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116.お披露目のパレードが始まる!
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エンパイア風ドレスが運び込まれる。宮殿で結婚式に着たドレスとよく似たデザインだけど、色とスカート部分が大きく違った。宮殿で着た白と青のドレスは銀刺繍で、スカート部分は薄絹を何枚も重ねていた。
こちらは胸元の白が徐々に黒く染まっていく。裾へ向かって、オスカルの髪色になるの。まるで彼自身に包まれたみたいだわ。それに刺繍が金糸で、スカートはシンプルに二枚が合わさる形だった。アルムニア公国の国花とされるイバラよ。大公家の紋章が、そのまま公国の象徴になっていた。
全体に淡い印象の結婚式に比べ、強烈な束縛を感じる。それが嬉しいなんて、私ったら。もしかしたら違う意図かも知れないのに、妄想が激しくて恥ずかしいわ。
赤い宝石は紅石ではなく、柘榴石だった。黒に合わせても浮かず、しっくりと馴染む。濃赤の柘榴石は、公国の鉱山で採れると聞いた。名産品を使うのは、とても素敵なアイディアね。
「準備が出来た? あら、髪を結わなかったのね」
お母様に指摘された通り、今回は髪を流している。上の方だけ少し編んで、髪飾りを付けた。実はリリアナのアイディアなの。彼女も同じように銀髪を流し、人形のマリアも揃えた。
「私も揃えようかしら。あ、お母様に相談しなくちゃ」
お母様は慌ただしく出ていく。明るい緑のドレスの裾を摘んで早足で遠ざかる後ろ姿を見ながら、リリアナと笑った。
「お祖母様、転ばないといいけど」
「平気よ。少なくとも私より運動が得意なの」
エリサリデ公爵夫人である母の話題でリリアナと盛り上がり、支度の終わったリリアナと手を繋ぐ。幸いにして、彼女が風邪を引くことはなかった。それでも、心配でこうして触れてしまう。
「今日は何を運んでくれるのかしら」
「お披露目で使う花びらよ。これを馬車の上から撒くの」
アルムニア公国は気候が温暖で、花びらから香水や香油を抽出する技術に優れていた。そのため、お披露目の馬車から季節の花を撒く習慣がある。国民も持ち寄った花びらを投げ、沿道を美しく彩るのだとか。
「お片付けが大変そうね」
「大丈夫です。前に見た結婚式では、花を食べるウサギを放していました」
食べて片付けてくれるから、一石二鳥なのね。得意げに語るリリアナを撫でて「物知りね」と褒める。この子は褒めて育ててあげたい。きっと寂しがりやだわ。
オスカルは黒に金刺繍、ラベンダーのシャツを選んだみたい。互いに互いの色を纏う。これから一緒に国を治めるのだから、相応しい装いね。こんな素敵なドレスが用意されてると思わなかったから、驚いたわ。
「ティナ、準備は……っ、す、すごく綺麗で……似合ってる」
オスカルは入り口で固まってしまい、側近のアドリアンが後ろから突く。
「ご自分で手配して、何照れてるんですか。急いでください、時間が……うわっ、本当にお似合いですね」
明るい髪色に暗い色のドレスはよく似合うのよ。微笑んでお礼を言い、隣でピンクのワンピースドレスを纏うリリアナを押し出した。
「こちらの淑女も見てあげて。とても可愛いんだから」
口々に褒めてもらい、私達は機嫌よく歩き出した。ドレスの色が黒だから、金髪を流して目立たせる。刺繍と相まって、軽い印象になるわ。屋根のない馬車に乗り込むと、リリアナを真ん中に座らせた。
「いいの?」
「花びらを撒くのはリリアナのお仕事よ。私達は手を振るのに忙しいから、ここはリリアナの指定席」
嬉しそうなリリアナの銀髪を、髪飾りに気をつけて撫でる。エルを膝に乗せた私も馬車に乗り込んだ。
アルムニア公国の空は、やや薄曇り。パレードには良いお天気ね。
こちらは胸元の白が徐々に黒く染まっていく。裾へ向かって、オスカルの髪色になるの。まるで彼自身に包まれたみたいだわ。それに刺繍が金糸で、スカートはシンプルに二枚が合わさる形だった。アルムニア公国の国花とされるイバラよ。大公家の紋章が、そのまま公国の象徴になっていた。
全体に淡い印象の結婚式に比べ、強烈な束縛を感じる。それが嬉しいなんて、私ったら。もしかしたら違う意図かも知れないのに、妄想が激しくて恥ずかしいわ。
赤い宝石は紅石ではなく、柘榴石だった。黒に合わせても浮かず、しっくりと馴染む。濃赤の柘榴石は、公国の鉱山で採れると聞いた。名産品を使うのは、とても素敵なアイディアね。
「準備が出来た? あら、髪を結わなかったのね」
お母様に指摘された通り、今回は髪を流している。上の方だけ少し編んで、髪飾りを付けた。実はリリアナのアイディアなの。彼女も同じように銀髪を流し、人形のマリアも揃えた。
「私も揃えようかしら。あ、お母様に相談しなくちゃ」
お母様は慌ただしく出ていく。明るい緑のドレスの裾を摘んで早足で遠ざかる後ろ姿を見ながら、リリアナと笑った。
「お祖母様、転ばないといいけど」
「平気よ。少なくとも私より運動が得意なの」
エリサリデ公爵夫人である母の話題でリリアナと盛り上がり、支度の終わったリリアナと手を繋ぐ。幸いにして、彼女が風邪を引くことはなかった。それでも、心配でこうして触れてしまう。
「今日は何を運んでくれるのかしら」
「お披露目で使う花びらよ。これを馬車の上から撒くの」
アルムニア公国は気候が温暖で、花びらから香水や香油を抽出する技術に優れていた。そのため、お披露目の馬車から季節の花を撒く習慣がある。国民も持ち寄った花びらを投げ、沿道を美しく彩るのだとか。
「お片付けが大変そうね」
「大丈夫です。前に見た結婚式では、花を食べるウサギを放していました」
食べて片付けてくれるから、一石二鳥なのね。得意げに語るリリアナを撫でて「物知りね」と褒める。この子は褒めて育ててあげたい。きっと寂しがりやだわ。
オスカルは黒に金刺繍、ラベンダーのシャツを選んだみたい。互いに互いの色を纏う。これから一緒に国を治めるのだから、相応しい装いね。こんな素敵なドレスが用意されてると思わなかったから、驚いたわ。
「ティナ、準備は……っ、す、すごく綺麗で……似合ってる」
オスカルは入り口で固まってしまい、側近のアドリアンが後ろから突く。
「ご自分で手配して、何照れてるんですか。急いでください、時間が……うわっ、本当にお似合いですね」
明るい髪色に暗い色のドレスはよく似合うのよ。微笑んでお礼を言い、隣でピンクのワンピースドレスを纏うリリアナを押し出した。
「こちらの淑女も見てあげて。とても可愛いんだから」
口々に褒めてもらい、私達は機嫌よく歩き出した。ドレスの色が黒だから、金髪を流して目立たせる。刺繍と相まって、軽い印象になるわ。屋根のない馬車に乗り込むと、リリアナを真ん中に座らせた。
「いいの?」
「花びらを撒くのはリリアナのお仕事よ。私達は手を振るのに忙しいから、ここはリリアナの指定席」
嬉しそうなリリアナの銀髪を、髪飾りに気をつけて撫でる。エルを膝に乗せた私も馬車に乗り込んだ。
アルムニア公国の空は、やや薄曇り。パレードには良いお天気ね。
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