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68.新しい魔王退治? 余計なことを
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「新たな魔王征伐だ!」
「「「おう」」」
気合の入った掛け声を聞きながら、僕は溜め息を吐く。森人の集落目がけて、騎士団が突入したと聞いた。それで様子を見にきたわけだが、人間達は馬鹿なのか? 魔王だとしたら勇者が必要だし、琥珀は森人の王だから魔王じゃない。その辺が混じって伝わったらしい。
情報をきちんと精査しない辺り、王族の頭が緩いんだろうか。すでに琥珀王を中心とした集落は国の形を成し、魔族もそれを認めている。一部の魔族はこちらに合流していた。詳しく調べたら、すぐにわかる程度の話だった。
「シドウ、もう帰る」
『ありがとう。頼む』
僕の脇に膝をついた琥珀が、両手で抱き締める。一瞬で景色が変わった。転移だ。話の中で便利だよねと説明したら、琥珀が使い出した。この子は本当に多才だ。原理を考えないのが強いのか。結果だけを求めて、強引に魔力で事象を起こす姿は、アスモデウスより魔王らしかった。
「どうだった?」
『集落の入り口まで来てる。追い返すのがいいと思うけど。人間が持ってる情報はどうなってるんだ?』
がうっ! ママ、遊んで!! 全力で掛かってくる我が子を、適当に転がしながら応じる。子狼はすでに中型犬サイズに育っていた。先に生まれた猫達より成長が早く、魔狼の血を引いていると判明した。だがラウやナウなどの子猫が先輩なので、きちんと敬っている。ひと噛みで殺せるから、力加減も覚えさせた。
出産から半年もすれば、体の不調も落ち着いた。今なら人間を追い払うくらい僕でも出来る。魔法も……あの恥ずかしい呪文さえ我慢すれば使えるし。
「コハクが魔王だと思ってるらしい。当代の勇者は魔王が蘇るまで生まれない。あれはただの騎士団だ。怯えた王族が派兵したんだな」
呆れたとぼやくバルテルの気持ちは分かる。正直、真顔になるくらい情弱だった。魔王が蘇るタイミングで、新たな勇者は生を受ける。つまり勇者が生まれてないのに、魔王が蘇るのは世の理から外れた状態だった。あり得ないとシェンも馬鹿笑いする。
『シェンは味方してていいの?』
「どっちの陣営かに肩入れするなと決まっておらぬ。配下になることは出来ないが、友人を助けるのに理由は不要だな」
からりと笑った。古龍は琥珀の友人で味方だと言い切る。長く生きた分だけ、理の隙間を縫う言動は慣れを感じさせた。粗探しがうまいんだろう。いい意味で。
「蹴散らしますか?」
ベリアル、怖いこと言うなよ。冗談に聞こえないし、多分本気だろう。琥珀の名が、悪逆非道な魔王として広まるじゃないか。
『蹴散らすとまた討伐に出てくる。無駄だから……この際王族を黙らせるか』
暗殺かと目を輝かせるベリアルには申し訳ないが、そこまで物騒な僕じゃない。王族と話し合って手を引かせたいんだが……言い回しが間違ってたか?
