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115.トムがフェルに食べられた
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足元に生えてる薬草を摘みながら行く。だから抱っこじゃなくて、自分の足で歩いた。周りをトムがはしゃぎながら駆け回ってるけど、疲れちゃうよ? ぎざぎざの葉っぱは食事に使える。こっちの丸い葉っぱは揉んで傷薬になるんだっけ。
葉っぱの絵がたくさん描いてある厚い絵本で勉強した。覚えるとセティが喜んで褒めてくれるから、僕も頑張れたけど……こうやって知ってる葉っぱを見ると嬉しい。ちゃんと分けて袋に入れる。トム用の袋だけど、役に立つね。裏返して使ったから、毛もつかなかった。
たくさん取れたらセティに渡して、また摘むんだ。
「イシス、少し離れてるぞ」
足元ばかり見てると、違う方向へ行っちゃうみたい。呼ばれて顔を上げたら、セティと離れてた。びっくりして駈け寄る。慌てたトムもついてきた。勢いよくセティに抱き着いてぎゅっと受け止められると、すごく安心する。
「たくさん取れたから、次はこれだ」
セティが厚い絵本を開いたところに、黄色い花の咲いた絵があった。葉っぱが変な形だ。丸く筒になってるの? でお花も筒になってるんだね。すぐ見つかりそうだけど、大変だぞってセティが笑う。周りを見ると、確かに黄色いお花は見つからなかった。
「手を繋いで探そう」
「うん。何に使うお花なの?」
「よく眠れるお茶を作るのに、根っこを使うんだよ」
葉っぱと花はいらないみたい。夢中になって探していると、前の方の茂みががさがさ動いた。何かいるけど、トムが唸ってないから平気かな。揺れる茂みの間から、見覚えのある手が出てきた。前足だっけ? 灰色の毛皮の手は大きくて、よく見たら茂みの上に耳や背中が覗いてるよ。
「フェルだ!」
がうっ! 正解って言ってる。飛び出したフェルが僕の顔をべろべろ舐めて、セティに撫でられて止まった。匂いを嗅いでからまた僕の顔を舐める。大きい舌は分厚くて、キスすると大変そうだね。でも狼同士なら平気なのかも。
「イシスから魚の匂いがするのか」
くすくす笑うセティが、トムの首の後ろを掴んで持ち上げる。きゅっと手足を丸めた子猫を見た後、フェルが口の中に入れちゃった。びっくりしたけど、舐めまわした後ぺっと地面に落とされる。トムは回って足から着地したあと、フーッと怒った。
「ふふっ、トムびしょ濡れだね」
せっかくお風呂で綺麗にしたのに、もう汚れちゃった。落ちた地面で転がったのか、金色の毛皮は泥だらけ。手を拭く布で拭いてあげた。その間にセティが魚を取り出して食べさせる。大きいのを丸のみしちゃうんだ。トムくらいの大きさがある魚を食べて、フェルは尻尾を振った。
「原始神殿へ向かってくれ」
ぐるると唸ったフェルの背中に、まず僕が乗る。お尻を押してもらってしがみ付き、首の後ろに跨った。セティがトムを投げたので、受け取って袋にしまう。それからセティが僕の後ろに座った。これで準備できた。
「フェル、お願いね」
僕が号令をかけると、フェルは嬉しそうに尻尾を振って走り出す。びゅんびゅん木が後ろへいって、僕達はあっという間に森の奥へ向かう。お父さんの背中も速かったな。そんなことを思い出している間に、フェルは森の向こうにある大きな山を登り始めていた。
大きな岩もぴょんと乗り越えて、フェルは何でもなさそうに山を登る。さっきの岩ひとつで、僕は1日かかりそう。頂上付近へ来ると、しがみ付かないと僕達も落ちそうになった。角度が縦に近いんだよ。でもそこを越えたら、いきなり平らだった。
葉っぱの絵がたくさん描いてある厚い絵本で勉強した。覚えるとセティが喜んで褒めてくれるから、僕も頑張れたけど……こうやって知ってる葉っぱを見ると嬉しい。ちゃんと分けて袋に入れる。トム用の袋だけど、役に立つね。裏返して使ったから、毛もつかなかった。
たくさん取れたらセティに渡して、また摘むんだ。
「イシス、少し離れてるぞ」
足元ばかり見てると、違う方向へ行っちゃうみたい。呼ばれて顔を上げたら、セティと離れてた。びっくりして駈け寄る。慌てたトムもついてきた。勢いよくセティに抱き着いてぎゅっと受け止められると、すごく安心する。
「たくさん取れたから、次はこれだ」
セティが厚い絵本を開いたところに、黄色い花の咲いた絵があった。葉っぱが変な形だ。丸く筒になってるの? でお花も筒になってるんだね。すぐ見つかりそうだけど、大変だぞってセティが笑う。周りを見ると、確かに黄色いお花は見つからなかった。
「手を繋いで探そう」
「うん。何に使うお花なの?」
「よく眠れるお茶を作るのに、根っこを使うんだよ」
葉っぱと花はいらないみたい。夢中になって探していると、前の方の茂みががさがさ動いた。何かいるけど、トムが唸ってないから平気かな。揺れる茂みの間から、見覚えのある手が出てきた。前足だっけ? 灰色の毛皮の手は大きくて、よく見たら茂みの上に耳や背中が覗いてるよ。
「フェルだ!」
がうっ! 正解って言ってる。飛び出したフェルが僕の顔をべろべろ舐めて、セティに撫でられて止まった。匂いを嗅いでからまた僕の顔を舐める。大きい舌は分厚くて、キスすると大変そうだね。でも狼同士なら平気なのかも。
「イシスから魚の匂いがするのか」
くすくす笑うセティが、トムの首の後ろを掴んで持ち上げる。きゅっと手足を丸めた子猫を見た後、フェルが口の中に入れちゃった。びっくりしたけど、舐めまわした後ぺっと地面に落とされる。トムは回って足から着地したあと、フーッと怒った。
「ふふっ、トムびしょ濡れだね」
せっかくお風呂で綺麗にしたのに、もう汚れちゃった。落ちた地面で転がったのか、金色の毛皮は泥だらけ。手を拭く布で拭いてあげた。その間にセティが魚を取り出して食べさせる。大きいのを丸のみしちゃうんだ。トムくらいの大きさがある魚を食べて、フェルは尻尾を振った。
「原始神殿へ向かってくれ」
ぐるると唸ったフェルの背中に、まず僕が乗る。お尻を押してもらってしがみ付き、首の後ろに跨った。セティがトムを投げたので、受け取って袋にしまう。それからセティが僕の後ろに座った。これで準備できた。
「フェル、お願いね」
僕が号令をかけると、フェルは嬉しそうに尻尾を振って走り出す。びゅんびゅん木が後ろへいって、僕達はあっという間に森の奥へ向かう。お父さんの背中も速かったな。そんなことを思い出している間に、フェルは森の向こうにある大きな山を登り始めていた。
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