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3.狼襲来で母猫ピンチ、戦うよ
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人族に似ているのに、どこか違う。不思議な子どもは僕を優しく撫でた。親猫が警戒するように「に゛ゃ」と短く鳴く。途端に、全員が小屋の奥に身を潜めた。僕を連れた子どもが他の子猫を守るように一番前に出る。
この子、偉いなぁ。
他人事のように感じた直後、乱暴に入ってきたのは大きな犬だった。牙が立派で強そうな……あれ? これは犬の大きさじゃなさそうだ。狼の魔物じゃないか? 魔王の頭上で見た時は下に見えたけど、今は見上げる感じだった。こうして見上げると大きい。
母猫が必死に子猫を守ろうと立ちはだかる。涎を垂らす狼は子猫や母猫を捕食対象と見做したらしい。ぐるると威嚇の音を響かせながら距離を詰めた。
守らなくちゃ! 君、魔法が使える?
使えるなら僕の魔力を消費していいよ。この世界に来て初めて自分の意志で、魔力を譲ろうと思った。僕の言葉が分かる大切な存在を守りたい。失いたくなかった。狼は母猫や子猫を襲ったら、絶対にこの子も狙う。だから僕が守らなくちゃ。
使命感に似た感情が湧き上がり、必死で魔法を使えと訴えた。
「まほう……?」
あ、これ。ダメなやつ? 伝わってない。いろんな言葉を並べてみる。相手を倒したいと思いながら炎を出せ、とか具体的な案をいくつか出したところ、ピンときたらしい。
「くるな!!」
子どもは叫んで僕を突き出した。同時に飛び込んだ狼が透明な壁にぶつかって、落下する。結界ってやつかも? 僕の体からごっそりと魔力が抜けた。勢いよく使い過ぎだよ。そう思うけど、初めて魔力を使ったなら制御なんて知らなくて当然だった。
力をケチって母猫が襲われるよりずっといい。びっくりして後ろに下がった母猫を、子どもが子猫の方へ押しやる。母猫がなぜ一緒にいるのか知らないけど、もう家族同然なんだろうな。落ちた狼は回り込んだが、そちらも囲われていた。どこにも隙間がない。
僕の魔力をあれだけ大量に消費したら、おそらく数年単位で解けないと思う。それだけの魔力を消費した結界に阻まれ、狼は何度も攻撃を撥ね退けられて諦めた。恨めしそうに振り返りながら帰っていく姿を見て、子どもはへにゃりと笑う。
「よかった。おかあさん、けがしてない?」
母猫を撫でて、代わりに手を舐めてもらって。すごくいい関係が築けているみたいだ。母猫がにゃーと鳴くと目を細めて嬉しそうだった。握り締めた僕を持ち上げて、首を傾げるから内心で僕も傾けてみた。もちろん、気分の問題だけど。
「あらう、つめたいのいや?」
ああ、洗ってくれるのか。冷たいのはあまり好きじゃないけど、それしかなければ我慢できると伝えれば、とことこ外へ出て行った。流れている細い小川の前に座り、僕を膝の上に置く。それから手で水を掬って動かなくなった。
何してるの。尋ねる僕に、やや温い水がかかる。膝の上に置いたままだから、子どもの体も濡れた。
「つめたい?」
心配そうに呟く姿に、驚く。この子、自分の手で水を温めようとしたのか。ツノという物体にしか見えない僕を膝の上から降ろさないのも、この子にとって僕は話せる対象だから? 自分が濡れて冷たいだろうに。そう気づいたら、鼻がツンとして涙が零れそうになった。実際は鼻も目も定かじゃないから、気分の問題だけど。
君の気持も手も温かいよ。そう伝えるのが精一杯だった。
この子、偉いなぁ。
他人事のように感じた直後、乱暴に入ってきたのは大きな犬だった。牙が立派で強そうな……あれ? これは犬の大きさじゃなさそうだ。狼の魔物じゃないか? 魔王の頭上で見た時は下に見えたけど、今は見上げる感じだった。こうして見上げると大きい。
母猫が必死に子猫を守ろうと立ちはだかる。涎を垂らす狼は子猫や母猫を捕食対象と見做したらしい。ぐるると威嚇の音を響かせながら距離を詰めた。
守らなくちゃ! 君、魔法が使える?
使えるなら僕の魔力を消費していいよ。この世界に来て初めて自分の意志で、魔力を譲ろうと思った。僕の言葉が分かる大切な存在を守りたい。失いたくなかった。狼は母猫や子猫を襲ったら、絶対にこの子も狙う。だから僕が守らなくちゃ。
使命感に似た感情が湧き上がり、必死で魔法を使えと訴えた。
「まほう……?」
あ、これ。ダメなやつ? 伝わってない。いろんな言葉を並べてみる。相手を倒したいと思いながら炎を出せ、とか具体的な案をいくつか出したところ、ピンときたらしい。
「くるな!!」
子どもは叫んで僕を突き出した。同時に飛び込んだ狼が透明な壁にぶつかって、落下する。結界ってやつかも? 僕の体からごっそりと魔力が抜けた。勢いよく使い過ぎだよ。そう思うけど、初めて魔力を使ったなら制御なんて知らなくて当然だった。
力をケチって母猫が襲われるよりずっといい。びっくりして後ろに下がった母猫を、子どもが子猫の方へ押しやる。母猫がなぜ一緒にいるのか知らないけど、もう家族同然なんだろうな。落ちた狼は回り込んだが、そちらも囲われていた。どこにも隙間がない。
僕の魔力をあれだけ大量に消費したら、おそらく数年単位で解けないと思う。それだけの魔力を消費した結界に阻まれ、狼は何度も攻撃を撥ね退けられて諦めた。恨めしそうに振り返りながら帰っていく姿を見て、子どもはへにゃりと笑う。
「よかった。おかあさん、けがしてない?」
母猫を撫でて、代わりに手を舐めてもらって。すごくいい関係が築けているみたいだ。母猫がにゃーと鳴くと目を細めて嬉しそうだった。握り締めた僕を持ち上げて、首を傾げるから内心で僕も傾けてみた。もちろん、気分の問題だけど。
「あらう、つめたいのいや?」
ああ、洗ってくれるのか。冷たいのはあまり好きじゃないけど、それしかなければ我慢できると伝えれば、とことこ外へ出て行った。流れている細い小川の前に座り、僕を膝の上に置く。それから手で水を掬って動かなくなった。
何してるの。尋ねる僕に、やや温い水がかかる。膝の上に置いたままだから、子どもの体も濡れた。
「つめたい?」
心配そうに呟く姿に、驚く。この子、自分の手で水を温めようとしたのか。ツノという物体にしか見えない僕を膝の上から降ろさないのも、この子にとって僕は話せる対象だから? 自分が濡れて冷たいだろうに。そう気づいたら、鼻がツンとして涙が零れそうになった。実際は鼻も目も定かじゃないから、気分の問題だけど。
君の気持も手も温かいよ。そう伝えるのが精一杯だった。
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