【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第九章 魔の森

第23話 魔の森のお茶会(7)

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「ほんっとうに、無礼な野良犬だわ。お茶菓子の上に埃が落ちるじゃない」

「野良犬は無礼なのが標準だ」

「……問題はそこか?」

 ライラとジルは魔性の中でも異端だ。変わり者と言い換えてもいい。人間を主人に選ぶあたりはもちろん、魔性として最上位の力を持つが故に考えの基準がおかしかった。

 疑問を呟いたルリアージェだが、確保したオレンジのケーキにフォークを突き立てる。そのまま切り崩してぱくりと口に放り込んだ。鼻に抜ける柑橘類特有の香りが心地よい。彼らに感化されている自覚はあるが、治そうと思わなかった。

「美味しい? リア」

「ああ、スポンジが柔らかいし、輪切りのオレンジも美味しい」

「そのケーキ、オレの分を取っといて」

 ジルの言葉に、ルリアージェがケーキを取り分ける。その頭上は、重い音を立てて岩が積み重なっていた。危険なのだろうが、まったく危機感はない。

 ライラとジルは、上にいる魔族を『魔物』と分類した。魔性ではなく、魔物ならば危険度は低い。ましてや最上級の実力を誇る2人がお茶を続けているのだから、ルリアージェに危機感が芽生える筈もなかった。

「この魔法陣、綺麗だな」

 ルリアージェの褒め言葉に、ジルが笑みを浮かべた。

 大人3人でも抱えられないような質量の岩を複数載せても、まったく揺るがない魔法陣は青白い光を放つ。魔法陣の色は属性に関係なく、術師の魔力の色が反映される。アスターリア国で首都を復元した魔法陣も青白かった。

「そうだろ、このあたりが特殊なんだ」

 指差された中央付近の文様は、ルリアージェが見たことのない形だった。同じように上を見上げたライラも首を傾げる。

「あたくしも知らないわ、これ」

「神族の古代文字が原型だ。今度ゆっくり説明するよ」

 勉強熱心なルリアージェに提案すれば、目を輝かせて頷いた。

「貴様ら! いい加減に……っ」

 ガゴン! 重量物がぶつかる衝撃音が響く。眉を顰めたジルがちらりと視線を上に向けた。

「それはこっちのセリフだ、日当たりが悪くなるだろ」

 無視され続けた魔物は緑がかった髪を振り乱し、さらに岩を浮かせる。頭上の魔法陣はまだ重量と衝撃に十分耐えるが、耐えても日当たりが悪くなる一方だ。元から耐えたり我慢することに、ジルは向いていない。
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