【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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165.お父さんは曇り空の色と同じ

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 フェル達の群れの上を飛んで、森の奥にある湖も飛び越えて、さらに向こうへ行く。お兄さん竜で一番近いのは、燃える鳥さんの山の方角へ向かって半日くらいの距離みたい。その間にボリスが疲れちゃうと心配したら、途中で何回も休憩するから平気だと言われた。

 そうだよね、ずっと飛ぶお父さんやお母さんも疲れちゃうもん。空は少し曇っていて、あまり暑くなかった。銀色のお父さんの鱗が輝いて、すごく綺麗。今日の空の色だ。後ろを振り返ると、お母さんは晴れた空の色をしていた。

 ゲリュオンは平気そうだけど、シェリアは大丈夫かな? 抱っこした籠の中でトムもガイアも動かなくて、僕は心配になって隙間から覗く。暗くて見えないや。でもガイアがトムの面倒を見てくれるから、安心だよね。籠をきちんと膝の間に置いて、絶対に落とさないように結んだ紐を握る。

「そろそろ何処かに降りるか」

 セティが話しかけると、お父さんがくるりと旋回した。森の木がぐんぐん近くなって、お父さんは細い形で森の中に降りる。途中でばさりと羽を広げた。がくっと揺れて、ゆっくり着地する。不思議、落ちちゃわないんだね。

「魔力で調整してるんだ」

 お父さんの魔法なの? 驚いて目を見開く僕に、セティとお父さんが教えてくれた。

『飛ぶのは翼ではなく魔力を使う。ボリスももう少し大きくなれば飛べるだろう』

「翼は向きを変えたりするだけだ」

 言われてみたら、鳥さんみたいにばさばさ動かさないで飛んでた気がする。次に飛んだ時はちゃんと確かめるね。水の音がして川があった。あまり広くなくて、でも綺麗なお水が流れてる。僕が川へ向かうと、ボリスが追いかけてきた。

 後ろで風が起きて、お母さんも降りたみたい。川の手前で蓋を開け、籠の中のガイアとトムを覗いた。ガイアは欠伸をして出てきたけど、トムはまだ寝るみたい。顔を両手で隠しちゃった。眩しいといけないから閉めておこう。蓋を閉めた籠を置いて、川の水に手を入れる。

「冷たいっ」

 飲んでも平気かな? セティに聞いてからにしようか。迷っている僕の横でガイアが水を飲んで「平気」って教えてくれた。お礼を言って僕は水を飲む。冷たい水は手が痛くなるから、早く飲まないとね。ボリスも水を飲んで「うきゃぁ」と変な声を出した。

 お母さんの所へ駆け戻るボリスを追いかけて走った僕は、思いだして籠を取りに戻る。いけない、お母さんなのにトム置いていくのはダメ。抱えて戻ったら、セティとゲリュオンが何か捕まえてた。耳が長い生き物で、後ろの足がトムみたい。丸くなってるの。

 茶色い毛皮の動物をゲリュオンがお肉にした。小さいからお父さんとお母さんの分が足りないと思ったら、お父さんは収納のお部屋からお肉を受け取る。そうか、あの中に入れてきたら重くなくて平気だね。僕の枕と絵本の上にお肉を置いたのかな。枕が潰れてないといいけど。
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