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第十三章 龍炎と氷雷の舞
第38話 圧倒的な差(2)
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ライラが手を伸ばしたが、菓子に触れる直前に叩かれた。サークレラの白い花を模した餡菓子は、見た目も美しい。ジルに叩かれた手をさするライラを見て、次にジルを見る。二人とも動揺した様子はなかった。さきほどの音についての言及もない。
「さっきの音は?」
「雷ね。他の魔性が介入したのでしょう」
「騒々しい連中だ。結界を張ろう」
平然と吐き捨てられたが、とんでもない内容だった。
轟音は雷で、炎を操るラヴィア以外の魔性が入り込んだらしい。もっとも風や水と相性がいいから、パウリーネという彼女だけで問題はなさそうだが……リシュアが出向いたのだから、上級魔性である可能性があった。
結界を張るとジルが明言したので、今後の乱入は減るだろう。
「結界はなかったのか?」
「いや、空間を維持する結界はあったぞ。誰もいない場所だったし、1000年間封じられたオレは手出し出来なかったから……ほとんど無効化してた」
1000年前に張った結界が最後で、それ以降の更新も追加もしなかった。側近クラスが攻撃すれば、砕ける程度の結界しかなかったと白状する。
くるりと三つ編みの穂先を指で回しながら、ライラが唇を尖らせた。
「物騒じゃない。リアがいるんだから、ちゃんと結界は張ってちょうだい」
「お前も同罪だろ」
冷めた切り返しに、ライラは目を泳がせた。ここにいる魔性達はすべてが実力者で、人族に比べたらかなり好戦的な性格をしている。飛び込んでくる敵を完璧に防ぐより、自分を囮に飛び込んだ敵を排除する方法を好むのだ。
黙っていた部分を的確に指摘され、ライラは話をそらすことにした。
「外の様子が気になるわね。ちょっと見てきましょうか」
そそくさと立ち上がるライラの姿に、ルリアージェはお菓子から視線を外さずに立ち上がった。
「私も行く」
邪魔になるかもしれないが、ジルは守ってくれるはずだ。花の餡菓子をそっと手の上に乗せて、期待の眼差しを向けた。高い位置で括った黒髪の先を指で弄っていたジルが苦笑いして手を差し伸べる。
「どうぞ、お嬢様。観戦にお連れいたしましょう」
「いいのか?」
強請ったくせに尋ねるルリアージェがおかしくて、ライラは口元を押さえて笑う。狐の尻尾が感情を示すように左右に振られた。
「平気よ。これだけの実力者がいて、リアにケガなんてさせないわ」
「私が心配しているのは、先ほどの女性やリシュアなのだが」
ジルの心配はしない。おそらく世界最強に近い実力を持っている男だ。平然と敵の攻撃を弾く姿が予想できた。ライラも問題ないだろう。精霊の力が使える上、魔王達に尽力を請われるほどの魔力がある。
「さっきの音は?」
「雷ね。他の魔性が介入したのでしょう」
「騒々しい連中だ。結界を張ろう」
平然と吐き捨てられたが、とんでもない内容だった。
轟音は雷で、炎を操るラヴィア以外の魔性が入り込んだらしい。もっとも風や水と相性がいいから、パウリーネという彼女だけで問題はなさそうだが……リシュアが出向いたのだから、上級魔性である可能性があった。
結界を張るとジルが明言したので、今後の乱入は減るだろう。
「結界はなかったのか?」
「いや、空間を維持する結界はあったぞ。誰もいない場所だったし、1000年間封じられたオレは手出し出来なかったから……ほとんど無効化してた」
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くるりと三つ編みの穂先を指で回しながら、ライラが唇を尖らせた。
「物騒じゃない。リアがいるんだから、ちゃんと結界は張ってちょうだい」
「お前も同罪だろ」
冷めた切り返しに、ライラは目を泳がせた。ここにいる魔性達はすべてが実力者で、人族に比べたらかなり好戦的な性格をしている。飛び込んでくる敵を完璧に防ぐより、自分を囮に飛び込んだ敵を排除する方法を好むのだ。
黙っていた部分を的確に指摘され、ライラは話をそらすことにした。
「外の様子が気になるわね。ちょっと見てきましょうか」
そそくさと立ち上がるライラの姿に、ルリアージェはお菓子から視線を外さずに立ち上がった。
「私も行く」
邪魔になるかもしれないが、ジルは守ってくれるはずだ。花の餡菓子をそっと手の上に乗せて、期待の眼差しを向けた。高い位置で括った黒髪の先を指で弄っていたジルが苦笑いして手を差し伸べる。
「どうぞ、お嬢様。観戦にお連れいたしましょう」
「いいのか?」
強請ったくせに尋ねるルリアージェがおかしくて、ライラは口元を押さえて笑う。狐の尻尾が感情を示すように左右に振られた。
「平気よ。これだけの実力者がいて、リアにケガなんてさせないわ」
「私が心配しているのは、先ほどの女性やリシュアなのだが」
ジルの心配はしない。おそらく世界最強に近い実力を持っている男だ。平然と敵の攻撃を弾く姿が予想できた。ライラも問題ないだろう。精霊の力が使える上、魔王達に尽力を請われるほどの魔力がある。
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