【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第十二章 死神の城

第32話 呼ばなくても現れる客(2)

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 嘲笑うように少女の口角が持ち上がった。

「あなたたち、主に命じられずに動いてもいいの?」

 見透かした彼女の声に、半分ほどは動揺した。それが答えだ。魔王の指示で攻め込んだのであれば、他の魔王の色を持つ魔物が混じるはずがない。

 水の魔王トルカーネはついさきほど、サークレラへ自ら出向いたのだ。側近のみを連れていた態度から見ても、この騒動は魔王の命令ではない。だがジルの城がある空間に攻め込む穴を作るのに、側近クラスが関わっているだろう。

 この魔物達全員の魔力を絞ったとしても、ジルの結界をすり抜けることは出来ないのだ。

 丁重におもてなしと言い放ったリシュアは、問答無用で20人ほど切り裂いていた。ジルが呼んでいると伝えたら、大喜びで殲滅役を代わってくれたため、ライラはとても機嫌がいい。
 
 目の前に広がる敵だらけの光景に絶望するどころか、大量にいる獲物に歓喜していた。ところが……後ろに感じた気配に振り返れば、リシュアがいる。困ったような顔をして、首筋をかいている姿から状況を察してしまった。

 つまり、入りづらい雰囲気が展開していたらしい。

「ジルったら、思ったよりやるじゃない」

「そういう雰囲気とは違うのですが、なんとなく…」

 押し倒したのねと目を輝かせるライラを、たしなめる口調でリシュアはやんわりと否定した。主が叱られて捨て犬のようにしょげていたとは、口が裂けても言えない。

「ジフィールはいないのか」

 魔物の間から、魔性と呼ぶに相応しい外見の者が現れた。紺色の髪を長く伸ばし、水色のスカーフで結んでいる。トルカーネの眷属だが、その地位は低いのだろう。魔力量もさほど多くなかった。

「我が主の名を、気安く口にしないでいただきたい」

 リシュアの声に視線を向けるが、明らかに自分より目上の魔性に目を瞠った。

「死神の……眷属?」

「本当に、トルカーネ様は配下に寛容なのですね。躾すらされないとは」

 哀れむ口調で馬鹿にしたリシュアが大げさに溜め息を吐いてみせた。煽られた魔性が怒りに震える拳を振り上げ、リシュアへ水の矢を降らせる。詠唱もないただの魔法による攻撃が通用するはずもなく、リシュアの足元に浮かんだ魔法陣が水を遮った。

「この程度ですか、あの方も面倒を見られないほど大量に引き取るから、こんな出来損ないが増えるのでしょう。ご自分の名を貶めてまでなさる偽善ではないのでは」

「失礼よ、リシュア。トルカーネは引き取ってないわ。勝手に増殖するだけなの」
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