【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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233.僕も汚れてる?

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 急いで子どもがいる方向へ向かい、セティと2人で串焼きの匂いをさせて歩く。すぐに子ども達は僕とセティに付いてきた。心配そうな店の人もいたけど、呼び止める人はいない。足早に路地裏に入ると、小さな子はどんどん近づいてきた。

「こっちで食べよう」

 声を掛けて、路地の奥にある木箱の上に串焼きを置く。近づくと臭いがするのは、子どもが汚れているから。でもこの臭いは僕も知ってる。お風呂に入ると取れるし、濡れた布で顔を拭いても消えるんだ。この子達は拭く布を用意してくれる大人がいないみたい。

 昔の僕は臭かったと思う。なのにセティは僕を連れて洞窟を出た。抱っこもしてくれたんだ。

 木箱の上をじっと見るけど、手を出すのが怖いのかな? 僕が初めて食べたお菓子の時と同じなら、食べて見せたら平気かも。袋を大きく破いて中身を見せてから、1本をゆっくり食べて見せる。それから小さな子に1本を持たせた。

 僕の顔と串を何度も見て、ごくりと喉を鳴らす。頷いて笑ったら、にっこり笑って齧りついた。その姿に、他の子も近づいて食べ始める。

「おいおい、ケンカするなよ。たくさんあるからな」

 セティが苦笑いして木箱の上に、追加の串焼きを置いた。それを開けて、大きい子が皆に分ける。ちゃんとしてるよね、何も知らなかった僕よりずっと偉い。大きい子はぼそぼそと口の中で何かを言って食べた。串焼きが終わると、今度はパンを並べる。

「これは持って行って明日食べられるよ」

 目を輝かせた数人が大切そうにパンを受け取った。中には走っていく子もいて、首を傾げる。誰も取ったりしないのに、そう呟いたら一番大きい子が教えてくれた。

「あいつには妹と母親がいるから」

 届けに行ったの? じゃあ、もっとたくさん持って行かないと足りないよ。セティが肩を竦めて僕と手を繋ぐ。それからひとつ溜め息を吐いて、ぱちんと指先を鳴らした。

 臭いのが消える。どの子もすべすべして、白っぽくなった。僕やセティと違って、明らかに白い肌だった。寒い方の人は髪や肌の色が薄い人が多い。セティに教えてもらい、汚れてたから似た色に見えたんだと聞いて焦った。

「僕も汚れてる?」

「ふふ、意味が違う。オレはもともと肌の色は濃いし、ガイアはもっと褐色だっただろ」

 僕は繋いだセティの手をじっくり見て、それから僕の手の色も確認する。ほっとした。汚れたまま仲良しのお呪いしたかと思った。セティが舐めたり齧ったりするから、汚れてたら困るもん。げほっと咳き込んだセティに、僕は笑顔で抱き着く。抱き締め返されるって、幸せだなと思った。

「それで母親と妹がここに来ないなら、病気か? ケガか」

「うつる病気だ」

 感染する病気だから、あの子のお母さんや妹はお外に出ない。いろいろと我慢してて、パンも少ししか持って行かなかったのに……。心配になる。僕のお母さんが病気になって、あんなちょっとしかご飯なかったら治らないよ。

「お前が言うなら、慈善とやらも悪くないな」

 セティは寝込んでる病人を治せる。だから僕は笑顔でご飯を配る役をすればいい。頭を撫でながら提案されて、嬉しかった。やっぱり僕のセティは世界一優しい神様だね。
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