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第十七章 迷宮という封印
第69話 神を滅ぼす鍵の使い方(2)
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「あたくしだって、お手伝いくらいするわよ」
ライラが茶色の三つ編みを解いて応じる。ルリアージェに抱き上げられた腕の中から、名残惜しげに下りると数歩歩いて立ち止まった。ふわふわと癖がついた髪が魔力に煽られて踊る。
≪あたくしの敵を排除なさい≫
命じるライラの声が、精霊たちを動かす。海底が割れて隆起し、複数の魔性を飲み込んだ。割れた大地から溢れた海底火山の熱に焼かれ、海水までが牙を剥く。魔法を扱えても魔術に手が届かない魔性が、精霊の手で取り除かれた。
「これ以上減ると術が不完全になる」
クリフトが慌てて魔法陣を水中に描いた。水の魔王トルカーネに託された魔法陣は、本来スピネーかレイシアが預るはずだった。主君もそのつもりでいたし、周囲の側近達も納得していたのだ。しかし彼らは自らの意思を貫いて主と共に滅びた。
水の魔王トルカーネが復活するのは、数万年の長き刻を必要とする。ならば彼の主が復活した際に微笑んでいただけるよう、命と魔力を尽くして散るのみ。
魔法陣の中央に、銀色の小さな鍵を差した。理由は知らないが魔法陣に必要な鍵なのだろう。かちりと音がした魔法陣は色を変化させ、輝く金色の光が広がる。神々しく温かい光が海底を黄金色で満たした。
預った魔法陣による策で、今度こそ『魔性殺しの死神』を葬らなければならない。この魔法陣を展開するために必要な魔力を集めるため、2万近い水の眷属を結集させた。やり直しのチャンスはなく、一度で確実にあの男を消滅させるための……命がけの策だ。
「いい心がけだ。全力で来るなら受けてやる」
ジルはルリアージェに抱き着いていた腕を離した。ちらりと視線を送ると、さきほど精霊を駆使して数百の魔性を消したライラが下がる。同時にパウリーネとリシュアも移動して、ルリアージェを守れる位置で止まった。
準備は万端だ。
ふわりと浮いたジルが自らの結界をくぐり、外の海水へ身を浸す。黒髪を結んでいた紐が解けたのか、膝近くまである長い髪が水にゆらりと舞い上がった。
生き物のように揺れる黒髪が、ジルの身体に絡みつく。その背に黒い翼が2枚広げられた。霊力も魔力も満たされたジルの周囲が、水の色を変える。渦巻くように水がジルの右から左へ流れた。
巨大な魔法陣が頭上に広がる風景は、ルリアージェの目には幻想的だった。トルカーネが用意した魔法陣を下から見ていたリシュアが、小声で名を呼ぶ。
「ロジェ、乱しなさい」
ライラが茶色の三つ編みを解いて応じる。ルリアージェに抱き上げられた腕の中から、名残惜しげに下りると数歩歩いて立ち止まった。ふわふわと癖がついた髪が魔力に煽られて踊る。
≪あたくしの敵を排除なさい≫
命じるライラの声が、精霊たちを動かす。海底が割れて隆起し、複数の魔性を飲み込んだ。割れた大地から溢れた海底火山の熱に焼かれ、海水までが牙を剥く。魔法を扱えても魔術に手が届かない魔性が、精霊の手で取り除かれた。
「これ以上減ると術が不完全になる」
クリフトが慌てて魔法陣を水中に描いた。水の魔王トルカーネに託された魔法陣は、本来スピネーかレイシアが預るはずだった。主君もそのつもりでいたし、周囲の側近達も納得していたのだ。しかし彼らは自らの意思を貫いて主と共に滅びた。
水の魔王トルカーネが復活するのは、数万年の長き刻を必要とする。ならば彼の主が復活した際に微笑んでいただけるよう、命と魔力を尽くして散るのみ。
魔法陣の中央に、銀色の小さな鍵を差した。理由は知らないが魔法陣に必要な鍵なのだろう。かちりと音がした魔法陣は色を変化させ、輝く金色の光が広がる。神々しく温かい光が海底を黄金色で満たした。
預った魔法陣による策で、今度こそ『魔性殺しの死神』を葬らなければならない。この魔法陣を展開するために必要な魔力を集めるため、2万近い水の眷属を結集させた。やり直しのチャンスはなく、一度で確実にあの男を消滅させるための……命がけの策だ。
「いい心がけだ。全力で来るなら受けてやる」
ジルはルリアージェに抱き着いていた腕を離した。ちらりと視線を送ると、さきほど精霊を駆使して数百の魔性を消したライラが下がる。同時にパウリーネとリシュアも移動して、ルリアージェを守れる位置で止まった。
準備は万端だ。
ふわりと浮いたジルが自らの結界をくぐり、外の海水へ身を浸す。黒髪を結んでいた紐が解けたのか、膝近くまである長い髪が水にゆらりと舞い上がった。
生き物のように揺れる黒髪が、ジルの身体に絡みつく。その背に黒い翼が2枚広げられた。霊力も魔力も満たされたジルの周囲が、水の色を変える。渦巻くように水がジルの右から左へ流れた。
巨大な魔法陣が頭上に広がる風景は、ルリアージェの目には幻想的だった。トルカーネが用意した魔法陣を下から見ていたリシュアが、小声で名を呼ぶ。
「ロジェ、乱しなさい」
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