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66.琥珀が男前すぎて、辛い
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森人がこぞって手伝ってくれるので、豪華な自宅が出来上がっていく。いや、もう自宅と呼んでいいのかどうか……巨大な建造物は森の木々を追い抜いて聳え立っていた。命綱もなしで作業する人々を、寝転がって眺める贅沢さよ。申し訳ない限りだ。
「どうだ? 具合は」
『悪くない』
授乳も心配だったが、問題なく出ているようだ。子狼達はすくすくと成長し続けていた。もう少ししたら乳離れの時期だとアルマに言われている。必死にしがみ付き、乳を吸いながら腹を揉むのは3匹の子狼だ。メスが1匹、オスが2匹……琥珀が強行して名付けた。
ガウ、ヴァン、ミアだ。もちろん最後のミアがメスの名前である。見た目は区別がつきにくい子狼だが、ミアは耳の先が両方とも白いし、ヴァンはマフラーのような白い毛が首を飾っていた。ガウは黒に近い灰色で見た目の特徴はない。これで外見で区別できるので助かった。
野生の狼なら匂いとかで判別できるだろうけど、僕にそんなスキルはない。見た目で名を呼び分けることにしていた。
「うぎゃぁあ!」
乳を飲んでいたお気に入りの場所をヴァンに奪われたガウが怒る。
「ヴァメァ!」
妙な鳴き声でミアが制した。途端にオス2匹は大人しく従う。どうやら順位としてはメスが強いようだ。ふんと鼻を鳴らしたミアが、ガウの飲んでいた乳首に食いついた。結局お前が奪うのか、ミアよ。呆れ半分だが、最近気になることがある。
言葉になり切っていないが、この子達……人の言葉を覚えつつあるんじゃないか。この疑惑が浮上したのは、さっきのミアの声だ。ダメと叱ったようにも聞こえた。親バカかと思ったが、バルテルも似たような印象を受けているという。アルマも首を傾げていた。
周囲に狼の鳴き声を聞かせる奴が必要かも知れない。このままでは野生に返したら、他の狼と交流できない。兄弟姉妹で子孫を繋げるわけにいかないので、これは重大問題だった。我が子が将来結婚できない可能性が出てきたのだ。
『シェンに紹介してもらおうかな』
古龍だけあって顔が広いだろう。協力してくれる狼の一匹や二匹、心当たりがあるはず。
「シドウ、もうすぐできる」
一緒に暮らせると満面の笑みで走ってきた琥珀は、見た目はまだ小学校入学前後。なのに魔王の地位を継いで、立派な城を手に入れた。配下もバルテルを含む森人の集落と前魔王側近のベリアルという豪華さだ。甲斐性があり過ぎて、拾った頃が嘘のようだった。
『僕は隅っこでいいよ』
広すぎて落ち着かない。そんな貧乏性なセリフに、琥珀は不思議そうな顔をした。
「家の中、外と同じ。広いと楽しい」
『うん、そうだな。琥珀はそれでいい』
平凡な日本人だったし、ツノの頃はそもそも部屋とかなかったんで。そういう贅沢は慣れないんだよ。説明しても分からないだろうと思いながら琥珀の頬をぺろりと舐めた。
「シドウは子育て頑張って。僕が狩りをするから」
『……任せる』
正直、狩りは琥珀の方が上手だ。夫として生活を支えるつもりがある幼児に養われる数百歳の元男で元ツノの僕……あ、何かヒモ感が出てきた。もういっか、異世界に来た時点で常識とか捨てて置けばよかったんだよ。
達観して遠い目になった僕の心境を知るかのように、シェンが頭を撫でた。
「順応力が高い方が楽だぞ」
ある意味、真理だった。
「どうだ? 具合は」
『悪くない』
授乳も心配だったが、問題なく出ているようだ。子狼達はすくすくと成長し続けていた。もう少ししたら乳離れの時期だとアルマに言われている。必死にしがみ付き、乳を吸いながら腹を揉むのは3匹の子狼だ。メスが1匹、オスが2匹……琥珀が強行して名付けた。
ガウ、ヴァン、ミアだ。もちろん最後のミアがメスの名前である。見た目は区別がつきにくい子狼だが、ミアは耳の先が両方とも白いし、ヴァンはマフラーのような白い毛が首を飾っていた。ガウは黒に近い灰色で見た目の特徴はない。これで外見で区別できるので助かった。
野生の狼なら匂いとかで判別できるだろうけど、僕にそんなスキルはない。見た目で名を呼び分けることにしていた。
「うぎゃぁあ!」
乳を飲んでいたお気に入りの場所をヴァンに奪われたガウが怒る。
「ヴァメァ!」
妙な鳴き声でミアが制した。途端にオス2匹は大人しく従う。どうやら順位としてはメスが強いようだ。ふんと鼻を鳴らしたミアが、ガウの飲んでいた乳首に食いついた。結局お前が奪うのか、ミアよ。呆れ半分だが、最近気になることがある。
言葉になり切っていないが、この子達……人の言葉を覚えつつあるんじゃないか。この疑惑が浮上したのは、さっきのミアの声だ。ダメと叱ったようにも聞こえた。親バカかと思ったが、バルテルも似たような印象を受けているという。アルマも首を傾げていた。
周囲に狼の鳴き声を聞かせる奴が必要かも知れない。このままでは野生に返したら、他の狼と交流できない。兄弟姉妹で子孫を繋げるわけにいかないので、これは重大問題だった。我が子が将来結婚できない可能性が出てきたのだ。
『シェンに紹介してもらおうかな』
古龍だけあって顔が広いだろう。協力してくれる狼の一匹や二匹、心当たりがあるはず。
「シドウ、もうすぐできる」
一緒に暮らせると満面の笑みで走ってきた琥珀は、見た目はまだ小学校入学前後。なのに魔王の地位を継いで、立派な城を手に入れた。配下もバルテルを含む森人の集落と前魔王側近のベリアルという豪華さだ。甲斐性があり過ぎて、拾った頃が嘘のようだった。
『僕は隅っこでいいよ』
広すぎて落ち着かない。そんな貧乏性なセリフに、琥珀は不思議そうな顔をした。
「家の中、外と同じ。広いと楽しい」
『うん、そうだな。琥珀はそれでいい』
平凡な日本人だったし、ツノの頃はそもそも部屋とかなかったんで。そういう贅沢は慣れないんだよ。説明しても分からないだろうと思いながら琥珀の頬をぺろりと舐めた。
「シドウは子育て頑張って。僕が狩りをするから」
『……任せる』
正直、狩りは琥珀の方が上手だ。夫として生活を支えるつもりがある幼児に養われる数百歳の元男で元ツノの僕……あ、何かヒモ感が出てきた。もういっか、異世界に来た時点で常識とか捨てて置けばよかったんだよ。
達観して遠い目になった僕の心境を知るかのように、シェンが頭を撫でた。
「順応力が高い方が楽だぞ」
ある意味、真理だった。
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