19 / 21
19.まさかの結託ですの?
しおりを挟む
左からお父様、お母様、私、お兄様の順で腰掛けますが、さりげなく私の腰に手を回すのはおやめください。お兄様、腕を叩きますわよ? 睨んだら離してくれました。
向かいは、精霊王様を挟んで右に竜帝陛下、左が魔王陛下でした。ちょっとラインナップが華やかですね。全員主人公クラスなので、お顔は美しいですし髪色なども派手です。こちらが負けてますわ。これでも悪役令嬢と攻略対象、その両親ですのよ。
きりっと向き合う私の気合をよそに、お母様は小声で「どれが好み」と聞いてきます。ちょ……何ですか、その品定めは。強いて言うなら、魔王陛下の黒髪が好きですわ。日本人だったので、どうしても黒髪はツボです。
「提案をお伺いしましょう」
口火を切ったのは私です。向かいの御三方は、私への求婚に関する提案にいらしたのです。話はお伺いますわ。
「断られた理由を集めて検討した結果、我々3人は不利だという結論に達した」
何でしょう、報告会のようです。というより、元ゲームが同じと思われる精霊王様と竜帝陛下はともかく、ラノベの魔王陛下もご一緒とは……仲が良いんですのね。
私がラノベで読んだ『竜が舞う空の下で』は、今の竜帝陛下の先代のお話になります。乙女ゲーム化するにあたり、次世代にしたのは正解でしょう。お話が混じりますし、ラノベの世界観が台無しですもの。
魔王陛下に関しては、紫水晶の乙女がヒロインなので奈落の底で待機をお願いしたはずですが。瞳の色以外の共通点は見受けられませんし、バグの修正をしない運営に激しく抗議したいですわ。
「不利ですか」
首を傾げると、顔を赤らめて竜帝陛下が俯きました。ウブな方ですのね。
「セラフィーナ嬢と知り合う時間が少ないし、別作品だと言って話も聞いてくれない」
「そうだ。我々は伝説の乙女を探していたが、それ以上にセラフィーナ嬢を求めている」
「君が婚約破棄されたタイミングで目覚めたのも、きっと運命だ」
困りました。まさかの事態です。結託して情報共有した上で攻められるとは……防御の策を考えておりませんでしたわ。
彼らの言い分も理解できます。自分が好きだと思った方に、自分の評価ではなく別の部分を判断されて門前払いを食らう。たとえば出身地や人種、家柄などを持ち出されたら抗議したくもなるでしょう。わかるのですが……ヒロインがいるのですよ。
この3人の誰かを選び恋仲になるのは可能ですが、その後ヒロインが現れて後悔する恋人や夫を見るのは嫌です。何より、悪役令嬢の役回りで処罰されるのもご免ですわ。やっと解放されましたのに。
「わかりましたわ。では私がすべてお話ししますので、その後もう一度判断なさってください」
ここは覚悟を決めて、彼らを突き放すことにいたしましょう。
向かいは、精霊王様を挟んで右に竜帝陛下、左が魔王陛下でした。ちょっとラインナップが華やかですね。全員主人公クラスなので、お顔は美しいですし髪色なども派手です。こちらが負けてますわ。これでも悪役令嬢と攻略対象、その両親ですのよ。
きりっと向き合う私の気合をよそに、お母様は小声で「どれが好み」と聞いてきます。ちょ……何ですか、その品定めは。強いて言うなら、魔王陛下の黒髪が好きですわ。日本人だったので、どうしても黒髪はツボです。
「提案をお伺いしましょう」
口火を切ったのは私です。向かいの御三方は、私への求婚に関する提案にいらしたのです。話はお伺いますわ。
「断られた理由を集めて検討した結果、我々3人は不利だという結論に達した」
何でしょう、報告会のようです。というより、元ゲームが同じと思われる精霊王様と竜帝陛下はともかく、ラノベの魔王陛下もご一緒とは……仲が良いんですのね。
私がラノベで読んだ『竜が舞う空の下で』は、今の竜帝陛下の先代のお話になります。乙女ゲーム化するにあたり、次世代にしたのは正解でしょう。お話が混じりますし、ラノベの世界観が台無しですもの。
