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24.僕が代わりになれば
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セティだ! セティ!! もぞもぞ動いて声を上げると、いきなり痛くなった。お腹を蹴られたみたい。
「ぐ……ぅ」
予想してなかった痛みに、息が詰まった。苦しい、痛い、怖い。セティ……助けて。タイフォン様、セティが痛くありませんように。
助けに来てくれたセティが嬉しいのに、もしかしてセティがケガをするかも知れないと思ったら、怖くなった。僕は痛くても我慢できるから、セティが痛くならないといい。タイフォン様は強い神様だから、お願いしたら助けてくれるはず。
必死でそう願いながら、吐き出した息を吸い込む。急に戻った呼吸で喉が痛くて咳き込んでしまった。
「望み通り殺してやるよ」
低い声でセティが吐き出し、誰かが何か喚いたり叫んだりする声が響き渡った。何が起きたのか、袋を被せられた僕には見えない。どうしよう、セティがやられちゃう。僕が呼んだりしたから、セティが傷つけられたかも。神様は助けてくれたの?
ぐしゃ……びちゃ、何かが降ってきた。雨みたいだけど冷たくない。ぬるぬるする水はお湯とも違うみたいだった。
「た、たすけ……このガキは返す、だから」
さっき怖い声でセティを脅した男が叫んだ。そして僕が被せられた袋を掴む。
「誰が触れて良いと言った?」
口調が違う。セティの声なのに、セティじゃないみたい。神様、タイフォン様、セティは痛い思いをしてない? お願いします、セティを助けて。
「後悔しながら死ね」
びくっとした。死ねって、いけない言葉だ。使ってはいけないんだよ。お爺ちゃんにそう教わった。でもセティは口にして……混乱する。僕はそれでもセティが無事ならいいよ。神様の罰は僕が受ければいいから。
ぎゃあああああ! そんな大声が聞こえて、周囲が静かになった。もぞもぞ動こうとしても、手足が固まってる。袋も取れない。セティの無事が見たいから、必死で手足を動かした。
「……悪い、待たせたな。動くと傷が酷くなる」
セティの声がして近くに誰かが来た。
「セ、ティ?」
「そうだ。もう大丈夫、袋を外すぞ」
頷いて大人しくすれば、すぐに袋を取ってくれた。布の袋だから息は出来たけど、やっぱりない方が楽だ。大きく息を吸って吐いた。変な臭いがするね。
顔を上げると、セティの頬に赤い色がついていた。知ってる、あれはケガしたら出るぬるぬるだ。僕の手足に掛かったぬるい水は、セティのケガのせい?
「セティ、ケガしたの? どうしよう、僕が代わりにな……」
「そんな言霊は使うな。これは返り血でオレのケガじゃない」
僕が代わりになればいい。そう言おうとした口を、生臭い手で塞がれた。セティの肩越しに、人間が倒れているのが見える。全員赤くなっていた。
「あれ、また動く?」
「いや、動かないから攫われる心配はない。行こう。汚れちゃったな、風呂に入るか」
「うん」
セティが笑ってくれるから、僕はそれでいい。あの動かなくなった人間も、ぬるくて臭い赤も、もう心配しない。両手と両足に、鎖じゃない紐がぐるぐる巻いてあった。だから動けなかったんだね。
「ちょっとだけズルするぞ」
縛った紐を解いたセティが、小さな光を作った。手のひらの上にいきなり出た光に見惚れていると、ぱっと弾けて消える。
「これでよし」
生臭い人間はそのままだけど、僕とセティについた赤はとれた。抱き上げたセティが、さっき痛かったお腹を撫でてくれる。すっと痛みが消えた。
「ありが、と」
目を見開いたあと、セティは頷いて頬にキスしてくれる。セティが助けてくれて嬉しかったし、ケガしてなくてよかった。そんな話をしながら、抱っこされたまま宿へ向かった。
「ぐ……ぅ」
予想してなかった痛みに、息が詰まった。苦しい、痛い、怖い。セティ……助けて。タイフォン様、セティが痛くありませんように。
助けに来てくれたセティが嬉しいのに、もしかしてセティがケガをするかも知れないと思ったら、怖くなった。僕は痛くても我慢できるから、セティが痛くならないといい。タイフォン様は強い神様だから、お願いしたら助けてくれるはず。
必死でそう願いながら、吐き出した息を吸い込む。急に戻った呼吸で喉が痛くて咳き込んでしまった。
「望み通り殺してやるよ」
低い声でセティが吐き出し、誰かが何か喚いたり叫んだりする声が響き渡った。何が起きたのか、袋を被せられた僕には見えない。どうしよう、セティがやられちゃう。僕が呼んだりしたから、セティが傷つけられたかも。神様は助けてくれたの?
ぐしゃ……びちゃ、何かが降ってきた。雨みたいだけど冷たくない。ぬるぬるする水はお湯とも違うみたいだった。
「た、たすけ……このガキは返す、だから」
さっき怖い声でセティを脅した男が叫んだ。そして僕が被せられた袋を掴む。
「誰が触れて良いと言った?」
口調が違う。セティの声なのに、セティじゃないみたい。神様、タイフォン様、セティは痛い思いをしてない? お願いします、セティを助けて。
「後悔しながら死ね」
びくっとした。死ねって、いけない言葉だ。使ってはいけないんだよ。お爺ちゃんにそう教わった。でもセティは口にして……混乱する。僕はそれでもセティが無事ならいいよ。神様の罰は僕が受ければいいから。
ぎゃあああああ! そんな大声が聞こえて、周囲が静かになった。もぞもぞ動こうとしても、手足が固まってる。袋も取れない。セティの無事が見たいから、必死で手足を動かした。
「……悪い、待たせたな。動くと傷が酷くなる」
セティの声がして近くに誰かが来た。
「セ、ティ?」
「そうだ。もう大丈夫、袋を外すぞ」
頷いて大人しくすれば、すぐに袋を取ってくれた。布の袋だから息は出来たけど、やっぱりない方が楽だ。大きく息を吸って吐いた。変な臭いがするね。
顔を上げると、セティの頬に赤い色がついていた。知ってる、あれはケガしたら出るぬるぬるだ。僕の手足に掛かったぬるい水は、セティのケガのせい?
「セティ、ケガしたの? どうしよう、僕が代わりにな……」
「そんな言霊は使うな。これは返り血でオレのケガじゃない」
僕が代わりになればいい。そう言おうとした口を、生臭い手で塞がれた。セティの肩越しに、人間が倒れているのが見える。全員赤くなっていた。
「あれ、また動く?」
「いや、動かないから攫われる心配はない。行こう。汚れちゃったな、風呂に入るか」
「うん」
セティが笑ってくれるから、僕はそれでいい。あの動かなくなった人間も、ぬるくて臭い赤も、もう心配しない。両手と両足に、鎖じゃない紐がぐるぐる巻いてあった。だから動けなかったんだね。
「ちょっとだけズルするぞ」
縛った紐を解いたセティが、小さな光を作った。手のひらの上にいきなり出た光に見惚れていると、ぱっと弾けて消える。
「これでよし」
生臭い人間はそのままだけど、僕とセティについた赤はとれた。抱き上げたセティが、さっき痛かったお腹を撫でてくれる。すっと痛みが消えた。
「ありが、と」
目を見開いたあと、セティは頷いて頬にキスしてくれる。セティが助けてくれて嬉しかったし、ケガしてなくてよかった。そんな話をしながら、抱っこされたまま宿へ向かった。
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