【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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外伝

外伝1-5.なんなら踊れますよ

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 聖獣である皇帝夫妻のケンカによって割られた卵……嫌だわ、そんな事情知りたくなかった。異世界ファンタジーの夢を巨大ハンマーで叩き割られた気分よ。

「ところで、サラちゃんはドラゴンに会って何をしたかったの?」

「背中に乗ったり、炎を吐いてもらったり? 私が昔いた世界にドラゴンはいなかったのよ。空想の生き物でね」

 まさか中華の器の縁に踊ってるアレを想像してたとは言えない。まあ、皆にはバレちゃうけど。

「ちゅーかの器か。よく分からんが、絵の感じからして神殿などの聖杯に近いか」

 アゼスが好意的に受け止めてくれてる。聖杯ってコップの形じゃないの? 足が付いたワイングラスの深いやつみたいな形だと思ってた。そう説明すると、不思議そうな顔をしたアゼスが土で器を作る。平たい器で、ラーメンの丼というよりはガラスの飾り物? うんとお洒落な店の手洗いが陶器だった時みたいな感じ。

 思い浮かべたのは両手を広げた大きさの器が、ほぼ直線で中央へ向かう形の手洗いだった。白くてすべすべで、時折和風の焼き物っぽかったりするけど。想像すればするほど混乱するようで、リディは「不思議ね」と器の絵をがりがりと地面に描き始めた。

 私が思い浮かべた物を後で作らせるんだとか。その絵はどうやって持ち帰るつもりかしら。

「安心いたせ。我が宮殿の床に転写しよう」

 高そうな大理石っぽい床に転写? やめて、恥ずかしい。あ、でも皇后陛下の絵なら問題ないかな。私が描いたんじゃないし。

「この絵で伝わるかしら」

「ここのところ、こうしたらいいと思う。あと、ここも変更して」

 エルもがりがりと地面に図を書き足していく。それを放置して、私と手を繋いだアランを見上げた。

「ねえ、このドラゴンは何が出来るの?」

「さきほどサラが希望したことは可能ですよ。空も飛べますし、炎も吐けます。なんなら踊れますよ」

 最後のは嘘だと思うよ。だって、ドラゴンが「え?」って顔で振り返ったもの。できますよね? って黒い笑顔で脅すのはやめてあげて。可哀想になっちゃう。

「サラの知るファンタジー? では、ドラゴンはどのような位置づけでしたか」

「だいたい魔族で一番強い設定かな。あとは魔王がドラゴンだったり」

 西洋の方だけどね。

「私が住んでた日本では、水の神様だよ」

 長細い東洋系の龍を思い浮かべる。形が違うと善悪も逆なんだよ。西洋では神に逆らう悪魔の象徴だし、東洋なら神様だったりする。一種の聖獣扱いになってたのは、風水の四神だっけ?

「あ! 手土産渡してない!!」

 考え事をしていたら、思い出した。赤い拳大の宝石をアゼスが用意してくれたじゃない! そう声を上げると、ドラゴンのラドンは目を輝かせた。やっぱりファフニールみたいに、貴金属や宝石を洞窟の奥に貯め込むのかしら?
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