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外伝
外伝2-1.新しい幸せをお腹に宿して
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とてとて、短い足で必死に駆ける我が子に手を伸ばす。それでも彼は動かず待った。
「ぱっぱ」
アランの腕に飛び込んだ娘は、にっこりと笑う。日傘を差した私は後から追いかける形で、たどり着いた夫の頬に挨拶のキスをする。こういうの、人前だと恥ずかしかったのは最初だけ。人目を気にしないアランに慣らされて、今では普通に行うようになった。さすがに唇を重ねる時は隠したいけど。
膨らみ始めたお腹を避けて、太腿に抱き着いた娘は黒髪を揺らして頬をすり寄せる。
「ままぁ」
私を指さした娘アリスは、にこにこと笑顔を振り撒いた。パパ大好きっ子に育っているアリスは、漢字で有珠と書く。日本語でもこの世界の名前でもおかしくないよう「アリス」と名付けた。現時点では可愛い一人娘だけど、弟妹が出来る予定。
「お腹が少し大きくなりましたね。苦しくないですか?」
体調を気遣う夫に、私は笑顔で首を横に振った。アリスは聖女と聖獣の子であるためか、成長が非常に遅い。現時点で見た目は3歳前後だけど、実年齢は51歳と長寿だった。祖父アゼスと祖母リディ、叔父に収まったエルの外見が変わらないので、アリスは見た目通り幼く育っている。
ゆっくり、ゆっくり、私の時みたいに大きくなればいいわ。長く一緒にいられるもの。アランは今から「お嫁に出す気はありません」と周辺諸国へ宣言している。心配しなくていいわ。周囲の人間は早く年を取るから、現在のアリスと婚約しても結婚するまでに鬼籍に入っちゃう。
「聖獣のお婿さんがいいかしら」
「独身はエルだけですね」
確かにその通りだわ。困ったわね。まあ数百年後のお話だから、その頃に改めて悩みましょうか。ちょうど誰か長生きな種族が生まれてるかも知れないわ。ふふっと笑う前向きな私は、この世界で与えられた幸せに慣れてしまったみたい。
「アリス、お祖父様だぞ」
アゼスがばさりと羽を畳みながら走ってくる。庭に着陸しないように専用の着陸スペースを作ったのに、どうしても木々の間を縫って最短距離を通ろうとするのよ。皇帝陛下の威厳もへったくれもないわ。呆れる私の目に移ったのは、お気に入りの果物を大量に抱えたリディだった。
「リディ」
お母様と呼ぶより、この方がしっくりくるわ。アリスを妊娠した際は、3年も悪阻が続いた。香辛料を使った食べ物の匂いがダメで、果物や野菜ばかり食べたわね。あの頃、生魚を食べたいと我が侭を言って、刺身を差し入れてもらったっけ。
懐かしく思う。今回の子は男か女か不明だけど、たぶん男の子じゃないかしら。女神様に聞いたら教えてくれそうだけど。私の幸せが世界の条件なら、アランに似た男の子が生まれるはず。性格はエルみたいにやんちゃで、アゼスのように体が丈夫だと嬉しいわ。
アリスはリディに似てオシャレが大好き。髪を縦ロールに巻いてみたいと騒いで、今は髪を伸ばしている最中だった。可愛い娘の黒髪を撫でて、幼い頃の私にそっくりの頬を撫でる。
「折角だから外でお茶にしましょうよ。エルはどうしたの?」
「すぐに飛んで来るわ」
言葉通り、エルはすぐに転移してきた。アリスが大喜びで飛びつき、べったり貼りついて離れない。もしかしたらエルのお嫁さんになるかも知れないわね。心の声を聞いたエルが頬を赤く染める。あら、本当に脈ありじゃないかしら。
「ぱっぱ」
アランの腕に飛び込んだ娘は、にっこりと笑う。日傘を差した私は後から追いかける形で、たどり着いた夫の頬に挨拶のキスをする。こういうの、人前だと恥ずかしかったのは最初だけ。人目を気にしないアランに慣らされて、今では普通に行うようになった。さすがに唇を重ねる時は隠したいけど。
膨らみ始めたお腹を避けて、太腿に抱き着いた娘は黒髪を揺らして頬をすり寄せる。
「ままぁ」
私を指さした娘アリスは、にこにこと笑顔を振り撒いた。パパ大好きっ子に育っているアリスは、漢字で有珠と書く。日本語でもこの世界の名前でもおかしくないよう「アリス」と名付けた。現時点では可愛い一人娘だけど、弟妹が出来る予定。
「お腹が少し大きくなりましたね。苦しくないですか?」
体調を気遣う夫に、私は笑顔で首を横に振った。アリスは聖女と聖獣の子であるためか、成長が非常に遅い。現時点で見た目は3歳前後だけど、実年齢は51歳と長寿だった。祖父アゼスと祖母リディ、叔父に収まったエルの外見が変わらないので、アリスは見た目通り幼く育っている。
ゆっくり、ゆっくり、私の時みたいに大きくなればいいわ。長く一緒にいられるもの。アランは今から「お嫁に出す気はありません」と周辺諸国へ宣言している。心配しなくていいわ。周囲の人間は早く年を取るから、現在のアリスと婚約しても結婚するまでに鬼籍に入っちゃう。
「聖獣のお婿さんがいいかしら」
「独身はエルだけですね」
確かにその通りだわ。困ったわね。まあ数百年後のお話だから、その頃に改めて悩みましょうか。ちょうど誰か長生きな種族が生まれてるかも知れないわ。ふふっと笑う前向きな私は、この世界で与えられた幸せに慣れてしまったみたい。
「アリス、お祖父様だぞ」
アゼスがばさりと羽を畳みながら走ってくる。庭に着陸しないように専用の着陸スペースを作ったのに、どうしても木々の間を縫って最短距離を通ろうとするのよ。皇帝陛下の威厳もへったくれもないわ。呆れる私の目に移ったのは、お気に入りの果物を大量に抱えたリディだった。
「リディ」
お母様と呼ぶより、この方がしっくりくるわ。アリスを妊娠した際は、3年も悪阻が続いた。香辛料を使った食べ物の匂いがダメで、果物や野菜ばかり食べたわね。あの頃、生魚を食べたいと我が侭を言って、刺身を差し入れてもらったっけ。
懐かしく思う。今回の子は男か女か不明だけど、たぶん男の子じゃないかしら。女神様に聞いたら教えてくれそうだけど。私の幸せが世界の条件なら、アランに似た男の子が生まれるはず。性格はエルみたいにやんちゃで、アゼスのように体が丈夫だと嬉しいわ。
アリスはリディに似てオシャレが大好き。髪を縦ロールに巻いてみたいと騒いで、今は髪を伸ばしている最中だった。可愛い娘の黒髪を撫でて、幼い頃の私にそっくりの頬を撫でる。
「折角だから外でお茶にしましょうよ。エルはどうしたの?」
「すぐに飛んで来るわ」
言葉通り、エルはすぐに転移してきた。アリスが大喜びで飛びつき、べったり貼りついて離れない。もしかしたらエルのお嫁さんになるかも知れないわね。心の声を聞いたエルが頬を赤く染める。あら、本当に脈ありじゃないかしら。
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