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32.豪華すぎる野営
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この宿場町で休む予定でしたが、ひいお祖父様の行動で変更となった。というのも、大勢の騎士や兵士が迎えに来たからだ。このままでは街に迷惑がかかる。
ひいお祖父様を回収に来た部隊は、およそ200人。こちらは使用人やその家族もいるので、総勢350人を超えた。大所帯になった一団は、追いついた補給部隊により豪華な野営地を作り始める。もう一つの町と呼べる規模だった。
「軍の野営装備ってすごいんですね」
「カルレオン帝国は他国よりかなり豪華だ。しっかり休ませてもらえ」
お父様はすでにぐるりと野営地を回ったようで、風呂があるだの、テントが大きいと興奮していた。お風呂があっても、私達の入浴は無理だと諦める。普通に考えて、男女別はないでしょうし、貸切でも問題でしょう。
「お風呂は寝る前にしましょう。体が冷えるといけないわ」
お母様は入るつもりなの? テントに案内される際の言葉に、中へ入ったら尋ねようと決めた。でも実際にテントに入ったら、疑問は一瞬で吹き飛ぶ。
円柱状の広いテントの中央に、大きな柱が立っていた。途中で木材を継ぎ足す金属の輪が嵌っている。運ぶ時は二つに分けられるよう、工夫されている柱の手前は大きなベッド。向こう側はカーテンに覆われた一角と、リビングのようなソファが置かれていた。足元はフカフカの絨毯が敷き詰められ、ベッドやソファは毛皮が使用される。
驚き過ぎて、声が出ない。このテントの外はなんてことない草原で、外なのよね? 屋外なのに、なんでこんなに豪華なの。お祖父様達の宮殿が豪華なのは理解できる。強国に相応しい美術品や家具が並ぶ宮殿は、数年に一度遊びに行ったから。
「ここ……テントですよね」
「ええ。皇族が外遊する時のテントよ。懐かしいわ。私がアウグストと出会ったのも、外遊の時なのよ」
その時もこのテントで移動してたと、お母様は思い出を語った。アルマニア大公領だけでも3泊するほど遠い。さらに向こうに位置するモンテシーノス王国へ、末の皇女が向かうとなれば装備は豪華だった。準備期間が短いので、今回は質素な方だとお母様は言い切った。
「このカーテンの向こうが、ほら。お湯は頼んでおけば運んでくれるわ」
タオルなども並んでおり、裏側からお湯を足せる管があった。テントの中に入らなくてもお湯を注げる。部屋で寛ぐ皇族の邪魔にならないよう、工夫した結果だった。やはりモンテシーノス王国とは、文化レベルが違う。
「ところで、そろそろナサニエルが泣くんじゃない? お腹空くわよね」
お母様に指摘された私はテントから顔を出す。と、離れた隣のテントから、元気な赤子の泣き声が聞こえた。
「ナサニエルが泣き止まんぞ!」
おろおろするひいお祖父様が、大切そうに抱いた我が子を連れて近づく。走って転ばぬよう、お父様が後ろから両手を差し伸べるが、触れずにたどり着いた。
「授乳の時間ですね」
受け取ってお礼を言った私は、簡易カーテンに覆われたベッドで乳を与える。夢中になって飲む息子が可愛くて、頬が緩んだ。
「食事とお風呂が終わったら休みましょう。明日は国境を越えるわ」
以前に何度も旅したお母様に促され、少し早めに休むことにした。テントの外は、ざわざわと人の声や気配を感じる。不思議とそれが心地よくて、私はしっかり休息を取れた。
ひいお祖父様を回収に来た部隊は、およそ200人。こちらは使用人やその家族もいるので、総勢350人を超えた。大所帯になった一団は、追いついた補給部隊により豪華な野営地を作り始める。もう一つの町と呼べる規模だった。
「軍の野営装備ってすごいんですね」
「カルレオン帝国は他国よりかなり豪華だ。しっかり休ませてもらえ」
お父様はすでにぐるりと野営地を回ったようで、風呂があるだの、テントが大きいと興奮していた。お風呂があっても、私達の入浴は無理だと諦める。普通に考えて、男女別はないでしょうし、貸切でも問題でしょう。
「お風呂は寝る前にしましょう。体が冷えるといけないわ」
お母様は入るつもりなの? テントに案内される際の言葉に、中へ入ったら尋ねようと決めた。でも実際にテントに入ったら、疑問は一瞬で吹き飛ぶ。
円柱状の広いテントの中央に、大きな柱が立っていた。途中で木材を継ぎ足す金属の輪が嵌っている。運ぶ時は二つに分けられるよう、工夫されている柱の手前は大きなベッド。向こう側はカーテンに覆われた一角と、リビングのようなソファが置かれていた。足元はフカフカの絨毯が敷き詰められ、ベッドやソファは毛皮が使用される。
驚き過ぎて、声が出ない。このテントの外はなんてことない草原で、外なのよね? 屋外なのに、なんでこんなに豪華なの。お祖父様達の宮殿が豪華なのは理解できる。強国に相応しい美術品や家具が並ぶ宮殿は、数年に一度遊びに行ったから。
「ここ……テントですよね」
「ええ。皇族が外遊する時のテントよ。懐かしいわ。私がアウグストと出会ったのも、外遊の時なのよ」
その時もこのテントで移動してたと、お母様は思い出を語った。アルマニア大公領だけでも3泊するほど遠い。さらに向こうに位置するモンテシーノス王国へ、末の皇女が向かうとなれば装備は豪華だった。準備期間が短いので、今回は質素な方だとお母様は言い切った。
「このカーテンの向こうが、ほら。お湯は頼んでおけば運んでくれるわ」
タオルなども並んでおり、裏側からお湯を足せる管があった。テントの中に入らなくてもお湯を注げる。部屋で寛ぐ皇族の邪魔にならないよう、工夫した結果だった。やはりモンテシーノス王国とは、文化レベルが違う。
「ところで、そろそろナサニエルが泣くんじゃない? お腹空くわよね」
お母様に指摘された私はテントから顔を出す。と、離れた隣のテントから、元気な赤子の泣き声が聞こえた。
「ナサニエルが泣き止まんぞ!」
おろおろするひいお祖父様が、大切そうに抱いた我が子を連れて近づく。走って転ばぬよう、お父様が後ろから両手を差し伸べるが、触れずにたどり着いた。
「授乳の時間ですね」
受け取ってお礼を言った私は、簡易カーテンに覆われたベッドで乳を与える。夢中になって飲む息子が可愛くて、頬が緩んだ。
「食事とお風呂が終わったら休みましょう。明日は国境を越えるわ」
以前に何度も旅したお母様に促され、少し早めに休むことにした。テントの外は、ざわざわと人の声や気配を感じる。不思議とそれが心地よくて、私はしっかり休息を取れた。
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