59 / 321
58.もっと欲しい。たくさん、もっと!
しおりを挟む
セティのお友達が来て、一緒にご飯を食べた。僕は途中で眠くなったけど、ずっとお酒を飲みながら話していたのかな。目が覚めたのはお風呂の中だった。セティに寄り掛かった僕は欠伸をひとつ。
「ん? 起きたのか」
「うん。さっきの人は?」
「ゲリュオンなら帰ったぞ。また会いに来るよ」
近いうちにまた来ると聞いて、今度はちゃんと起きていられるよう頑張ろうと思う。ご飯をたくさん食べると眠くなるのは、ここ最近で知ったこと。そんなにお腹いっぱい食べたことなかったから、眠くならないためには残せばいいのかな? でもご飯を残すのは悪いことだよね。
ぽちゃんと水を叩いて考えていると、セティの唇が額に触れる。瞬きして見上げた先で、機嫌のいいセティがもう一度額にキスをくれた。
「こっち」
強請って目を閉じた。頬、鼻の頭、反対の頬……意地悪して唇に触れないから、むっとして尖らせた。突き出した唇にそっと重なった柔らかさに、僕はすぐ緩めてしまう。ぺろっと唇を舐めたセティの舌が、僕の口に入って舐めた。舌で追いかけるのに逃げられて、絡めて吸われる。
セティからいつもと違う匂いがした。お酒の匂いだ。ゲリュオンと飲んでた紫みたいなお酒が漂わせた匂いは、少し苦い味がした。両手を伸ばして抱き着いたセティの首や頬が少し赤い。いつもより温かいかも。
絡んだ舌を必死で吸う。じんとして背中や腰の辺りが痺れた。もっと欲しい。たくさん、もっと!
「仲良しのお呪いはここまで」
終わりだと言われたら我慢するけど、でもたくさんキスしたかった。もしかしたら僕が眠ってる間にお呪いは終わってたのかも。セティは優しいから付き合ってくれたんだね。
明日はちゃんと起きてて、ずっとセティとお呪いできるように頑張ろう。頬にすり寄ると、じょりっとする髭がなかった。手で撫でるとすべすべしている。気持ちいからもう一度頬を寄せて、そのまま寄り掛かった。
「イシス、眠いのか?」
「ううん」
そうじゃないよ。ゲリュオンが一緒にいても楽しいけど、セティを独り占めできる方が好き。こうやって僕だけ見てくれるセティが嬉しい。大好き。
「んっ……もう上がろう」
セティが焦って立ち上がる。湯船のお湯が大きく揺れて、僕を抱き上げたセティと部屋に戻った。丁寧に拭いた髪は赤くて、まだ神様の黒じゃない。寝るときの服を着て、大好きな黒い神様の絵本をもってベッドに上った。
この宿のベッドは、前の宿のベッドより高い。先に絵本を上に置いて、両手でシーツを掴んで飛び上がってから転がった。真ん中に移動して絵本を引っ張る。1枚目だけ白い服だけど、それ以外は全部好き。開いて絵本の黒髪の神様を撫でた。
「おいで。もう寝るぞ」
「おやすみ。セティ」
「ああ。おやすみ、イシス」
手招きされて、本をベッドの端に置く。近づいたセティに抱き着いて、僕は目を閉じた。普段より早いセティの心臓の音を聞きながら、ゆっくりと深呼吸する。セティの匂いがして、少しお酒の匂いも混じっていた。背中に回されたセティの腕が嬉しくて、とても安心できる。
明日もセティと一緒にいられますように。いつも通りのお祈りを神様に捧げるうちに、僕はまた眠ってしまった。
「ん? 起きたのか」
「うん。さっきの人は?」
「ゲリュオンなら帰ったぞ。また会いに来るよ」
近いうちにまた来ると聞いて、今度はちゃんと起きていられるよう頑張ろうと思う。ご飯をたくさん食べると眠くなるのは、ここ最近で知ったこと。そんなにお腹いっぱい食べたことなかったから、眠くならないためには残せばいいのかな? でもご飯を残すのは悪いことだよね。
ぽちゃんと水を叩いて考えていると、セティの唇が額に触れる。瞬きして見上げた先で、機嫌のいいセティがもう一度額にキスをくれた。
「こっち」
強請って目を閉じた。頬、鼻の頭、反対の頬……意地悪して唇に触れないから、むっとして尖らせた。突き出した唇にそっと重なった柔らかさに、僕はすぐ緩めてしまう。ぺろっと唇を舐めたセティの舌が、僕の口に入って舐めた。舌で追いかけるのに逃げられて、絡めて吸われる。
セティからいつもと違う匂いがした。お酒の匂いだ。ゲリュオンと飲んでた紫みたいなお酒が漂わせた匂いは、少し苦い味がした。両手を伸ばして抱き着いたセティの首や頬が少し赤い。いつもより温かいかも。
絡んだ舌を必死で吸う。じんとして背中や腰の辺りが痺れた。もっと欲しい。たくさん、もっと!
