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第十五章 茶番劇は得意ですか
第48話 夜這い未遂(3)
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パウリーネを退ける魔力を持つくせに、リオネルは一切手出ししなかった。ジルを包む霊力の存在を知る彼にとって、パウリーネは敵ですらないと感じていたのだろう。まだ翼すら出さないジルが本気じゃないと理解していたため、微笑んで主の成長を見守った。
何度も氷と水で切り裂こうと攻撃を繰り返すものの、すべてが一瞬で解除されて涼しい風を子供に届けるばかり。魔力の使いすぎで膝をついたパウリーネへ、再びジルが手を差し伸べた。
「オレの配下に入れ。氷に見合わぬ熱い性格が気に入った」
求められる言葉に身が震えた。同じようにトルカーネに誘われても何も思わなかったが、ジルの声に全身が震えて心地よさに支配される。どう返事をしたのか覚えていないが、そこで契約をしたのだと話し終えて、隣を見るとルリアージェは嬉しそうに笑っていた。
「どうされました?」
「いや、ジルらしいと思ってな」
殺伐としたエピソードを微笑ましいと受け取る彼女の感性は、人族としてズレている。今まで、さぞ生き辛かっただろうと苦笑いしたパウリーネが、ベッドを囲う魔法陣を描いた。
「もう休みましょう。明日は水晶通りでお買い物をされるのでしょう?」
「そうだな、おやすみ」
互いに挨拶を交わして、ルリアージェは目を閉じた。
彼女の寝息を確認して、パウリーネはベッドを揺らさぬよう注意しながら身を起こす。間で寝たフリをしていたライラも目を開いた。
「侵入者ね」
「殺してしまっても構わないのかしら?」
物騒な2人の会話に、ジルが乱入した。
「オレが貰っていくから寝てていいぞ」
声だけ部屋に送り込んだジルの配慮に、顔を見合わせたライラが目を閉じた。どうやら任せるつもりらしい。ジルならば不手際はないと信頼を示したライラに続いて、パウリーネも寝着に包まれた身を横たえた。結界越しに、近づいてくる男の姿が見える。
武器は短刀だけなので、殺害ではなく夜這いが目的らしい。他国の王侯貴族が利用する宿の警備はかたい。リュジアン国王の手の者と考えるのが妥当だった。
動かずに見守るパウリーネの目に、結界に触れた男が魔法陣に吸い込まれるのを見た。驚いて身を起こして結界に手を触れる。外部の冷気や敵を排除しようと張った結界に細工はなく、どうやら薄皮一枚外側に別の魔法陣が敷かれたようだ。
ジルの繊細な魔法陣が浮かび上がり、すぐに消えた。
「ん……眠れないのか? パウリーネ」
ライラ越しに手を伸ばしたルリアージェは大きな欠伸をする。飛び起きた際に起こしてしまったらしい。詫びようとした彼女の冷えた肩をルリアージェの手が包み、そのまま彼女はまた眠ってしまった。寝ぼけた状態に近かったのだろう。
再び寝息を立てるルリアージェの温かな手を、パウリーネは握りなおして横になる。そのまま朝までルリアージェの手を握っていた。
何度も氷と水で切り裂こうと攻撃を繰り返すものの、すべてが一瞬で解除されて涼しい風を子供に届けるばかり。魔力の使いすぎで膝をついたパウリーネへ、再びジルが手を差し伸べた。
「オレの配下に入れ。氷に見合わぬ熱い性格が気に入った」
求められる言葉に身が震えた。同じようにトルカーネに誘われても何も思わなかったが、ジルの声に全身が震えて心地よさに支配される。どう返事をしたのか覚えていないが、そこで契約をしたのだと話し終えて、隣を見るとルリアージェは嬉しそうに笑っていた。
「どうされました?」
「いや、ジルらしいと思ってな」
殺伐としたエピソードを微笑ましいと受け取る彼女の感性は、人族としてズレている。今まで、さぞ生き辛かっただろうと苦笑いしたパウリーネが、ベッドを囲う魔法陣を描いた。
「もう休みましょう。明日は水晶通りでお買い物をされるのでしょう?」
「そうだな、おやすみ」
互いに挨拶を交わして、ルリアージェは目を閉じた。
彼女の寝息を確認して、パウリーネはベッドを揺らさぬよう注意しながら身を起こす。間で寝たフリをしていたライラも目を開いた。
「侵入者ね」
「殺してしまっても構わないのかしら?」
物騒な2人の会話に、ジルが乱入した。
「オレが貰っていくから寝てていいぞ」
声だけ部屋に送り込んだジルの配慮に、顔を見合わせたライラが目を閉じた。どうやら任せるつもりらしい。ジルならば不手際はないと信頼を示したライラに続いて、パウリーネも寝着に包まれた身を横たえた。結界越しに、近づいてくる男の姿が見える。
武器は短刀だけなので、殺害ではなく夜這いが目的らしい。他国の王侯貴族が利用する宿の警備はかたい。リュジアン国王の手の者と考えるのが妥当だった。
動かずに見守るパウリーネの目に、結界に触れた男が魔法陣に吸い込まれるのを見た。驚いて身を起こして結界に手を触れる。外部の冷気や敵を排除しようと張った結界に細工はなく、どうやら薄皮一枚外側に別の魔法陣が敷かれたようだ。
ジルの繊細な魔法陣が浮かび上がり、すぐに消えた。
「ん……眠れないのか? パウリーネ」
ライラ越しに手を伸ばしたルリアージェは大きな欠伸をする。飛び起きた際に起こしてしまったらしい。詫びようとした彼女の冷えた肩をルリアージェの手が包み、そのまま彼女はまた眠ってしまった。寝ぼけた状態に近かったのだろう。
再び寝息を立てるルリアージェの温かな手を、パウリーネは握りなおして横になる。そのまま朝までルリアージェの手を握っていた。
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