「さすがは琥珀王の参謀です」
「違う、僕のお嫁さん!」
「ええ。お嫁さんで参謀ですね」
ベリアルと琥珀の会話にがくりと力が抜けた。油断した隙を狙って僕の尻尾を噛んだヴァンが、ミアに耳を噛まれて降参する。
『はいはい、仲直りして』
促され、ミアとヴァンは鼻を近づけて仲直り。見ていたガウが慌てて合流した。仲間はずれにされたと思ったのかも。
琥珀とベリアルに任せて、僕は昼寝をしてようかな。いや、騒動を大きくされたら回収が大変だ。やっぱり僕が動く方が間違いない。お座りした僕にしがみ付く琥珀の頬を舐めながら、作戦を練り始めた。どうやって帰ってもらおうかな。
「「「おう」」」
気合の入った掛け声を聞きながら、僕は溜め息を吐く。森人の集落目がけて、騎士団が突入したと聞いた。それで様子を見にきたわけだが、人間達は馬鹿なのか? 魔王だとしたら勇者が必要だし、琥珀は森人の王だから魔王じゃない。その辺が混じって伝わったらしい。
情報をきちんと精査しない辺り、王族の頭が緩いんだろうか。すでに琥珀王を中心とした集落は国の形を成し、魔族もそれを認めている。一部の魔族はこちらに合流していた。詳しく調べたら、すぐにわかる程度の話だった。
「シドウ、もう帰る」
『ありがとう。頼む』
僕の脇に膝をついた琥珀が、両手で抱き締める。一瞬で景色が変わった。転移だ。話の中で便利だよねと説明したら、琥珀が使い出した。この子は本当に多才だ。原理を考えないのが強いのか。結果だけを求めて、強引に魔力で事象を起こす姿は、アスモデウスより魔王らしかった。
「どうだった?」
『集落の入り口まで来てる。追い返すのがいいと思うけど。人間が持ってる情報はどうなってるんだ?』
がうっ! ママ、遊んで!! 全力で掛かってくる我が子を、適当に転がしながら応じる。子狼はすでに中型犬サイズに育っていた。先に生まれた猫達より成長が早く、魔狼の血を引いていると判明した。だがラウやナウなどの子猫が先輩なので、きちんと敬っている。ひと噛みで殺せるから、力加減も覚えさせた。
出産から半年もすれば、体の不調も落ち着いた。今なら人間を追い払うくらい僕でも出来る。魔法も……あの恥ずかしい呪文さえ我慢すれば使えるし。
「コハクが魔王だと思ってるらしい。当代の勇者は魔王が蘇るまで生まれない。あれはただの騎士団だ。怯えた王族が派兵したんだな」
呆れたとぼやくバルテルの気持ちは分かる。正直、真顔になるくらい情弱だった。魔王が蘇るタイミングで、新たな勇者は生を受ける。つまり勇者が生まれてないのに、魔王が蘇るのは世の理から外れた状態だった。あり得ないとシェンも馬鹿笑いする。
『シェンは味方してていいの?』
「どっちの陣営かに肩入れするなと決まっておらぬ。配下になることは出来ないが、友人を助けるのに理由は不要だな」
からりと笑った。古龍は琥珀の友人で味方だと言い切る。長く生きた分だけ、理の隙間を縫う言動は慣れを感じさせた。粗探しがうまいんだろう。いい意味で。
「蹴散らしますか?」
ベリアル、怖いこと言うなよ。冗談に聞こえないし、多分本気だろう。琥珀の名が、悪逆非道な魔王として広まるじゃないか。
『蹴散らすとまた討伐に出てくる。無駄だから……この際王族を黙らせるか』
暗殺かと目を輝かせるベリアルには申し訳ないが、そこまで物騒な僕じゃない。王族と話し合って手を引かせたいんだが……言い回しが間違ってたか?
「さすがは琥珀王の参謀です」
「違う、僕のお嫁さん!」
「ええ。お嫁さんで参謀ですね」
ベリアルと琥珀の会話にがくりと力が抜けた。油断した隙を狙って僕の尻尾を噛んだヴァンが、ミアに耳を噛まれて降参する。
『はいはい、仲直りして』
促され、ミアとヴァンは鼻を近づけて仲直り。見ていたガウが慌てて合流した。仲間はずれにされたと思ったのかも。
琥珀とベリアルに任せて、僕は昼寝をしてようかな。いや、騒動を大きくされたら回収が大変だ。やっぱり僕が動く方が間違いない。お座りした僕にしがみ付く琥珀の頬を舐めながら、作戦を練り始めた。どうやって帰ってもらおうかな。
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