「仲良しのお呪いはここまで」
終わりだと言われたら我慢するけど、でもたくさんキスしたかった。もしかしたら僕が眠ってる間にお呪いは終わってたのかも。セティは優しいから付き合ってくれたんだね。
明日はちゃんと起きてて、ずっとセティとお呪いできるように頑張ろう。頬にすり寄ると、じょりっとする髭がなかった。手で撫でるとすべすべしている。気持ちいからもう一度頬を寄せて、そのまま寄り掛かった。
「イシス、眠いのか?」
「ううん」
そうじゃないよ。ゲリュオンが一緒にいても楽しいけど、セティを独り占めできる方が好き。こうやって僕だけ見てくれるセティが嬉しい。大好き。
「んっ……もう上がろう」
セティが焦って立ち上がる。湯船のお湯が大きく揺れて、僕を抱き上げたセティと部屋に戻った。丁寧に拭いた髪は赤くて、まだ神様の黒じゃない。寝るときの服を着て、大好きな黒い神様の絵本をもってベッドに上った。
この宿のベッドは、前の宿のベッドより高い。先に絵本を上に置いて、両手でシーツを掴んで飛び上がってから転がった。真ん中に移動して絵本を引っ張る。1枚目だけ白い服だけど、それ以外は全部好き。開いて絵本の黒髪の神様を撫でた。
「おいで。もう寝るぞ」
「おやすみ。セティ」
「ああ。おやすみ、イシス」
手招きされて、本をベッドの端に置く。近づいたセティに抱き着いて、僕は目を閉じた。普段より早いセティの心臓の音を聞きながら、ゆっくりと深呼吸する。セティの匂いがして、少しお酒の匂いも混じっていた。背中に回されたセティの腕が嬉しくて、とても安心できる。
明日もセティと一緒にいられますように。いつも通りのお祈りを神様に捧げるうちに、僕はまた眠ってしまった。
240
あなたにおすすめの小説
新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました
水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。
新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。
それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。
「お前は俺の運命の番だ」
彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。
不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。
前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。
◆お友達の花々緒さんが、表紙絵描いて下さりました。可愛いニャリスと、悩ましげなラクロア様。
◆これもいつか続きを書きたいです、猫の日にちょっとだけ続きを書いたのだけど、また直して投稿します。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました
婚約破棄されてヤケになって戦に乱入したら、英雄にされた上に美人で可愛い嫁ができました。
零壱
BL
自己肯定感ゼロ×圧倒的王太子───美形スパダリ同士の成長と恋のファンタジーBL。
鎖国国家クルシュの第三王子アースィムは、結婚式目前にして長年の婚約を一方的に破棄される。
ヤケになり、賑やかな幼馴染み達を引き連れ無関係の戦場に乗り込んだ結果───何故か英雄に祭り上げられ、なぜか嫁(男)まで手に入れてしまう。
「自分なんかがこんなどちゃくそ美人(男)を……」と悩むアースィム(攻)と、
「この私に不満があるのか」と詰め寄る王太子セオドア(受)。
互いを想い合う二人が紡ぐ、恋と成長の物語。
他にも幼馴染み達の一抹の寂寥を切り取った短篇や、
両想いなのに攻めの鈍感さで拗れる二人の恋を含む全四篇。
フッと笑えて、ギュッと胸が詰まる。
丁寧に読みたい、大人のためのファンタジーBL。
他サイトでも公開しております。
表紙ロゴは零壱の著作物です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる