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98.お父さんが増えた
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もぞもぞと僕の胸元で何かが動く。欠伸をして、目を開いた。
「うわぁ」
我慢しきれずに声が零れる。最初に目に飛び込んだのは、洞窟の入り口にいる美しい銀色のドラゴンだった。お母さんじゃないし、もっと大きい。光った鱗も凄いけど、頭の上に立派な角が2本あった。角の先がいくつにも分かれてて、天へ向かって伸びてる感じだ。お母さんはつるんとした1本だから違う。
『起きたのかい?』
青い鱗のお母さんが僕の顔を舐めてくれた。一緒にセティも舐められる。僕はセティに抱っこされてて、お母さんがセティごと卵と僕を包んでた。
「うん、おはよう。お母さん、銀色の綺麗なドラゴンは誰?」
「……早いな、イシス。おはよう」
お母さんが話してくれる前に、セティが起きてきた。僕の頬や額にいくつもキスをしてくれる。そういえば、昨日はお呪いしなかった! 焦った僕に笑いながら、唇にもキスが触れる。すぐ離れちゃうけど、これで昨日の夜の分は足りる?
みゃぁ……腕の中で動いてたのはトム。子猫が這い出てきて、銀の大きいドラゴンを見るなり変な声を出して引っ込んじゃった。やっぱりお母さんの僕がいないとダメだね。うふふと笑って、金色の毛玉を抱きしめる。ぬいぐるみのフォンはセティと反対の隣で寝ていた。
「セティ、トムを見つけてくれてありがとう」
お礼を言ってから、お母さんを見上げるとなんだか嬉しそう。ぐるると喉を鳴らしたお母さんに、向かいの銀のドラゴンも喉をぐるぐる言わせた。言葉みたい。
『ふむ……なるほど、変わった子だ』
銀のドラゴンは僕に向かって鼻を近づけた。どうしたらいいの? 撫でていいのかな。セティが僕を抱っこして上にあげてくれた。お母さんと同じ金色の目だ。目いっぱい背伸びして、指先で鼻先を撫でた。お母さんと同じ感じだけど、もっと硬い。
「こんにちは」
教えてもらった通り、頭を下げて挨拶する。僕の動きを真似するようにドラゴンも頭を動かした。それから舌で舐めてくれる。ドラゴンは舐めるのが好きみたい。僕はドラゴンに舐められるの好きだよ。お母さんはすごく温かいし、銀のドラゴンも優しい。
セティに抱っこされて、舐められた髪を拭いてもらった。濡れたままだと風邪ひくんだって。熱が出て頭が痛くなると聞いて、僕は昔のことを思い出す。まだ1人で洞窟にいた頃、お風呂の後に拭かないでいたら熱が出た。熱くて苦しくて喉が痛くて、いっぱいお水を飲んだ。
「これでよし。きちんと挨拶出来て偉かったぞ」
『あなたは心配しすぎよ』
褒めるセティに抱き着くと、向こうでお母さんが笑ってた。今の、誰に言ったの? 銀のドラゴンはお母さんが抱っこしてる卵を覗いて、爪の先で転がす。ぐるりと向きを変えたあと、とても優しい顔をした。
『あと少しか』
『ええ、それとこの子が4番目の子。卵は5番目ね』
お母さんが銀のドラゴンに話すと、驚いた顔をした。ドラゴンの顔って、すごく表情がある。目を見開いた後で細めて笑い、僕はもう一度舐められた。
『そうか、我が子が知らぬ間に増えていたとは……父親として情けない。さあ、お父さんと呼んでみろ』
お父さん……? セティは頷き、お母さんも促すように喉を鳴らした。僕は恐る恐る小さな声で呼ぶ。
「おとう、さん」
『帝の子がそんな小声では困るぞ。もっと大きな声だ』
「お父さん!」
大声で笑うお父さんが動いたら、洞窟が揺れる。咄嗟にセティにしがみ付いて、トムをシャツに隠した。嬉しそうにする銀のドラゴンはお父さんで、青いドラゴンはお母さん。もうすぐ卵の弟も出てくるから、いっぱい増えたね。でもひとつ、僕が知らない言葉があった。
帝の子ってなぁに??
「うわぁ」
我慢しきれずに声が零れる。最初に目に飛び込んだのは、洞窟の入り口にいる美しい銀色のドラゴンだった。お母さんじゃないし、もっと大きい。光った鱗も凄いけど、頭の上に立派な角が2本あった。角の先がいくつにも分かれてて、天へ向かって伸びてる感じだ。お母さんはつるんとした1本だから違う。
『起きたのかい?』
青い鱗のお母さんが僕の顔を舐めてくれた。一緒にセティも舐められる。僕はセティに抱っこされてて、お母さんがセティごと卵と僕を包んでた。
「うん、おはよう。お母さん、銀色の綺麗なドラゴンは誰?」
「……早いな、イシス。おはよう」
お母さんが話してくれる前に、セティが起きてきた。僕の頬や額にいくつもキスをしてくれる。そういえば、昨日はお呪いしなかった! 焦った僕に笑いながら、唇にもキスが触れる。すぐ離れちゃうけど、これで昨日の夜の分は足りる?
みゃぁ……腕の中で動いてたのはトム。子猫が這い出てきて、銀の大きいドラゴンを見るなり変な声を出して引っ込んじゃった。やっぱりお母さんの僕がいないとダメだね。うふふと笑って、金色の毛玉を抱きしめる。ぬいぐるみのフォンはセティと反対の隣で寝ていた。
「セティ、トムを見つけてくれてありがとう」
お礼を言ってから、お母さんを見上げるとなんだか嬉しそう。ぐるると喉を鳴らしたお母さんに、向かいの銀のドラゴンも喉をぐるぐる言わせた。言葉みたい。
『ふむ……なるほど、変わった子だ』
銀のドラゴンは僕に向かって鼻を近づけた。どうしたらいいの? 撫でていいのかな。セティが僕を抱っこして上にあげてくれた。お母さんと同じ金色の目だ。目いっぱい背伸びして、指先で鼻先を撫でた。お母さんと同じ感じだけど、もっと硬い。
「こんにちは」
教えてもらった通り、頭を下げて挨拶する。僕の動きを真似するようにドラゴンも頭を動かした。それから舌で舐めてくれる。ドラゴンは舐めるのが好きみたい。僕はドラゴンに舐められるの好きだよ。お母さんはすごく温かいし、銀のドラゴンも優しい。
セティに抱っこされて、舐められた髪を拭いてもらった。濡れたままだと風邪ひくんだって。熱が出て頭が痛くなると聞いて、僕は昔のことを思い出す。まだ1人で洞窟にいた頃、お風呂の後に拭かないでいたら熱が出た。熱くて苦しくて喉が痛くて、いっぱいお水を飲んだ。
「これでよし。きちんと挨拶出来て偉かったぞ」
『あなたは心配しすぎよ』
褒めるセティに抱き着くと、向こうでお母さんが笑ってた。今の、誰に言ったの? 銀のドラゴンはお母さんが抱っこしてる卵を覗いて、爪の先で転がす。ぐるりと向きを変えたあと、とても優しい顔をした。
『あと少しか』
『ええ、それとこの子が4番目の子。卵は5番目ね』
お母さんが銀のドラゴンに話すと、驚いた顔をした。ドラゴンの顔って、すごく表情がある。目を見開いた後で細めて笑い、僕はもう一度舐められた。
『そうか、我が子が知らぬ間に増えていたとは……父親として情けない。さあ、お父さんと呼んでみろ』
お父さん……? セティは頷き、お母さんも促すように喉を鳴らした。僕は恐る恐る小さな声で呼ぶ。
「おとう、さん」
『帝の子がそんな小声では困るぞ。もっと大きな声だ』
「お父さん!」
大声で笑うお父さんが動いたら、洞窟が揺れる。咄嗟にセティにしがみ付いて、トムをシャツに隠した。嬉しそうにする銀のドラゴンはお父さんで、青いドラゴンはお母さん。もうすぐ卵の弟も出てくるから、いっぱい増えたね。でもひとつ、僕が知らない言葉があった。
帝の子ってなぁに??
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