【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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48.長くなるお呪い

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 眠いけど、ぎりぎり我慢できた。振り返るセティに、そのたび頬にキスしてもらうのも嬉しい。小さな水の音がする方へ歩いたセティが足を止める。それから視線が低くなった。セティが座ってから僕を縛る紐を外す。

「ありがとう、セティ。僕、重いから……疲れた?」

「いや。イシスは軽いぞ。羽が生えて飛んでいってないか、時々確認してたくらいだ」

 額、鼻、唇にキスをもらう。ふにゃりと顔が崩れるのを、両手で頬を覆って隠した。なんだか熱い。

「この先で水が湧いてるから、汲みに行こうか」

 誘うセティと手を繋ぎ、荷物を置いて歩き出した。すぐに小さな泉を見つける。水が下から出てくるから、細い川の先頭になったみたい。こんな場所初めてみた。

「綺麗だろ、これが流れて大きく太い川になるんだ。昨日の街の近くの大きな川と同じ川だぞ」

「こんなちょっとなのに」

 大きな鍋で掬ったらなくなりそうな水が、あんな大きな川に増えるの? 転がると水は大きくなるのかも。不思議だと思いながら、その水で湿らせた布で顔を拭いた。セティも顔や手を洗い、濁った水が綺麗になるのを待つ。下まで見えるようになったら、鍋に水をたくさん入れた。

「持ってくの、重いね」

「平気だ、しまってズルするからな」

 くすくす笑ったセティが収納の部屋に入れた。鍋のお水、中でなくならないの? 質問すると、セティは丁寧に教えてくれる。僕が何も知らなくても、セティは笑ったりしない。ちゃんと何度でも教えてくれた。

 荷物の場所は少し上で、テントを張ってから鍋を出してお湯を沸かす。セティったら火をつけたのに、魔法でお湯を作ったんだ。これもズルなんだって。ズルは便利なんだね。

 セティの部屋は色々入ってて、今日は赤い肉と白い魚、緑の野菜を出した。最後に紫のジュースをコップに入れる。手渡されて覗き込んだ。

「目の色とおんなじ」

「そうだ。よく覚えたな」

 簡単なことでもセティは褒める。優しく撫でてくれる手が、やっと怖くなくなった。頭の上に来る手はいつも痛かったけど、セティは優しい。

「今日も仲良くなるお呪いして寝ようか」

「うんっ!」

「先にご飯食べて、絵本を読もう。寝る前にお呪いだな」

「わかった。大好き、セティ」

 飲んでいたジュースを横に置いて、セティの腕を抱っこする。すると僕が抱っこされて、膝の上に乗せられた。

 煮えていく鍋を見ながら、いい匂いのするスープに鼻をひくつかせる。炙ったチーズを乗せたパンを食べて、一緒にご飯を食べた。セティと食べると味がする。色んな味、甘かったり酸っぱかったり塩っぱいこともあった。一回だけ舌が痛かったけど、セティがいれば平気だ。

 読んでもらった絵本は、ずっと持っていた黒と紫だった。セティが昔戦った時のお話、もちろん勝ったぞと笑う。僕もセティが負けるなんて思わない。いつも強くて優しくて、すごい神様だもの。
 
 今日のお呪いは長くて、僕、変な声がいっぱい出た。それに疲れて途中で寝ちゃったみたい。お呪いはちゃんと効果がでるかな……ごめんね、セティ。明日のお呪いは起きていられるよう頑張る。
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