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73.子どもは一番じゃないと気に入らない
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ぐんぐん迫るのは、さきほど見たばかりの塔だ。叫んだ僕は咄嗟に琥珀に抱き着いた。いざとなったら、僕をクッションに琥珀だけでも助かれば……と思ったんだけど、ぴたっと手前で止まった。手を伸ばせば届きそうだが、それは人間の話。僕の肉球が届くには拳二つほど遠い。
「壊す」
『え?』
琥珀が手のひらを塔へ向けた。直後魔力が放たれ、さらさらと塔の上部が砂になって散る。
『中に人がいたら危ないから、中止!』
「誰もいない」
形だけで中には物も人もないと言い切った琥珀は、自分が浮いている場所まで壊すと満足そうに頷いた。どうやら、ここが自宅兼琥珀城の高さより低い位置のようだ。自宅より高い建物は許さん、とか。いつからこんな魔王みが出てきたんだ? 子どもは一番が好きだから、この塔が気に入らなかったのは分かるけど。
ふとロルフが静かなことに気づいた。顔を向けると白目を剥いて気絶している。浮いている高さを見ないフリで我慢し、ロルフが具合悪そうだから地上に降りようと説得した。琥珀はロルフを見上げ、慌てた様子で地上へ降りる。
翼もないのに浮いてた僕達は、塔の崩壊と合わさって注目の的だった。脅しに来たんだからこれが正解なのか? 建造物をあっさり壊した姿から、こちらの戦力を過剰評価してくれると助かる。よく考えたら琥珀がいる時点で過剰戦力だから、評価は普通でいいや。
そろそろ、家族風呂出来たかな? 今日は琥珀とお風呂にはいって、さっきの砂で汚れた毛皮を綺麗にしてもらおう。じゃないと寝室が砂だらけになってしまう。軽く現実逃避しながら、突きつけられた槍の穂先を見つめる。
ぐるりと僕達を包囲した騎士団が、剣や槍で威嚇してきた。ロルフが危ないと思ったが、ぎりぎりで意識を回復したらしい。というか、涙目だけど何かされたのか? 太腿を擦ってるけど、琥珀が抓ったとか。そのくらいしか思い到らなかった。
「琥珀王が貴国の王に挨拶を希望している。他国の使者に対し、このような振る舞いは無礼であろう」
ロルフが難しそうな言い回しで騎士団を威圧する。すると一際立派なマントと鎧の男性が前に進み出た。ちらりと僕を見たけど、なんだ?
「琥珀王とはどこの王か」
「森人と魔族を束ねる最強のお方だ」
「その狼殿が……琥珀王、か?」
あ、そういう勘違い。なるほどと頷いた。僕達の中で一番偉そうで体格のいいロルフが配下として口を開いた以上、残るは灰色狼か子ども。一般的に考えて狼に化けた魔族と思われた可能性が大きい。しかも僕の体って、首周りにふわふわの白いマフラー付きで高級感あるし。
「こちらのお方だ」
ロルフがそっと琥珀を立てる。膝を突いて敬意を示す行為に、騎士団長は驚いた顔を見せた。それもそうだろう。どう見ても幼児と呼んでいい年齢だ。小学校入学前のお子様だからな。いろいろ不満があるらしく、唇を突き出して膨れた様子も幼さを感じさせる。
『琥珀、しっかり挨拶して』
「琥珀王は僕」
機嫌の悪さが全開だった。反応に困る騎士団長だが、琥珀が手を伸ばして塔を指さす。
「早くしないと全部壊す」
「は?」
いきなりの攻撃宣言に驚いた騎士の声が引き金だった。不満が爆発した琥珀は、事も無げに魔力を振るった。先ほどの塔の砂漠化が再スタートだ。さらさらと崩れる塔の姿に、慌てふためいた騎士が王宮へ走っていく。全力で頑張ってくれ。どんなに急いでも塔は消失すると思うけどね。
「壊す」
『え?』
琥珀が手のひらを塔へ向けた。直後魔力が放たれ、さらさらと塔の上部が砂になって散る。
『中に人がいたら危ないから、中止!』
「誰もいない」
形だけで中には物も人もないと言い切った琥珀は、自分が浮いている場所まで壊すと満足そうに頷いた。どうやら、ここが自宅兼琥珀城の高さより低い位置のようだ。自宅より高い建物は許さん、とか。いつからこんな魔王みが出てきたんだ? 子どもは一番が好きだから、この塔が気に入らなかったのは分かるけど。
ふとロルフが静かなことに気づいた。顔を向けると白目を剥いて気絶している。浮いている高さを見ないフリで我慢し、ロルフが具合悪そうだから地上に降りようと説得した。琥珀はロルフを見上げ、慌てた様子で地上へ降りる。
翼もないのに浮いてた僕達は、塔の崩壊と合わさって注目の的だった。脅しに来たんだからこれが正解なのか? 建造物をあっさり壊した姿から、こちらの戦力を過剰評価してくれると助かる。よく考えたら琥珀がいる時点で過剰戦力だから、評価は普通でいいや。
そろそろ、家族風呂出来たかな? 今日は琥珀とお風呂にはいって、さっきの砂で汚れた毛皮を綺麗にしてもらおう。じゃないと寝室が砂だらけになってしまう。軽く現実逃避しながら、突きつけられた槍の穂先を見つめる。
ぐるりと僕達を包囲した騎士団が、剣や槍で威嚇してきた。ロルフが危ないと思ったが、ぎりぎりで意識を回復したらしい。というか、涙目だけど何かされたのか? 太腿を擦ってるけど、琥珀が抓ったとか。そのくらいしか思い到らなかった。
「琥珀王が貴国の王に挨拶を希望している。他国の使者に対し、このような振る舞いは無礼であろう」
ロルフが難しそうな言い回しで騎士団を威圧する。すると一際立派なマントと鎧の男性が前に進み出た。ちらりと僕を見たけど、なんだ?
「琥珀王とはどこの王か」
「森人と魔族を束ねる最強のお方だ」
「その狼殿が……琥珀王、か?」
あ、そういう勘違い。なるほどと頷いた。僕達の中で一番偉そうで体格のいいロルフが配下として口を開いた以上、残るは灰色狼か子ども。一般的に考えて狼に化けた魔族と思われた可能性が大きい。しかも僕の体って、首周りにふわふわの白いマフラー付きで高級感あるし。
「こちらのお方だ」
ロルフがそっと琥珀を立てる。膝を突いて敬意を示す行為に、騎士団長は驚いた顔を見せた。それもそうだろう。どう見ても幼児と呼んでいい年齢だ。小学校入学前のお子様だからな。いろいろ不満があるらしく、唇を突き出して膨れた様子も幼さを感じさせる。
『琥珀、しっかり挨拶して』
「琥珀王は僕」
機嫌の悪さが全開だった。反応に困る騎士団長だが、琥珀が手を伸ばして塔を指さす。
「早くしないと全部壊す」
「は?」
いきなりの攻撃宣言に驚いた騎士の声が引き金だった。不満が爆発した琥珀は、事も無げに魔力を振るった。先ほどの塔の砂漠化が再スタートだ。さらさらと崩れる塔の姿に、慌てふためいた騎士が王宮へ走っていく。全力で頑張ってくれ。どんなに急いでも塔は消失すると思うけどね。
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