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第十九章 滅びゆく風の音
第77話 晩餐という名の謀(4)
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リシュアが思い出すように付け加え、髪を整え終えたパウリーネが唇に手を当てて首をかしげる。
「濃い味のソースが合うと思いますわ。甘酸っぱい苔桃のソースなんて素敵ね」
食べたことがあるのだろう。パウリーネが告げたソースに、味の想像がついたルリアージェが頷いた。珊瑚と琥珀の垂れ飾りの簪が、しゃらんと心地よい音を立てる。銀の髪に埋もれないよう、地金を金色にした細い鎖が揺れた。
名産品の食べ物の話をするルリアージェを他所に、隠語で作戦会議を始める魔性達。その温度差は埋められるレベルを超えていた。彼女を安全に守りぬくのは当然で、いかに気付かせず敵を排除するかに意識を向け始めた過激な魔性達の暴走は止まらない。
風の魔王ラーゼンは他の魔王に比べれば、あっさりした性格でしつこくない。しかしマリニスが関係すると殺伐とした雰囲気を纏う。
しかし彼への対処法はマリニスを巻き込めば、容易に予測が可能で罠にかけるのも難しくなかった。いわゆる調理方法次第なのだ。そして濃い味のソースに喩えた赤色が彼らの末路を物語っていた。
ガタンと音を立てて馬車が停まる。最初にリシュアが下りて周囲を確認し、ジルが続いた。差し出された手を取って、着物の裾に気をつけながら下りる。
後ろで同じような光景が繰り返され、サークレラのマスカウェイル公爵家一行は城内へ吸い込まれた。
羽織った毛皮を、リオネルが収納魔法で回収する。遠まわしに、この国を信用していないと告げる彼の態度に、ツガシエの侍従達は顔をしかめた。曰く『敵に預けるバカはいない』と突きつけたのだ。
最初からケンカ腰のリオネルだが、この国の上層部に『風の魔王ラーゼン』が絡んでいる以上、隙を見せる気もないし、友好的に振舞う必要性を感じていなかった。
人族同士のやり取りなら、サークレラが圧倒的な強さと優位を誇る。格下の国の王族と、こちらが対等に振舞うのは当然だった。これは驕りではなく現実なのだ。
「こちらへどうぞ」
丁重に案内される王宮の廊下で、ルリアージェは不思議な違和感を覚えた。リュジアン王宮では、調度品を含めた城の内装に感激した。絵画も素晴らしく、見惚れる家具も多数あったが、この城は寒々しい中に高そうな家具が並んでいても興味を惹かれない。
「濃い味のソースが合うと思いますわ。甘酸っぱい苔桃のソースなんて素敵ね」
食べたことがあるのだろう。パウリーネが告げたソースに、味の想像がついたルリアージェが頷いた。珊瑚と琥珀の垂れ飾りの簪が、しゃらんと心地よい音を立てる。銀の髪に埋もれないよう、地金を金色にした細い鎖が揺れた。
名産品の食べ物の話をするルリアージェを他所に、隠語で作戦会議を始める魔性達。その温度差は埋められるレベルを超えていた。彼女を安全に守りぬくのは当然で、いかに気付かせず敵を排除するかに意識を向け始めた過激な魔性達の暴走は止まらない。
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しかし彼への対処法はマリニスを巻き込めば、容易に予測が可能で罠にかけるのも難しくなかった。いわゆる調理方法次第なのだ。そして濃い味のソースに喩えた赤色が彼らの末路を物語っていた。
ガタンと音を立てて馬車が停まる。最初にリシュアが下りて周囲を確認し、ジルが続いた。差し出された手を取って、着物の裾に気をつけながら下りる。
後ろで同じような光景が繰り返され、サークレラのマスカウェイル公爵家一行は城内へ吸い込まれた。
羽織った毛皮を、リオネルが収納魔法で回収する。遠まわしに、この国を信用していないと告げる彼の態度に、ツガシエの侍従達は顔をしかめた。曰く『敵に預けるバカはいない』と突きつけたのだ。
最初からケンカ腰のリオネルだが、この国の上層部に『風の魔王ラーゼン』が絡んでいる以上、隙を見せる気もないし、友好的に振舞う必要性を感じていなかった。
人族同士のやり取りなら、サークレラが圧倒的な強さと優位を誇る。格下の国の王族と、こちらが対等に振舞うのは当然だった。これは驕りではなく現実なのだ。
「こちらへどうぞ」
丁重に案内される王宮の廊下で、ルリアージェは不思議な違和感を覚えた。リュジアン王宮では、調度品を含めた城の内装に感激した。絵画も素晴らしく、見惚れる家具も多数あったが、この城は寒々しい中に高そうな家具が並んでいても興味を惹かれない。
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