【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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89.可愛い赤ちゃんが産まれた

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 僕が王様になって、数年で卵が産まれた。お母さんは大事に温めて、僕もいっぱい撫でに行った。綺麗な銀色の卵は、しばらくしてヒビが入る。でもなかなか出てこないの。僕はたくさん話しかけた。外は綺麗なお花が咲いているよ、皆も優しいよ。そう伝えながら、毎日通う。

 お母さんと一緒に、お父さんも卵を温めた。お母さんはドラゴンじゃないから、お父さんも手伝うのが普通みたい。フィルの時は、ディーが周りでぐるぐるするだけで、手伝わなくてアガリに叱られてたけど。お父さんは僕の時もこうして温めたと話した。

 ヒビが入って六日目、割れて穴が開いた。小さな穴を覗くと、向こうからも僕を見ている。大きな銀色の目がぱちくりして、僕は笑顔になった。弟かな、妹かも。どっちでもいいから、早く出て遊ぼう? 僕が君のお兄ちゃんだよ。大好きだからね。

 穴が開いたのに出てこないから、お父さんは心配そう。

「大丈夫だろうか」

「少なくとも腐ってなかったんだし、生きてるんだからそのうち出て来るわ」

 お母さんは豪快に笑って、時々卵を揺らす。小さない声で歌いながら、ゆらゆらと卵を傾けた。中の赤ちゃんはその歌を聴くと、ゆっくり眠れるみたい。割れてから二日後、穴が大きくなった。僕もずっと同じ部屋で寝泊まりしたんだけど、ぴしって音がしたんだ。

 慌てて見に行くと、小さな手が出ていた。蜥蜴の手で、ドラゴン形態なのかな。そっと触れたら引っ込んだけど、また出て来て殻をぺたぺた叩く。僕の指に触れて、きゅっと吸い付くみたいに貼り付いた。嬉しくなって小さな手を包んで撫でる。

 その日の夜、卵の穴から頭が出た。可愛いと大喜びする僕を見て、首を傾ける。その途端、卵がぐらりと傾いて転がった。慌てて押さえたけど、殻は完全に割れちゃった。

「ごめんね。間に合わなかったの」

 謝る僕に、ぺたりと赤ちゃんがくっつく。しがみ付いた形になった赤ちゃんを、優しく抱っこした。ずっと僕は抱っこされる側だったけど、今は抱っこする方だよ。好き、僕は君が大好きだ。いっぱい伝えて、抱っこしたまま過ごす。

 お母さんのお乳を飲んで、げぷっとしたら僕に手を伸ばす。嬉しいから受け止めて、何日も一緒にいた。赤ちゃんは女の子で、僕の大切な妹だ。お名前はエキドナに決まった。

「エキドナ、大好き」

 僕の言葉ににっこり笑う。赤ちゃんだからまだ意味が分かってないと言われたけど、絶対にわかってるよ。エキドナの鱗は銀色で、髪の毛は黒かった。完全な真っ黒で、お母さんも綺麗ねと褒めるくらい。可愛い可愛い僕の妹、大事にするからね。

 ヴィネやナフラに続いて、僕はまたお兄ちゃんになった。魔族の王様もしているけど、お仕事はあまり難しくない。皆で話し合った結果を書いた紙に、ぺたんと手形を押して名前を書く。ボスがいっぱい仕事に追われるのは、周囲が悪いとか。ヴラドのおじさんが手伝いながら言ってたよ。

 魔族も竜族も、僕のお仕事を手伝ってくれる。お陰で、エキドナと遊ぶ時間も取れた。幸せがいっぱいで、溢れちゃいそう。
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