81 / 90
81.収納魔法を練習する
しおりを挟む
アガリと収納の魔法の練習をする。入れた物が混じるのは、まだ上手に魔力を練れていないからだと教えてもらった。
本当は魚と一緒に海水が入ったらダメなの。それに中のお菓子が塩水で濡れるのも、間違っていた。別々に入れたら、別々に出てこないと。理屈を書いた本を読み、挿絵をしっかり眺める。イメージが大事と何度も言われた。
空っぽの収納へ、液体の紅茶をしまう。カップから流し込んだ。その上に焼き菓子を放り込む。一度閉じて、取り出したら……濡れた焼き菓子が出てきた。しっとりと紅茶を吸い込んで、これはこれで美味しそうだけど?
「失敗です」
「うん、もう一回やる」
何度も挑戦すれば、上手になれるんだよ。剣術も魔法も、今までそうやって練習してきた。ドラゴンになるのも、最近は尻尾か羽か耳のどれか一つ忘れるくらいになった。覚えたばかりの頃は、足と尻尾を全部忘れて倒れたこともあったのに。ちゃんと上達するから、頑張ろう。
「では焼き菓子を先にしてみましょうか」
一度袋の中に溜まってる紅茶を捨てる。勿体ないけど、焼き菓子に染みて量が半分になってた。空になったのを確認して、焼き菓子を入れる。緊張しながら紅茶のカップを傾けた。
塞いで開ける。ドキドキしながら手を入れて、焼き菓子を取り出すと乾いていた!
「やった、できた!」
「おめでとうございます。では紅茶をこちらへ」
用意されたバケツに、紅茶を戻す……あれ? 出てこない。逆さに振っても入ってなくて、紅茶は行方不明になった。
「……穴でしょうか」
また穴が開いたみたい? 覗いてみようと首を入れかけたら、慌てて引き戻された。生きている者は絶対に入れない。死んじゃう、と叱られた。僕の袋に僕が入ってもダメなのかな?
「ふふっ、疲れちゃったのよね。休憩したらどうかしら」
フィルがおいでと呼んだ。笑って頷くアガリを見てから、走っていく。お膝にどうぞと誘われたけど、もう大人だから隣に座るよ。用意されたクッションに座り、机の上のお菓子を頬張る。
甘くて、さくさくして、とっても美味しい。お母さんとフィルはとても仲良しになって、二人でお菓子を作るようになった。これも木の実が入っていて、僕が好きだと言ったお菓子だ。
「また焼いてくれたの?」
「ええ、ルンの好きなお菓子ですもの。アスモデウス様はお仕事だけれど、後で美味しかったと伝えてあげてね」
「うん」
お母さんは僕が褒めると嬉しいみたいで、そんなお母さんを見ると僕も幸せになる。人の嫌なことはしたらダメよと教わった。だったら僕が嬉しかったことをしたら、皆も喜んでくれると思う。
焼き菓子をいっぱい収納に入れて、皆に配って歩いた。お城に住んでいる人はいっぱいで、足りるか心配だったけど大丈夫。ちゃんと三枚残った。僕とお母さんとお父さんで食べるつもりだったけど、アガリとフィルとディーにあげる。
僕は昼間に食べたし、お父さんは甘いのが得意じゃないの。お母さんは「つまみ食いしたのよ」と言ってた。作るときに食べると、もっと美味しい気がする。僕もつまみ食いにまぜてもらおう!
本当は魚と一緒に海水が入ったらダメなの。それに中のお菓子が塩水で濡れるのも、間違っていた。別々に入れたら、別々に出てこないと。理屈を書いた本を読み、挿絵をしっかり眺める。イメージが大事と何度も言われた。
空っぽの収納へ、液体の紅茶をしまう。カップから流し込んだ。その上に焼き菓子を放り込む。一度閉じて、取り出したら……濡れた焼き菓子が出てきた。しっとりと紅茶を吸い込んで、これはこれで美味しそうだけど?
「失敗です」
「うん、もう一回やる」
何度も挑戦すれば、上手になれるんだよ。剣術も魔法も、今までそうやって練習してきた。ドラゴンになるのも、最近は尻尾か羽か耳のどれか一つ忘れるくらいになった。覚えたばかりの頃は、足と尻尾を全部忘れて倒れたこともあったのに。ちゃんと上達するから、頑張ろう。
「では焼き菓子を先にしてみましょうか」
一度袋の中に溜まってる紅茶を捨てる。勿体ないけど、焼き菓子に染みて量が半分になってた。空になったのを確認して、焼き菓子を入れる。緊張しながら紅茶のカップを傾けた。
塞いで開ける。ドキドキしながら手を入れて、焼き菓子を取り出すと乾いていた!
「やった、できた!」
「おめでとうございます。では紅茶をこちらへ」
用意されたバケツに、紅茶を戻す……あれ? 出てこない。逆さに振っても入ってなくて、紅茶は行方不明になった。
「……穴でしょうか」
また穴が開いたみたい? 覗いてみようと首を入れかけたら、慌てて引き戻された。生きている者は絶対に入れない。死んじゃう、と叱られた。僕の袋に僕が入ってもダメなのかな?
「ふふっ、疲れちゃったのよね。休憩したらどうかしら」
フィルがおいでと呼んだ。笑って頷くアガリを見てから、走っていく。お膝にどうぞと誘われたけど、もう大人だから隣に座るよ。用意されたクッションに座り、机の上のお菓子を頬張る。
甘くて、さくさくして、とっても美味しい。お母さんとフィルはとても仲良しになって、二人でお菓子を作るようになった。これも木の実が入っていて、僕が好きだと言ったお菓子だ。
「また焼いてくれたの?」
「ええ、ルンの好きなお菓子ですもの。アスモデウス様はお仕事だけれど、後で美味しかったと伝えてあげてね」
「うん」
お母さんは僕が褒めると嬉しいみたいで、そんなお母さんを見ると僕も幸せになる。人の嫌なことはしたらダメよと教わった。だったら僕が嬉しかったことをしたら、皆も喜んでくれると思う。
焼き菓子をいっぱい収納に入れて、皆に配って歩いた。お城に住んでいる人はいっぱいで、足りるか心配だったけど大丈夫。ちゃんと三枚残った。僕とお母さんとお父さんで食べるつもりだったけど、アガリとフィルとディーにあげる。
僕は昼間に食べたし、お父さんは甘いのが得意じゃないの。お母さんは「つまみ食いしたのよ」と言ってた。作るときに食べると、もっと美味しい気がする。僕もつまみ食いにまぜてもらおう!
262
あなたにおすすめの小説
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる