますと、魔力測定がされます。魔力が全てではないですが、我がギルドではランク決めの要素としています。」
カイルは緊張で強張る右手を、その冷たい球体へとかざした。そして、カイルは祈るように目を閉じた。だが、結果は非情だった。
何も反応が無い。完全な無反応。
「もう測定を初めて大丈夫ですよ?」
職員の女性が、カイルに向かって言う。
「えっと、やってみたんですけど」
「少々お待ちください。」
カイルの言葉に、職員の女性が別の職員を呼びに行った。
連れてこられた男性職員が装置を叩き確認する。
「おかしいですね。故障かな」
男性職員は、魔力測定は改めて実施しましょうといい、次の確認項目を要求された。
「では、魔物使いである証明として、光の刻印(コントラクト・マーク)の発光をさせてください」
光の刻印(コントラクト・マーク)とは、魔道具を介した契約では刻まれない、魔物使いと魔物の契約印だ。
通常、契約した魔物と主人の間には、魔力を循環させれば輝く「光の刻印」が浮かび上がる。 カイルは必死にシリウスとの魔力パスを意識した。だが、シリウスとカイルはかなり深いところで繋がっているためか、「光の刻印」が浮かび上がらなかった。
「印も出ない。坊主、お前、他人の魔物を連れているだけなんじゃないか?」
職員の声から温かさが消えた。
「違います! シリウスは僕が」
「嘘を言うな。魔力は無反応、印も出ない。魔物使いのフリをしてワーウルフを連れ歩いたんだろう。この色も、珍しいと思わせるために、自分で染めたに違いない。」
「そんなことしてません!」
「そんな方法で、誇り高き我がギルドに潜り込もうとするなんて許されると思ったか!」
追い出されるように、放り出されたカイルの肩は、小さく震えていた。
「衛兵に突き出さないだけ感謝して欲しい。」
隣でシリウスが、職員を睨みつける。
「ダメだよシリウス。弱い僕が悪いんだから」
カイルはその門前に続く長い列に並び、不安げにシリウスを抱き上げた。
「すごいね、シリウス。あんなに大きな門、僕、初めて見たよ」
カイルが呟くと、シリウスは退屈そうに欠伸を一つし、白銀の毛並みを陽光に輝かせた。カイルにとって最大の懸念は、シリウスを連れて中に入れるかどうかだった。
「おっと、そこの坊主、契約書はあるか?」
「あの、持っていません」
「契約魔物じゃないなら、この先へはつれていけないぞ」
門番が鋭い視線を投げかける。
「契約はしてます!僕は魔物使いなんです!」
カイルが答えると、門番の表情は意外にも和らいだ。
「ほう、魔物使いだったか。珍しいワーウルフを連れているんだな。いいか、王都では魔物使いでなくとも、友好的な魔物を特別な契約をして使役している者は多い。だが、街中で騒ぎを起こせば即座に拘束だ。契約をしているとはいえ、魔物は魔物。簡単に処分されるかもしれない。十分に気を付けるんだぞ。分かったな?」
「はい! ありがとうございます!」
カイルは安堵の溜息をつき、活気あふれる王都の石畳を踏みしめた。そこにはカイルがいた田舎町とは比較にならないほどの喧騒があった。多種多様な種族が行き交い、空飛ぶ魔導具が音もなく頭上を通り抜ける。
大通りを進むと、ひときわ巨大で荘厳な石造りの建物の前で、何百人もの人々が列をなしていた。王都で最大の団員数を誇る超大型ギルド『金色の獅子』。彼らがちょうど年に1度の新規メンバーを募集している最中だったのだ。
「ここなら、僕とシリウスでも役に立てる場所があるかもしれない」
カイルは期待に胸を膨らませ、受付へと向かった。だが、その期待は受付窓口で早くも試練に直面する。
「新規入団希望ですね。では、まず冒険者カードを提示してください」
受付の女性職員が、流れるような動作で告げる。
「あ、あの、カードは持っていなくて。」
レベル0のカイルは冒険者として認められず、冒険者カードの発行をされていなかった。
「新規入会ということですね。ちなみに、鑑定はお済でしょうか?」
「はい!魔物使いです!」
「なるほど。そのワーウルフが契約魔物ということですね。最低限の素質はありそうですね。では、こちらへ」
別室に案内されたカイルを待っていたのは、魔導工学の粋を集めた魔力測定の水晶板だった。 初めて見る機械に戸惑う。
「こちらに手をかざしますと、魔力測定がされます。魔力が全てではないですが、我がギルドではランク決めの要素としています。」
カイルは緊張で強張る右手を、その冷たい球体へとかざした。そして、カイルは祈るように目を閉じた。だが、結果は非情だった。
何も反応が無い。完全な無反応。
「もう測定を初めて大丈夫ですよ?」
職員の女性が、カイルに向かって言う。
「えっと、やってみたんですけど」
「少々お待ちください。」
カイルの言葉に、職員の女性が別の職員を呼びに行った。
連れてこられた男性職員が装置を叩き確認する。
「おかしいですね。故障かな」
男性職員は、魔力測定は改めて実施しましょうといい、次の確認項目を要求された。
「では、魔物使いである証明として、光の刻印(コントラクト・マーク)の発光をさせてください」
光の刻印(コントラクト・マーク)とは、魔道具を介した契約では刻まれない、魔物使いと魔物の契約印だ。
通常、契約した魔物と主人の間には、魔力を循環させれば輝く「光の刻印」が浮かび上がる。 カイルは必死にシリウスとの魔力パスを意識した。だが、シリウスとカイルはかなり深いところで繋がっているためか、「光の刻印」が浮かび上がらなかった。
「印も出ない。坊主、お前、他人の魔物を連れているだけなんじゃないか?」
職員の声から温かさが消えた。
「違います! シリウスは僕が」
「嘘を言うな。魔力は無反応、印も出ない。魔物使いのフリをしてワーウルフを連れ歩いたんだろう。この色も、珍しいと思わせるために、自分で染めたに違いない。」
「そんなことしてません!」
「そんな方法で、誇り高き我がギルドに潜り込もうとするなんて許されると思ったか!」
追い出されるように、放り出されたカイルの肩は、小さく震えていた。
「衛兵に突き出さないだけ感謝して欲しい。」
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「ダメだよシリウス。弱い僕が悪いんだから」
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