【完結】勇者に折られた魔王のツノは、幼児の庇護者になりました

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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35.味方を増やす方向で決まり

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 森人達と交流がある魔族がいる。普段から友好な隣人として親しくする彼は、巨大なドラゴンだった。古龍の一種らしいが、圧倒的な強さを誇る。噂は聞いたことがあった。魔王の側近達が、勇者に対する切り札にしようと声をかけたが、まったく動かなかったとか。

「そう、その古龍だ」

 魔王に匹敵すると噂の実力が本当なら、これ以上ない味方となる。可愛い琥珀が気に入られないはずはないし、不安はなかった。念のために琥珀に結界を覚えてもらう。アルマの丁寧な説明に頷きながら、薄い膜状態の結界を覚えた琥珀は、ドラゴンに会う話に大興奮だった。

「ほら、もう寝ろ」

「明日、ドラゴンに会える。仲良くなれる?」

「ああ。いい奴だから心配するな。それより早く寝ろ」

 明日は早いんだぞと無理やりベッドに寝かしつけ、バルテルが苦笑いする。琥珀は味方を作りに行くのではなく、友達が増えると認識したらしい。それが大きなドラゴンとなれば、興奮するのも当然だった。

「コハクならシェンも受け入れるだろう」

『名前はシェンか。鱗は何色なんだ?』

 ベッドの枕元に置かれた袋から声をかけると、琥珀が眠っているのを確かめたバルテルが出してくれた。木を削って作った台に設置して、方向を直される。ようやくバルテルの顔が見えた。

「鱗か? 俺が知ってる限りで黒だが、よく見ると色が混じってるらしいぞ」

 さまざまな属性を併せ持つが故に、混じって黒い鱗に見えるらしい。魔王城で聞いた話と同じだった。やはり最強の龍族と呼ばれる個体で間違いない。

『琥珀を守ってくれるかな』

「安心しろ、アイツは子どもが好きだ。それも純粋なのが好みだからな。きっと大切にしてくれるさ」

 付き合いが長いバルテルの保証に、僕は少しばかり気が楽になった。不安はないと思ってたけど、やっぱり心配してたのか。

「明日の朝は早い。悪いが夜明けに起こしてくれるか」

『構わないぞ』

 大声で叫んでやる。眠らないツノになってから最初の頃は辛かったが、今は寝ないのが当たり前になった。時間潰しも自分でこなすので、気にしないで寝てくれ。さっさと自分の寝台に横たわったバルテルの寝息が聞こえる。もう少しするとイビキに変わるだろう。

 にぃ……子猫が起きてきた。猫は夜行性というが、特に子猫達はその傾向が強い。母猫ニーは琥珀の枕元で丸くなったが、子猫はこれからが本番だ。用意された籠から飛び出し、元気一杯に走り回った。多少とろくさいラウが転がり、上からクウがのしかかる。跳ね除けたラウに三毛のナウが噛み付いた。猫パンチの応酬が始まり、そこから追いかけっこに突入する。いつものコースだ。

 猫はほとんど足音がしないため、琥珀の睡眠を妨げることはなかった。しばらく遊んだ後、ナウは母猫ニーの隣で休み、クウが僕を倒して遊び始めた。ちょ、今齧ったのラウか? 一応痛いんでやめてくれ。

『こらっ』

 叱る声に魔力を多めに乗せて威嚇すると、尻尾を膨らませたラウが逃げていった。籠に隠れて、ちらちらと僕を窺う。齧られたところ、欠けてないだろうな。まったく。

 ぼんやりと明るくなる窓の外に気付くが、倒されたせいで朝日は見えなかった。

『バルテル! 朝だぞ』

 たぶん……心の中で付け加えたが、どうやら合ってたらしい。目を擦るバルテルは大急ぎで琥珀を起こし、手早く用意した軽食や水の入ったバッグを背負った。ドラゴンとの初対面だ。

















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