【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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298.ちゃんと食べて ※微

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「おいで」

 手招きされて、とぼとぼと近づく。セティも距離を詰めて僕を抱き上げた。甘い桃の香りがするキスを貰う。人がいるのに、いいの? 見られてるよ? 尋ねようとするのに、キスは深くて……僕は桃より甘いセティに酔った。

「ん……っ、ふぅ」

 ふわふわした気持ちで、セティの首に腕を回す。お尻がもぞもぞする。奥のところ、何か変な感じ。体を揺すって訴えると、ようやくキスが終わった。離れた唇が冷たく感じて、慌ててもう一度キスする。ちょっと歯がぶつかったけど、キスしてると安心だった。

「安心したか?」

「うん……、食べる?」

 お尻の奥がもぞもぞするときは、いつもセティが食べる。奥まで食べられたら、この感覚は消えるの。それを知ってるから尋ねた。こてりと首を傾げた僕は、ふと周囲が静かなことに気づく。きょろきょろすると、ドラゴン達はそっぽを向いていた。

「みんな、どうしたの?」

「イシスが美味しそうだから、かな」

 僕が美味しそう? 桃の方が甘いと思う。でもセティは僕の方が甘いと言って、ちゅっと音のするキスをした。これで終わり? 今日はもう食べないのかも。お尻もぞもぞするのに、どうしよう。

「ん゛、食べるぞ。もう少ししたら、な」

 喉で変な音がしたセティが約束する。約束は絶対だよ。ちゃんと食べてね。その後のセティはドラゴンが何を言っても、お父さんが襲ってきても、絶対に僕を離さなかった。抱っこしたまま移動し、抱っこしたまま話す。突進したお父さんは、お母さんに叱られてしまった。

「イシスを巻き込んだらどうするの!」

「すまん」

 しょんぼりしたお父さんを、別のドラゴンが慰める。夜も遅くなった頃、ガイアがピンクのジュースが入った瓶を出した。

「仙桃酒だよ。お祝いと労いだからね。これからもイシスをよろしく」

 ご挨拶だよ、と笑うガイアに礼を言って瓶のジュースは皆に分けられた。僕だと一抱えもある大きな瓶だけど、ドラゴンが持つと小さい。それを薄めて飲むんだって。不思議、そんなに甘いのかな? お母さんは自分でお水を作って薄めている。

 お兄さん達も、空の樽や鍋を取りだして薄めてから飲み始めた。近づいて瓶のジュースを見つめる。セティがガイアと話している間に、自分のコップを入れた。綺麗なピンク色で濁ってるの。薄めると透明っぽくなるんだよ。

 うんと濃くて甘いんだと思う。口を付けた僕は、美味しくて一気に流し込んだ。コップが逆さになったところで、カイサお姉さんが悲鳴を上げる。

「きゃぁああ! イシスがっ、どうしましょう!!」

 僕? どうかした? ふふっ、カイサお姉さんったら変なのぉ。ぐらりと傾いた僕を、近くにいたカイルが支えた。上から覗く心配そうなカイルの髪を引っ張って、くすくす笑う。なんかおもしろい。楽しくなった僕をカイルから受け取って、セティが溜め息を吐いた。

「イシス……まさか原酒を飲んだのか?」

 よくわかんないけど暑くて、えいっとスカートを捲ったら「ダメだ」と叫んだセティが戻す。それも面白くて、もう一回捲ったけど……キスされてうっとりしてる間に、テントに運ばれちゃった。肌に触れるスカートも擽ったくて、笑いながら脱いだ。

 約束だよ、ちゃんと食べて?
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