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第十四章 リュジアン
第47話 国同士の身勝手な事情(2)
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「リア、寒くないかしら?」
ライラが声をかける。心配そうな彼女の緑の瞳が細められた。痛みや寒暖に鈍い魔性の中で、ライラが一番人に近い感覚を持っている。冷えてきた外気がルリアージェの頬を赤く染めたのが気になるのだろう。
「平気だ。それより……昼間の国王の策を教えてくれ、リシュア」
忘れていたのかと思えば、興味はあるらしい。あれこれ目新しいことに好奇心を擽られるルリアージェは、勉強や研究に熱心だ。それが高じて金剛石の封印を解いてしまった程だった。
一礼したリシュアが、ルリアージェの肩に毛皮をかけながら口を開いた。
「リア様は『公爵家に側室制度はないから無理』とお考えのようですが、他国の王族と縁を繋ぐ方法はございます。滅多に使われることはありませんが、簡単なケースでは、ジル様か私を独身にすれば良いのです」
瞬時に理解したジルとライラが顔を顰める。逆にパウリーネはにっこり笑った。
「なるほど。私が離婚すればいいのね?」
「離縁させなくても、死別で構いません」
ぞっとする方法を提示したリシュアは、国の外交を司る者としての考えを並べていく。
「死別、離縁、行方不明、または……他の男との不義による処断。いくらでも手はあります。今回は王子2人のうち第一王子しかライラ様と年齢が釣りあわない。ですが第一王子と他国の公爵家の令嬢の間に世継ぎが生まれると、サークレラ国の介入を招くでしょう」
サークレラ国にとっては、最高の状況だ。生まれる子はリュジアン国の世継ぎであると同時に、自国の公爵家令嬢の子となる。サークレラ国王にとって臣下の子だった。
どこまでも都合のいい、相手国の王族である駒が手に入るのだ。
「介入の可能性を小さくするならば、ルーカス国王には王女が3人いますので、彼女らをジル様か私に嫁がせればいいのです」
「5人も子供がいるのか」
ルリアージェが呟く。
「ええ、王妃が生んだのは第一王子のみですが……側室がそれぞれに子を生んでいます」
複雑な家庭事情までしっかり記憶しているリシュアの説明に、人間関係の苦手なルリアージェが眉をひそめた。同時に小さくくしゃみが漏れる。
「おっと、リアが風邪を引く。今日は引き上げるか」
「宿の監視は誤魔化しますので、温泉をつかわれては?」
温泉と聞いて嬉しそうなルリアージェが、パウリーネとライラの手を取った。
「一緒に入ろう」
その提案を2人が断るわけはない。だが不満を口にする者はいた。
「オレも」
「お前は男だろう」
一緒には入らない。断言され、ジルはしょんぼりと肩を落とした。
ライラが声をかける。心配そうな彼女の緑の瞳が細められた。痛みや寒暖に鈍い魔性の中で、ライラが一番人に近い感覚を持っている。冷えてきた外気がルリアージェの頬を赤く染めたのが気になるのだろう。
「平気だ。それより……昼間の国王の策を教えてくれ、リシュア」
忘れていたのかと思えば、興味はあるらしい。あれこれ目新しいことに好奇心を擽られるルリアージェは、勉強や研究に熱心だ。それが高じて金剛石の封印を解いてしまった程だった。
一礼したリシュアが、ルリアージェの肩に毛皮をかけながら口を開いた。
「リア様は『公爵家に側室制度はないから無理』とお考えのようですが、他国の王族と縁を繋ぐ方法はございます。滅多に使われることはありませんが、簡単なケースでは、ジル様か私を独身にすれば良いのです」
瞬時に理解したジルとライラが顔を顰める。逆にパウリーネはにっこり笑った。
「なるほど。私が離婚すればいいのね?」
「離縁させなくても、死別で構いません」
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「死別、離縁、行方不明、または……他の男との不義による処断。いくらでも手はあります。今回は王子2人のうち第一王子しかライラ様と年齢が釣りあわない。ですが第一王子と他国の公爵家の令嬢の間に世継ぎが生まれると、サークレラ国の介入を招くでしょう」
サークレラ国にとっては、最高の状況だ。生まれる子はリュジアン国の世継ぎであると同時に、自国の公爵家令嬢の子となる。サークレラ国王にとって臣下の子だった。
どこまでも都合のいい、相手国の王族である駒が手に入るのだ。
「介入の可能性を小さくするならば、ルーカス国王には王女が3人いますので、彼女らをジル様か私に嫁がせればいいのです」
「5人も子供がいるのか」
ルリアージェが呟く。
「ええ、王妃が生んだのは第一王子のみですが……側室がそれぞれに子を生んでいます」
複雑な家庭事情までしっかり記憶しているリシュアの説明に、人間関係の苦手なルリアージェが眉をひそめた。同時に小さくくしゃみが漏れる。
「おっと、リアが風邪を引く。今日は引き上げるか」
「宿の監視は誤魔化しますので、温泉をつかわれては?」
温泉と聞いて嬉しそうなルリアージェが、パウリーネとライラの手を取った。
「一緒に入ろう」
その提案を2人が断るわけはない。だが不満を口にする者はいた。
「オレも」
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一緒には入らない。断言され、ジルはしょんぼりと肩を落とした。
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