魔王陛下に関しては、紫水晶の乙女がヒロインなので奈落の底で待機をお願いしたはずですが。瞳の色以外の共通点は見受けられませんし、バグの修正をしない運営に激しく抗議したいですわ。
「不利ですか」
首を傾げると、顔を赤らめて竜帝陛下が俯きました。ウブな方ですのね。
「セラフィーナ嬢と知り合う時間が少ないし、別作品だと言って話も聞いてくれない」
「そうだ。我々は伝説の乙女を探していたが、それ以上にセラフィーナ嬢を求めている」
「君が婚約破棄されたタイミングで目覚めたのも、きっと運命だ」
困りました。まさかの事態です。結託して情報共有した上で攻められるとは……防御の策を考えておりませんでしたわ。
彼らの言い分も理解できます。自分が好きだと思った方に、自分の評価ではなく別の部分を判断されて門前払いを食らう。たとえば出身地や人種、家柄などを持ち出されたら抗議したくもなるでしょう。わかるのですが……ヒロインがいるのですよ。
この3人の誰かを選び恋仲になるのは可能ですが、その後ヒロインが現れて後悔する恋人や夫を見るのは嫌です。何より、悪役令嬢の役回りで処罰されるのもご免ですわ。やっと解放されましたのに。
「わかりましたわ。では私がすべてお話ししますので、その後もう一度判断なさってください」
ここは覚悟を決めて、彼らを突き放すことにいたしましょう。
37
あなたにおすすめの小説
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
【完結】前世の記憶があっても役に立たないんですが!
kana
恋愛
前世を思い出したのは階段からの落下中。
絶体絶命のピンチも自力で乗り切ったアリシア。
ここはゲームの世界なのか、ただの転生なのかも分からない。
前世を思い出したことで変わったのは性格だけ。
チートともないけど前向きな性格で我が道を行くアリシア。
そんな時ヒロイン?登場でピンチに・・・
ユルい設定になっています。
作者の力不足はお許しください。
不愛想な婚約者のメガネをこっそりかけたら
柳葉うら
恋愛
男爵令嬢のアダリーシアは、婚約者で伯爵家の令息のエディングと上手くいっていない。ある日、エディングに会いに行ったアダリーシアは、エディングが置いていったメガネを出来心でかけてみることに。そんなアダリーシアの姿を見たエディングは――。
「か・わ・い・い~っ!!」
これまでの態度から一変して、アダリーシアのギャップにメロメロになるのだった。
出来心でメガネをかけたヒロインのギャップに、本当は溺愛しているのに不器用であるがゆえにぶっきらぼうに接してしまったヒーローがノックアウトされるお話。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さくら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
悪役令嬢の私、計画通り追放されました ~無能な婚約者と傾国の未来を捨てて、隣国で大商人になります~
希羽
恋愛
「ええ、喜んで国を去りましょう。――全て、私の計算通りですわ」
才色兼備と謳われた公爵令嬢セラフィーナは、卒業パーティーの場で、婚約者である王子から婚約破棄を突きつけられる。聖女を虐げた「悪役令嬢」として、満座の中で断罪される彼女。
しかし、その顔に悲壮感はない。むしろ、彼女は内心でほくそ笑んでいた――『計画通り』と。
無能な婚約者と、沈みゆく国の未来をとうに見限っていた彼女にとって、自ら悪役の汚名を着て国を追われることこそが、完璧なシナリオだったのだ。
莫大な手切れ金を手に、自由都市で商人『セーラ』として第二の人生を歩み始めた彼女。その類まれなる才覚は、やがて大陸の経済を揺るがすほどの渦を巻き起こしていく。
一方、有能な彼女を失った祖国は坂道を転がるように没落。愚かな元婚約者たちが、彼女の真価に気づき後悔した時、物語は最高のカタルシスを迎える――。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる